武庫川女子大学は、UR都市機構の浜甲子園団地、武庫川団地と、地域活性化活動などで連携を深めています。浜甲子園団地では、私が所属する生活環境学部を含め、多様な学部学科がある利点を生かし、2008年ごろから住戸の実験的なリノベーション実施や地域の交流拠点づくり、健康相談、参加型音楽活動などに取り組んできました。
武庫川団地との連携も深く、2014年にはこうした協力関係をさらに継続し、住民主体のコミュニティ活動を充実させるためUR都市機構と包括連携協定を結んでいます。
生活環境学科まちづくりコースでは、地域の課題や魅力を調査・分析し、その課題解決や魅力の増進につながる企画・提案・実践を行う授業を2020年から実施しています。特に2022年7月にUR都市機構と阪神電鉄にご協力いただいて行った「赤胴車灯(あかり)工房」「ナイトピクニック」は、学生が調査に基づき、武庫川団地の豊かなオープンスペースをもっと活用し、20~30代の若い世代に向けた取り組みを行おうと企画したものです。ワークショップでランプシェードを手作りし、それに光を灯してナイトピクニックをするイベントには、団地外からも予想を超える人に参加していただきました。
また、授業とは別に、卒業研究の一環として私の研究室で、まちづくりを学んでいる学生が赤胴車に関するアンケートを行わせていただきました。そのなかでは赤胴車の印象は非常によく、認知度も高いという結果が出ました。赤胴車自体がシンボリックなので活用に対する期待感も大きく、マルシェをしたいという声も多く聞かれました。
そういう意味では、これまでマルシェを継続して開催し、多くの来場者に来ていただけていることは、地域の皆さんのニーズにマッチした形で活用されていると感じています。
さらに、昨年のアンケートで興味深かったのが、コロナ禍で生活にさまざまな変化が出るなかで、他の世代よりも若い世代に「人ともっとつながる機会がほしい」という結果が出たことです。活動制限される状況で、地域に対する意識や、人と人とのつながりに対する意識が高まり、こうしたコニュニティ拠点がより重要になっていく印象を持ちました。
こうした活動を通し、学生は地域に根差した学びを得ており、大学としても学外の多様な人と交流し、社会課題の解決を実際に学べる意義は非常に大きいと感じています。これからも大学と地域との連携を学生の成長につなげたいと思います。