タイアップ企画TIE-IN
【全7回シリーズ 第3回】
三井住友信託銀行
タイアップ企画
「地域とともにSMTB
“With You活動” 西日本版」~地域の資産をよみがえらせる!!~
三井住友信託銀行の各支店がそれぞれの地域で取り組む活動を紹介するタイアップ企画。第3回は、西日本エリア。カーボンニュートラル(脱炭素)社会の実現に向けた大きな流れの中、地域でなにができるのか。脱炭素社会の実現を原動力に、地域の資産をよみがえらせようという支店での活動を二つ紹介する。
「水素の街」認知度向上へ若手が立ち上がる
「水素社会ってなに?」「水素をつくる!」「水素をつかう!」--。夏休みに入って子供や家族連れでにぎわう兵庫県姫路市の「イオンタウン姫路」で、水素に関する8枚の解説パネルが展示された。三井住友信託銀行姫路支店が、兵庫県から借り受けて展示した水素の基礎知識を学べるものだ。
■次世代を担う子供たちにアピール
発案したのは、支店独自で月1回開いている「未来創造会議」のメンバーたちだ。地域活動の内容を議論するこの会議。今回は、「夏休みシーズン。次世代を担う子供たちにも水素にも興味を持ってもらいたい」(入社3年目の小西桃香さん)と実施が決まった。2022年度に支店でパネル展を実施し、昨年度からはイオンタウンで開催している。
姫路市にある姫路港や、明石市などにまたがる東播磨港で構成する「播磨臨海地域」では、兵庫県が策定している「カーボンニュートラルポート」計画の下、官民連携で水素の受け入れ・供給拠点化を目指している。同地域は鉄鋼や化学といったメーカーの工場のほか、発電所が集積し、兵庫県全体の二酸化炭素(CO2)排出量の約半分を占めるエリアだ。今年は水素の供給基盤の整備を促進する「水素社会推進法」が施行し、水素の供給網整備に向けた動きが本格化する。県のパネルを利用した民間企業による展示は三井住友信託銀行が初めて。「この地域が2050年の脱炭素社会の実現に向けた拠点となる意味合いは、大きい。パネル展などを通じて地域住民の機運を高めてもらえることはありがたい」と、兵庫県総合政策課の藤井基明さん。
姫路市としても2021年に、二酸化炭素(CO2)の排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言。製鉄大手が2022年10月から電炉の商業運転を始めたほか、市民に身近な場所でも、水素ステーションの稼働や路線バスへの燃料電池バス(FCバス)導入など、脱炭素へ向けた変化が起きつつある。姫路市環境政策室の金井晴彦さんは、「(石炭や天然ガスといった)化石燃料が水素に置き換わるにはまだまだ時間はかかるが、移行を進めるためにもさまざまなところで地域の方々の理解を広めてもらいたい」と、未来創造会議の活動を歓迎する。
■独自会議がもたらす、地域と社員の成長
未来創造会議の中心的なメンバーである入社4年目の安田真優子さんは、「学校などに出向くと高校生など学生の環境意識は高い。姫路市が水素タウンとして新たな可能性があることを、広く浸透させたい」と、企業からさらに地域の人々へと機運を広げたいと意気込む。未来創造会議は、全社的に各支店で取り組んでいる地域活動をより深掘りしようと支店独自で設けた20歳代の若手支店社員による会議だ。現在は4人の若手と、2人の相談役の管理職が会議に参加する。
姫路支店は社員が約50人。法人営業がなく、個人向けの営業のみを手がける。水素はまだ企業間で利用が始まっているだけで、なじみが薄いのは支社の若手社員も一般市民と同じだ。しかし、「未来創造会議を通じ、個人の目線だけでなく、幅広く地域のことを考えるきっかけになっている」と、相談役の同支店財務相談課長の谷口敬太郎さん。地域活動には個人も法人も関係ない。地域の活性化と社員の成長につながっている。
京都支店、存続危機のブランドスギを脱炭素で救え!
京都では、脱炭素の取り組みで古き良きものを復活させようという動きに、三井住友信託銀行京都支店がかかわっている。北山杉の再生だ。北山杉は、室町時代に千利休が見出したとされ、600年の歴史がある。しかし、丸太生産量はこの30年で20分の1まで減るなど存続の危機に直面する。脱炭素で森林の重要性が高まる中で、三井住友信託銀行は京都市や京都北山丸太生産協同組合、京北銘木生産協同組合などと連携し、北山杉の安定供給と販売ルートの確保を目指している。
北山杉は、節がなく光沢のある質感から床柱や数寄屋建築といった和室の木材として重用されてきた。ほかの地域のスギと異なり、緊密に植林して、こまめな枝打ち作業をしながら育てるため、年輪の詰まった根元から先まで太さが均一な丸太ができあがる。育林から加工までにかかる時間が一般的なスギ材の数倍とも言われる。
しかし、現状では、丸太需要の減少で、担い手が減り、枝打ちが行き届かない状況になりつつある。木々が密に植林されているだけに、枝打ちを怠れば、山林が暗がりになって下草が生えなくなって土砂崩れの要因にもなる。京都北山丸太生産協同組合理事の松本吉弥さんは、「一般的な間伐ではなく枝打ちが欠かせない北山杉は手間もかかる。その分、光沢がある丸太ができる。その魅力を伝えなければ、山林も本来の姿で整備できない」と危機感を募らせる。
脱炭素社会の実現にむけては、二酸化炭素(CO2)の吸収という側面から森林の重要性が指摘されている。北山杉の山林もCO2の削減価値が認められるようになれば、山林そのものに新たな価値が創造される。
今回の連携では、北山杉ブランドを高め、担い手を呼び戻す将来像を描いている。一時的な対策でなく、森林を持続的に管理できる供給体制、販売網、そして担い手の育成といったエコシステム(持続的なビジネスの仕組み)の構築を目指す。息の長い取り組みになるが、「流通や販売ルートにも接点のある大手企業が協力してくれることは、地域が持つ価値を再生するうえで、とてもありがたい」と、林業一筋だった松本さんは歓迎する。
時代とともに変化する地域の産業をどう支えていくか。北山杉の需要を爆発的に増やすのは容易ではないが、三井住友信託銀行京都支店の市村洋祐さんは、「芸術性の高い北山杉には、歴史的な価値もある。和室などかつての用途では需要が減ったが、新しい使い方の創出とともに、木材としてだけでなくカーボンニュートラルにおいても価値も見出すことで、北山杉を伝承していけるのではないか」と語る。地域には優良な資産がまだ数多くある。新たな視点・切り口で価値を創造し、次世代に引き継いでいくチャレンジが、地域活動の根底に流れている。