京焼・清水焼 香りだけでなく目でも癒し感じて

万博公式グッズ

 伝統的な京焼・清水焼の技法を生かしつつ,独自のデザインや色彩、技法を用いて華麗で繊細な作品を製作している小手鞠窯。素地のデザインから絵付けまでをプロデュースし、様々なオリジナル作品を製作している。伝統的な上絵付け技法を用いて、2025年大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」をあしらった香立てセットを発売した。上絵付け職人の並川昌夫さんは、一つの作風にこだわらず、かわいいタッチからリアルな描写まで、多種多様な作風で描き「お客様の依頼に100%応える。120%満足してもらえる」をモットーに製作に励む。並川さんに京焼・清水焼の魅力や上絵付けの技法、万博への思いを語ってもらった。

 今回制作した香立てを使って、香りだけでなく目で見ても癒されてほしい。そんな思いからデザインをスタートしました。
 私の中で、癒しと言えば赤ちゃんが思い浮かびました。自分の娘が生まれたころを思い出しながら、当時使っていたものや服の色をイメージしてミャクミャクを絵付けています。
 中央の香立て部分には隠れ“こみゃく”を描いている点もポイント。付属する京都の老舗・松栄堂のお香も赤色と青色で、万博カラーをイメージしています。初めてお香を楽しまれる方にも、ぜひ万博を機会に手に取ってもらえればと思います。

 伝統工芸の世界に飛び込んだのは、小さいころから絵を描くことが好きだったことがきっかけです。コンピュータグラフィックにも興味がありましたが、やはり自分の手で絵を描きたいという思いがありました。父が京焼を好きだったこともあり、父の勧めで陶芸の訓練校に進むことを決めました。
 卒業後は、加藤如水氏に約10年間師事しました。工房に入って5年目くらいまでは、問屋から昔の技法を使った商品の注文が次々あり、様々な伝統技法を扱う経験ができました。

上絵付け職人 並川昌夫さん

 京焼・清水焼の魅力の一つは、色々な産地の技術が集まっていることです。京都にいると、多くの技法を目にすることができます。その技術を身に付けていくことで、京焼・清水焼の職人になっていくと思います。
 一方で、最近は業界全体として仕事が少なくなっています。お茶が世界的に人気なこともあり、抹茶碗の需要は高いですが、私より若い世代は抹茶碗に特化した絵付けしかできないという現状があります。

 問屋からいただく仕事は今後も増えることはないと思うため、今は自分から色々な発信をして販路を見つけています。コロナ禍をきっかけに、SNSを活用し始めました。作品を見た企業から、商品制作の相談をいただいたり、個人の方からもオーダー品の依頼をいただいたりと、窓口が広がっています。
 今回の商品も、万博という一大イベントを契機に、多くの人の目に留まってほしいです。2005年に開催された「愛・地球博」の際に、陶芸の展示会があり、自分も機会があれば携わって見たい、という思いがありました。今回、そのチャンスが巡って来て、良いものが作れたと満足しています。

【京焼・清水焼】
 1600年頃から京都の清水寺参道である五条坂近くで始まったとされる、陶磁器の総称。決まった特徴がないため、日本中から優れた材料や職人、技術が集まって、様々な技法が融合してきた。
 多種多様な伝統技法が施されており、手作り、手書きの清水焼は、高い装飾性が評価されている。現在では経済産業大臣指定工芸品と京都府知事指定伝統的工芸品に指定され、「京焼・清水焼」と呼ばれている。

【上絵付け】
 陶磁器に釉薬をかけて本焼きした後に絵柄を描いて、再度低温で焼成する技法。本焼きをする前に絵柄を施す下絵付けは温度に耐えられる絵の具が限られるのに対し、多彩な色の表現ができる。
 絵付けには、金属粉などを調合した絵の具を使う。粉状の絵の具を水ですって固さを調節する。固すぎると焼いた際にひび割れ、薄過ぎると塗る時に垂れてしまう。職人が培ってきた感覚が必要な作業だ。

 その後、素材となる陶磁器に下絵を描く。湾曲した面に描くため転写が難しく、手描きが基本だ。下絵の線画には懐炉灰(かいろばい)を使うことで、焼き上げると下絵がきれいに燃えてなくなる。

絵付けし終えた素材を焼き上げて完成。絵付けする絵の具の色と焼き上がりの色が異なるため、習熟は一筋縄ではいかない。焼く温度や塗りの厚さでも色が変わるため、試行錯誤を重ねて制作されている。

EXPO2025 ミャクミャク 京焼・清水焼 香立て&お香セット 8,800円(税込)

伝統的な色絵技術を用いて絵付けした香立てと、京都の老舗・松栄堂のお香(赤2本、青2本)とのセット。京焼・清水焼らしい華やかな絵付けが特徴。
【お香の香り】
赤:白檀を基調とした甘酸っぱくみずみずしい香り
青:静かな余韻のある沈香をベースにした落ち着いた香り


下記ショップで販売中!!



松栄堂大阪本町店


ギャラリーKACCO(京都・伏見)


日本茶茶房 茶三楽(京都・嵐山)

※完売により在庫がない場合もございます。詳しくは各店舗でご確認をお願いします。

読売新聞は、日本の伝統文化を守り、次世代に伝えるため、伝統的な技術やデザイン、美術品等を用いた2025大阪・関西万博公式ライセンス商品を制作、販売しています。