「アジア一の観光都市」へ好機
大阪観光局 溝畑宏理事長

読売新聞大阪本社版朝刊

「万博では大阪を訪れた人にテーマに応じた観光を紹介するショーケースを作りたい」と語る溝畑氏

 私は2030年に大阪の街をアジアナンバーワンの国際観光文化都市にしたい。大阪が観光の分野で日本をリードし、大阪から日本を変えていく。25年大阪・関西万博は、それができる最初で最後のビッグチャンスと言っていい。
 1970年の大阪万博は世界的なお祭りがやってきたという感覚だったが、今回は違う。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。一人ひとりが輝き、地域を良くしよう、日本を変えよう、世界を変えようと発信し、活躍する舞台になる。理想のイメージは、約1億2000万人の国民が万博に何かしら参加して、自分を成長させていくことだ。その意識を持ってほしい。

 万博が目指す国連のSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け、観光の観点から力を入れているのが、年齢や性別、思想信条を問わず、多様性を尊重する街づくりだ。成果として、LGBTQ(性的少数者)の旅行拡大を目指す団体「国際LGBTQ+旅行協会(IGLTA)」の総会誘致に成功した。タイ・バンコクやスペイン・バルセロナとの競争に勝ち、来秋にアジアで初めて大阪で開く。
 世界の富裕層の3割はLGBTQが占めるとのデータもある。宿泊施設や飲食店など、観光関連施設を中心にLGBTQを受け入れる側のマナーの啓発やトイレの整備を引き続き進めていく。
 日本では1泊100万円とか1回50万円の食事というと腰が引けるが、海外の富裕層からみれば普通のことで、しっかりとアピールしていきたい。

 観光の国際競争力を高めるには、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進も重要になる。今月、観光局がサービスを始めたアプリは、観光施設や体験商品の検索から予約、決済までをワンストップでできるようにした。将来的には公共交通の決済とも連動し、誰でもストレスなく、温泉や城、アニメなどテーマごとに周遊できる仕掛けも作っていく。アプリを入れたら、大阪はもちろん、日本の観光が便利になったと言われるまでにしたい。

(聞き手 松本裕平)




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2025年大阪・関西万博を盛り上げようと、準備を進めている企業や団体のキーパーソンにインタビューします。記事は随時掲載です。