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たばこを吸わない人による座談会
お互いが心地よく過ごすために
読売新聞大阪本社版朝刊
2025年大阪・関西万博に向けて、路上喫煙禁止地区が大阪市内全域に拡大されるのを前に、たばこを吸う人、吸わない人がともに気持ちよく過ごせる環境づくりをテーマにした座談会が11月2日、大阪市内で開催されました。フリーアナウンサーの八木早希さんと参加者たちが"吸わない側"の率直な視点で、においに対する感覚の違いや相互理解に欠かせないマナーや心遣い、望ましい喫煙所の在り方などについて意見を交わしました。
吸わない人のとらえ方
この日の座談会には、自身はたばこを吸わないものの、家族や同僚にたばこを吸う人がいるという8人が参加しました。まずは、「身近な人が吸っていて、困ったなと思うことはありますか」との八木さんの問いかけに、古田侑未さんが口火を切り「一番はにおい。服や持ち物に付いて気になる」と発言。配偶者が愛煙家という渡部亜理沙さんの「子どもの前では吸ってほしくないので、外に行ってもらうようにしています」との言葉には、子育て中の参加者から共感する声が寄せられました。
紙巻たばこと比較してたばこのにおいが少ない加熱式たばこを吸う人も増えていますが、清水彩さんは「あの独特なにおいがかえって苦手」と。かつてはたばこを吸っていたという國居恵梨さんは「当時はむしろいいにおいぐらいに感じていました」と心境を述懐。「吸わない人はにおいに敏感。吸う人はやはりマナーとして細心の注意が必要だとつくづく思います」と振り返りました。
明らかなマナー違反に厳しい意見
次に話題の中心となったのは街中でのたばこを吸う人の行動について。改正健康増進法が2020年4月に全面施行され、飲食店や事務所などは一部を除き、原則屋内禁煙になりました。「オフィスに喫煙所がないからか、ビルの外に溢れて大勢で吸っている光景を見かけることがありますよね」と八木さん。子育て中の中村真佑子さんからは「子どもを乗せて自転車をこいでいると、歩きたばこの煙が流れてくることが。あからさまに扇ぐと喧嘩になりそうだし」と困惑の声が上がりました。
このほかにも明らかなマナー違反への言及が。小野泰子さんが「自転車に乗っている時にポイ捨てのたばこが飛んできて、怖い思いをすることが時々あります」と打ち明けると、公園や道路の側溝に吸い殻が捨てられていることにも触れられ、「ペットボトルや空き缶と一緒で、1本落ちていたら自分も大丈夫と思って次々と捨てられてしまうんじゃないか」などの意見が出ていました。
気遣いが理解の懸け橋に
こうした迷惑行為には「ノー」を突き付ける一方で、些細な気遣いによって、たばこを吸う人の印象が変わったというケースも。國居さんは「子どもを連れて入った飲食店で、隣の席の若いカップルがこちらを見て、吸おうとしたたばこをサッとしまってくれたことがありました。気付いていないだけで、配慮してくれている人も多いのかな」というエピソードを披露。初見彩さんも「会社の飲み会でたばこを苦手な人がいたら、自ら遠慮してくれる同僚も多い。事前に尋ねてくれて、吸わないでほしいと伝えると快く応じてくれますし」と心配りの嬉しさを感じたといいます。喫煙への理解を示す意見もあり、「たばこを一本吸ってリセットしてというような切り替えの時間につかう人も多い」「お酒を楽しみにしている人同様、楽しみを奪うのもかわいそう」という発言がありました。
江森友里江さんは「結局のところ、マナーのいい人って見えないところで吸って周囲に気付かせない。悪い人ばかりが目立ってしまい、たばこ全体のイメージを下げている面はあるかもしれない」と分析。八木さんは「マナーを守らない人への嫌悪感が吸う人と吸わない人の分断を生み、理解しあう機会もないまま溝を深めてしまっているのかもしれません」と話しました。
カギを握る喫煙所の在り方とは
