【広告】企画・制作/読売新聞社広告局
循環器病の克服を目指して
~発症・重症化の予防と対策~
正しい理解と地域連携で対策を
循環器とは血液をポンプ機能によって全身に送り出す心臓、血管など全身に体液を運び、老廃物などを集めて循環させる器官です。この循環器に異常が生じた状態を循環器病といいます。日本人の死因で2位の心疾患、4位の脳血管疾患は循環器病です(※)。
そうした中、医療機関の連携強化や「ハートノート」という患者向け自己管理ツールの活用で、発症・重症化の予防と対策につなげる動きが進んでいます。
※厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計(確定数)」より
循環器病には心筋梗塞(こうそく)、心筋症、心臓弁膜症、不整脈などがあり、それらが原因で心臓の機能が低下して全身に血液を送り出せなくなる状態を心不全といいます。国内の患者数は約120万人に上るといわれており、自己管理がうまくいかず受診のタイミングを逃し、重症化させてしまう人も少なくありません。
「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」の施行とともに、「循環器病対策推進基本計画」が策定され、様々な活動が始まっています。そうした中、大阪府内で病院間や地域と連携を図りながら地域医療に貢献する循環器内科の先生方に、病態や予防、再入院を防ぐ取り組みなどについて聞きました。
地域全体で心不全患者をサポート
関西医科大学 内科学第二講座教授 塩島 一朗氏
関西医科大学は北河内二次医療圏(枚方市、守口市、寝屋川市、大東市、門真市、四條畷市、交野市)に附属病院、総合医療センター、香里病院、くずは病院の4病院を有し、他の医療機関と連携して地域医療を支えています。心不全診療においても、さまざまな重症度の患者さんを一つの病院で対応することは困難で、複数の医療機関の機能分担と相互連携が必要です。ハートノートにより心不全患者さんが自身の病状を把握し、その治療経過を複数の医療機関が簡単に確認できるようになれば、北河内地区全体として心不全患者さんの予後改善が図れるものと期待しています。
チーム医療とネットワークを構築
大阪医科薬科大学 内科学III教室 循環器内科教授 星賀 正明氏
急速に増加する高齢心不全患者さんは併存症が多く、チーム医療が必須です。また、慢性の経過で入退院を繰り返し、次第に生命を縮めていく可能性がありますので、心不全の悪化による入院を防ぐことが肝心です。家庭でのセルフケアや地域での医療・介護といったチーム力が重要です。
当院は医療系総合大学の病院で、様々な医療職を育成しています。心不全や成人先天性心疾患といった多職種・地域ぐるみのチーム医療が必要な場面で、チーム医療の深化とネットワーク構築を進めるため、私たちは大阪府全体の取り組みに参加し、全力で応援してまいります。
弁膜症、虚血性心疾患は心不全の原因
近畿大学医学部 循環器内科 主任教授・診療部長 中澤 学氏
高齢化社会に伴って心不全が増加しているのは、皆さんがご存じの通りと思います。心不全には必ず基礎疾患といわれる原因が存在し、心筋梗塞などの虚血性心疾患や大動脈弁狭窄(きょうさく)症、僧帽弁閉鎖不全症などの弁膜症は心不全の主な原因です。近畿大学病院ではこれら虚血性心疾患や心臓弁膜症に対するカテーテル治療や外科治療を積極的に行っており、日夜問わず必要に応じて診療を行っています。
このような治療をすることで患者さんの状態は良くなりますが、術後もしっかりと経過を見ていく必要があり、医師、患者、かかりつけ医の連携は非常に重要です。この点においてハートノートが果たす役割は大きいものであると思います。
心不全・心臓難病を社会で見守る
大阪大学大学院 医学系研究科 循環器内科学教授 坂田 泰史氏
心不全はちょっとした心臓ポンプ機能の障害から始まります。大阪大学病院は、様々な病気を合併された高齢の方のみならず、心筋症のように若くして心臓が悪くなり、補助人工心臓や心臓移植が必要となる難病治療に対しても日夜取り組んでおります。
心不全症状とは長い付き合いになりますので、少しでも長く楽な生活を送っていただかなければなりません。我々はハートノートを用いて、当院と他の医療機関、そして患者さんが生活される社会とネットワークをつくり、心不全患者さんの「ライフデザイン」をサポートしてまいります。
血管を守り、心臓そして全身を守る
大阪市立大学大学院 医学研究科 循環器内科学教授 福田 大受氏
心不全は心臓のポンプとしてのはたらきが低下する病気です。その原因の一つに心筋梗塞などの虚血性心疾患があります。生活様式の変化で、虚血性心疾患の原因である動脈硬化(血管病)が増えています。血管は心臓だけでなく全身に張り巡らされています。
私たちは、虚血性心疾患や心不全の適切な加療はもとより、血管病の最大の危険因子である高血圧や脂質異常症、糖尿病の治療などの全身管理と疾患予防にも力を入れています。ハートノートを活用し、「血管を守り、心臓そして全身を守る」という姿勢で、今後、急増するとされている心不全に対する地域医療を支えるシステムづくりに取り組んでいきたいと思います。
再入院を減らす自己管理ツール「ハートノート」
大阪心不全地域医療連携の会 代表幹事 竹谷 哲氏
いま、心不全で問題となっているのは、在宅患者さんの数や再入院のケースが増加していることです。その重症化による再入院を防ぐための「ハートノート」は、患者さんが病気を正しく理解し、脈拍や体重、血圧などの記録と点数化により自己管理するためのツールであり、症状悪化時の早期受診を促す教育ツールでもあります。昨年末までに大阪府内の39施設に導入され、産学官民の連携でメディカルヘルスケアを推進する一般社団法人健康医療クロスイノベーションラボの支援(※)もあって全国にも広がりつつあります。
このハートノートの普及によって基幹病院と地域の医療機関が情報を共有し、患者さんの指導・管理を連携して行うことが可能になりました。患者さんの生活をサポートするケアマネージャーやヘルパーにも講習を行っています。退院後のハートノート継続率は非常に高く、在宅管理の基盤が整うことで、患者さんが自宅で安心して生活することが可能になりました。
心不全はがんに比べて正しい理解が遅れているように感じています。患者さんが入退院を繰り返すことなく自宅で安心して暮らすことは、生活の質向上につながります。私たちは患者さんや社会の理解を深めるための啓発活動やハートノートのデジタル化を目指し、これからも取り組んでいきます。
※一般社団法人健康医療クロスイノベーションラボによる「ハートノート」普及支援について
第1回ハートノートフォーラム
多職種の知見を共有し、医療連携のあり方を考える「第1回ハートノートフォーラム」が2月5日にオンラインで開催され、医師による講演の他、医療に携わる企業から最新の取り組みが紹介されました。
独立行政法人国立病院機構大阪医療センターの松村泰志院長は、「患者参加の電子診療記録の可能性」をテーマに講演を行い、「心不全においては在宅ケアの情報が重要。患者さんも参加できる電子診療記録が導入できると、医師と患者さんで双方向の情報交換が可能になる」と述べられました。