関西全体が「パビリオン」
近畿経済産業局2025NEXT関西企画室 石原康行氏

読売新聞大阪本社版朝刊

「万博が終わった後も、会場の周辺でイベントが継続するようにしていきたい」と話す石原氏

 「2025NEXT(ネクスト)関西企画室」は2019年、経済産業省が担当する25年大阪・関西万博の機運醸成を目的に設けられた。国内外から多くの人や企業が集まる万博を絶好の機会ととらえ、中長期的に関西が発展を続けていく後押しをしたい。

 具体的には、万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」や国連のSDGs(持続可能な開発目標)に関連する関西の活動事例を集めたガイドブックを作成した。場所や時期、分野などに分けて取り組みを紹介し、企業や投資を呼び込んで技術革新や新産業創出につなげていきたい。
 念頭にあるのは、25年の開幕前から、関西全体を「会場」に見立てた「拡張万博」を開催するという考え方だ。大阪市の夢洲(ゆめしま)で開かれる一過性のイベントに終わらせたくないとの思いがある。

 例えば、京都、大阪、奈良の3府県にまたがる「関西文化学術研究都市(けいはんな)」では、立地企業や研究機関が「けいはんな万博」を企画している。11月には「アバターチャレンジ」と称して、遠隔操作するロボット(アバター)を使った運動会を開催し、大阪・関西万博の会期中も実施する予定だ。将来は体力に自信のない人でも力仕事ができるようになるなど、アバターの具体的な活用策を探るイベントになる。
 万博の来場者にものづくりの現場を見学してもらおうと、大阪府八尾市を中心に「オープンファクトリー」の動きも広がっている。万博の会場では展示できない日本の技術やサービスの「裏側」を会場外で見せることができれば、それ自体がパビリオンになる。

 こうした情報を継続的に収集し、ガイドブックの更新版を近畿経済産業局のホームページに掲載していく。内容をPRするため、新興企業の経営者団体のほか、自治体や大学などに赴き、セミナーや講演会を年間20~30件開いている。
 大事なのは、25年万博の閉幕後に経済が縮小しないようにすることだ。「拡張万博」が日本中に根付き、それぞれが盛り上がれば、万博の効果は10倍にも100倍にも膨らんでいくと考えている。

(聞き手 升田祥太朗)




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