それではマナーの悪いたばこを吸う人を減らすためにはどうすればいいのか。「行き着くところ喫煙所を設けるしかない」とは江森さん。25年1月をめどに路上喫煙禁止地区が大阪市内全域に広がりますが、「インバウンドが回復傾向にあり、今後は万博に向けてさらに喫煙マナーの異なる海外観光客が増えるはず。喫煙所がなければ混乱を招くことになるのではないでしょうか」と示唆します。
これに対し、國居さんからは「喫煙所と公衆トイレって感覚が近いかも。いっぱいあれば余裕をもって使え、マナー向上につながるように思う」との見解が。初見さんも「綺麗なトイレは綺麗に使おうとするように、喫煙所も思わずマナーを守りたくなるような設計にしたらいいのでは」と提案。このほか、「吸っている姿を子どもたちには見せたくないので、吸わない人には分からないように配置を工夫してほしい」との要望もあがりました。
吸う人と吸わない人との共存に向け、喫煙所の実証実験も行われています。京橋駅前の「FULALI KYOBASHI」では、エシカル(倫理的なこと)をテーマに、間伐材をアップサイクルした屋外喫煙所が設けられています。JR大阪駅北側の「うめきた外庭SQUARE」(2023年3月に終了)では、美観やにおいの拡散に配慮した喫煙所の実証実験が行われました。植栽での目隠しやサーキュレーター、リクライニングチェアを配置するなどくつろぎの空間を演出。ステンレスミラーの柱を林立させた「光学迷彩型喫煙所」では景観に溶け込ませつつ、自身の喫煙風景が目に入る仕掛けでマナーの向上効果が図られました。防災備品やAED(自動体外式除細動器)を備えるなど付加価値を付けた喫煙所も設けられ、社会課題解決に向けた様々な取り組みが実施されました。
こうした喫煙所を見たことがあるという江森さんは、「見た目がいいうえに目立たない場所にあって、内部も広いので、こんな喫煙所なら吸いに行くと言われても、快く送り出してあげられるかなと感じました。AEDは必要な時にビルの中だと取りにいけないので、屋外に備えるのはいいアイデアだと思います」と話しました。
このほか、「近くの喫煙場所や混み具合が一目でわかるアプリがあったらいいかも」「スタンプラリー方式で喫煙所に誘導するのは」「所定の場所に10回捨てると商品をもらえるとかなら、頑張る人が出てくるかも」など様々な案が上がりました。大阪・関西万博までの期間がマナー向上の好機と捉える意見も。清水さんは「万博をきっかけに喫煙所や分煙環境が整えられることで、マナーを守る人もどんどん増えていってくれれば」と期待を寄せます。八木さんは最後に、「吸う場所に困ってマナー違反をしてしまっている方もいるでしょうし、健全な喫煙所が社会インフラとしてちゃんと整備されていけば、吸わない人にも快適な街になっていくのではないでしょうか」と締めくくりました。
間伐材を活用したアップサイクルの喫煙所
間伐材をアップサイクルした屋外喫煙所がJR京橋駅前の「FULALI KYOBASHI」に設けられています。
建設機材レンタル大手の西尾レントオールが実証実験の一環として設置し、大阪市の補助金制度を活用した指定喫煙所にも認定される予定です。
天井が開放型の喫煙所で、熊野古道周辺の「JTの森 中辺路(なかへち)」から切り出した熊野杉の間伐材を活用。同施設には屋台やキッチンカーなどが並ぶほか、大型画面でスポーツ観戦などを楽しめる広場もあり、大人も子どもも集まる中、喫煙所は施設の景観を損なわない外観になっており、喫煙中の姿も見えないデザインになっています。
入り口は車いすと人が十分にすれ違える幅を確保し、内部は広々としたスペースに足元のペダルで蓋を開閉できる「無水灰皿」を備えています。
エシカル(倫理的なこと)をテーマに生活環境の課題を身近に体感できる場として運用していく予定で、にぎわいのある憩いの場の創出に向け、SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」の発信も目指しています。