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南 修二さん

南 修二さん 【略歴

丸の内タニタ食堂大成功のヒミツ

南 修二さん/タニタ食堂NS事業部部長

 ミリオンセラー突破のレシピ本から生まれた「丸の内タニタ食堂」(東京・千代田区)はことし1月にオープン。健康ブームにも乗って入場に整理券が配られ、近隣の動線を変えたとまで言われる大成功を収めた。タニタは体脂肪率まで計測できる「体組成計」のパイオニア。食堂は新事業ながら今や社の金看板になっている。ブームの火付け役で、中央大学総合政策学部2001年卒業生の南修二部長(33)を訪ねた。

大繁盛、近隣の飲食店にも人が流れた

 丸の内タニタ食堂が入るオフイス街の国際ビルヂング。テナントの案内板に同食堂は見あたらないが、ビル玄関口のショップ店員は「地下へ降りたらすぐに分かりますよ」と手慣れたものだ。同食堂の繁盛で周辺の飲食店、ショップに人が流れている。

丸の内タニタ食堂店舗入口

お店の中の様子(最大で70席)

 取材日は日替わりメニューを選んだ。「バーベキューチキン定食」で、メーンのほかに大根とツナの炒め物、ほうれん草のおひたし、トマトの味噌汁、ごはん。これで408キロカロリー、塩分量3.5グラム。800円だ。1定食あたりのエネルギー源の適量は500キロカロリー前後。塩分は3グラムほど。ごはんは自分でよそう。ごはん茶碗の内側にラインがあって、上部ラインは150グラム、下部ラインは100グラム換算。南さんが、笑顔で接客し、説明をしている。テーブルには食事時間を計るタイマーがあり、20分間が理想だという。入店から少しずつ健康を意識している自分に気づく。

5月7日当日のメニュー

 話題を集めたタニタの社員食堂には、太らない、ダイエット、健康促進など現代の金言がちりばめられているようだ。同社はヘルスメーター、料理スケールなど「はかる」ことに特化した事業展開をしてきた。社員は歩数計をつけ、社にある体重計に週1度乗るのが決まりだ。数値のいい人は表彰される。社風は、社員食堂のレシピ本「体脂肪計タニタの社員食堂」と同続編がシリーズ累計490万部も発行されて、風向きが変わってきた。

 発売から2年。関心は徐々に高まり、コールセンターに「社員じゃないけれど社員食堂で食べたい」との要望が殺到し、本来業務の商品問い合わせに支障が生じた。

社内公募で食堂責任者に

 食堂事業への進出を決めた同社は、責任者を社内公募した。手を挙げ選ばれたのが、南さんだった。2011年8月に事業が本格化し、店づくりが始まった。直前業務では、インターネットで「からだカルテ」という健康応援の、やはり新規事業を立ち上げていた。ダイエットの基本は「はかる」こと。データを自動でグラフ化し、歩数計や血圧計を組み合わせたプログラムを開発した。こうすれば継続しやすく、ダイエットにつながっていく。ヒットの出始めだった。

 南さんはアイデアマンだ。食堂入り口にある食券発券機の選択ボタンには、日替わりメニュー、週替わりメニューのほかに、「業務用体組成計200万円」というサプライズを用意した。「肥満予防活動を応援しています」と宣言する同社の基本姿勢にひと工夫加えたら、テレビのバラエティー番組がこぞって取り上げた。「遊びですけどね」と言いながらもクリーンヒットに満足そうだ。食堂では、この業務用体組成計を使った無料カウンセリングを実施中。

カウンセリングルーム

社会の将来を見据えた就職活動

 アイデアは総合政策学部に籍を置いた中大時代に育まれた。同学部は1993年に開設。南さんは5期生になる。「新しい学部ですから、他大学の同様な学部に興味がありました。学生交流会の執行部に入り、慶応、関西学院、立命館と組んで新しいプロジェクトを企画、参加を呼びかけ、運営していました。それが役に立ちました」。

 アイデアは就職先を決めるときにフル稼働した。高齢化社会が続くニッポン。健康・予防・介護・医療は必須アイテムだ。「就職が厳しい時代でして、金融やマスコミも受けましたが、将来性や先見性を考えて、これはって思う会社には何度も足を運びました」。
 社会分析と熱意でタニタの内定を得た。

 174センチ、60キロ。体脂肪率は7~8%。一桁は米大リーグの打撃記録を次々に塗りかえるマリナーズのイチロー、女子マラソン五輪金メダリストの野口みずき両選手に匹敵する世界レベルだ。「タニタでバランスのいい食事をとって、好きなランニング、ウォーキング、自転車と、私には太る要素がありません」と言い、こう付け加えた。
 「体が商売道具ですからね」。

 いい仕事と健全な体。うらやましいことに南さんは二兎を得た。

南 修二(みなみ・しゅうじ)さん
株式会社タニタ NS(Nutrition food Service)事業部長 中央大学総合政策学部卒、2001年同社入社。営業、新規事業などを経て2011年8月から現職。33歳。大阪府出身。
2011年モスクワマラソン完走(5時間18分)、ハーフマラソン(山中湖ほか)5回完走。