タイアップ企画TIE-IN

【全7回シリーズ 第2回】
三井住友信託銀行
タイアップ企画
「地域とともにSMTB 
“With You活動” 首都圏版」~地元の潜在力を引き出す~

SuMi TRUST With You

三井住友信託銀行の地域に寄り添う活動を取り上げるタイアップ企画。第2回は、首都圏エリアの活動を取り上げる。近年、東京都への人口の一極集中などが問題となっている。首都圏でも東京都以外では人口流出や環境問題などさまざまな課題に直面している。三井住友信託銀行では各支店が、地元の魅力を潜在力として引き出そうとさまざまな取り組みを行っている。

■漁業の街だからこそ課題を直視

駿河湾の恵まれた漁場で水揚げされる水産物が地域の大きな魅力となっている静岡県沼津市。全国各地で海開きが始まる7月、三井住友信託銀行の沼津支店は、海をテーマにした色鮮やかな水彩画大小16点で華やかな雰囲気に包まれていた。ただ、展示で伝えるのは、海がかかえる海洋汚染という大きな社会課題をテーマにしたものだ。

沼津支店に展示された鈴木翔太さんの海洋汚染問題を風刺した作品(2024年7月25日、静岡県沼津市の三井住友信託銀行沼津支店で)
沼津支店に展示された鈴木翔太さんの海洋汚染問題を風刺した作品(2024年7月25日、静岡県沼津市の三井住友信託銀行沼津支店で)

作者は地元の中学3年生、沼津市公認の「おさかなアートクリエーター」鈴木翔太さんだ。支店が昨年実施した障がい者アートの展示をきっかけに、アートつながりで紹介され、今年6~8月の2か月にわたって鈴木さんの作品を展示することになった。鈴木さんは小学2年生のころから創作活動を続けており、今では、東京・品川や中国・湖南省など国内外の水族館や美術館、学校で展示会を開いている。支店長の豊田俊介さんは、「海とともに生活がある地域。さらに若い世代の頑張りをもっと発信したい」と、展示会開催の理由を語る。

■目を背けたいテーマを明るく

飲み込んだ海洋ゴミを吐き出すジンベイザメ。ウミガメからきれいな海を一部描くことで、汚れた海と理想を対比している(2024年7月25日、沼津支店)
飲み込んだ海洋ゴミを吐き出すジンベイザメ。ウミガメからきれいな海を一部描くことで、汚れた海と理想を対比している(2024年7月25日、沼津支店)

海に漂うペットボトルや紙袋、マスクを飲み込んで吐き出すジンベイザメに、マイクロプラスチックと呼ばれる廃棄物のプラスチック破片の中で泳ぐトビウオ、ゴミが組み合わさってできた疑似的な“魚”と泳ぐハナダイーー。どの絵も海洋汚染の中でも輝く魚を、ゴミと対比しながら風刺的に描いている。使う色は、青や黄、ピンクなど鮮やかだが、絵の中には明確なメッセージが込められている。鈴木さんは、「写真で伝えられる海洋問題の世界は、ビニール袋を飲み込んでしまったり、漁網に引っかかったりしたカメなど悲しくなりがちなものがほとんど。少しでもその悲しさを和らげて伝えたい」と語る。目を背けがちなテーマだからこそ明るく伝える思いが作品にあらわれている。

海洋プラスチックは今後も増え続け、魚よりも多くなるとみられている。世界の海洋プラスチックの量は10年ほど前の調査でも1億5000万トンに上り、毎年800万トンが流れ出ていくと示されている。マイクロプラスチックといわれる5ミリ以下の小さなプラスチック破片は、生き物の体内に入ったり、砂浜に紛れ込んだりする。生態系への影響に加え、浄化といった海岸機能の低下、景観悪化にもつながる。

沼津市の人口は20万人弱。人口は静岡県全体の5%程度だが、海面漁獲量は県全体の3割を上回っている。地域経済にとって水産業は重要だ。豊田支店長は、「地域にはそれぞれの特性がある。共通する海沿いの県外地域でも、こうした展示が広がるきっかけになれば」と思いを込める。

■地域の実情を知るきっかけに

三井住友信託銀行の首都圏各支店でも、地域ごとの課題に向き合っている。

前橋支店では、社会問題化している空き家対策に目を向ける。ハウスメーカーなどとともに相続や法制度なども含めた無料のセミナーを実施。また、東京・大森支店では、中小企業が多く集積してきた土地柄や空港が立地する特色をアピールする取り組みを進める。東京の中でもそれぞれの地域の“個性”に支店として対応するためだ。

過疎化対策や脱炭素社会の実現など共通のテーマに、地域の魅力をどう生かせるのか。地域での活動が支店の若手の成長にもつながっている。

番外編)
沼津市公認おさかなアートクリエーター鈴木翔太さん

「海洋プラスチック問題の解決に向け、これからも発信」

沼津支店の展示作品を描いた鈴木翔太さんが作品に込めた思いを語った。

インタビューに応じる鈴木翔太さん(2024年7月25日、三井住友信託銀行沼津支店で)
インタビューに応じる鈴木翔太さん(2024年7月25日、三井住友信託銀行沼津支店で)

――海洋汚染問題を描こうと思ったきっかけは?

地域活動のイベントでサメの解剖を見て驚いたのがきっかけだった。胃の中からプラスチックの破片がたくさん出てきたのをみて、このままではいけないという思いを持った。もともと絵を描くのが好きで小学2年生のころから、恐竜や深海魚を描き、展示会も開いてきた。海洋プラスチックの問題も、絵で多くの人に知ってもらえると思った。

――作品で気を使っていることは?

海洋プラスチックの問題は、写真で紹介されることが多い。でも、ビニール袋を飲み込んでしまったり、漁網に引っかかったりしたカメなど、悲しい気持ちになるものが多い。なるべく明るい色を使うことで、目を背けずに見てもらい、海洋汚染問題を知ってもらいたいと考えた。

マイクロプラスチックは、四角形など、直線的な形をしているものが多い。魚は丸みがあるが、プラスチックは違う。細い筆を使い減らしてさらに細くなったものを使い、より本物っぽく書くようにしている。

――今後の抱負は

沼津は漁業関係者も多く、創作活動を応援してもらえる、とてもいい環境がある。ただ、海洋汚染問題は沼津だけでなく、たくさんの人にかかわってもらわないと解決しない。企業・団体・政治家の方々にも目を向けてもらえるようにこれからも発信していきたい。