Chuo Online

  • トップ
  • オピニオン
  • 研究
  • 教育
  • 人‐かお
  • RSS
  • ENGLISH

トップ>人―かお>『行列のできる法律相談所』に出演中。

人―かお一覧

菊地 幸夫

菊地 幸夫 【略歴

『行列のできる法律相談所』に出演中。

小学生バレーボールの監督なども精力的にこなす

菊地 幸夫さん/弁護士

もう一度人生を与えられるのなら教師になるのもいい

 3月25日、多摩キャンパスで開かれた卒業式で祝辞を述べた来賓の一人だった弁護士の菊地幸夫さん(1981年法学部卒)。身近な法的トラブルをテーマにした日本テレビのバラエティ番組『行列のできる法律相談所』の出演者としてもおなじみだ。

 菊地さんは弁護士としての活動だけでなく、自分の事務所にロースクールのエクスターンシップ生を受け入れたり、司法試験予備校で講師を務めるなど、後進の指導にも積極的。というのも、「生まれ変わったら教師になるのもいいなと思っています」と話すほど、「教える」ことに喜びを感じるからだ。本学在学時にも司法試験の勉強と並行して教職課程を選択。さらに母校の高校ではバレーボール部のコーチを務め、早朝と放課後の練習に顔を出す毎日を送っていた。このように教えることも数多く体験してきた菊地さんは、「教師と弁護士には共通点がある」と考えている。
「一人ひとりの子どもに向き合い、『どこがわからないの?』『いま何がつらいの?』と対話していくのが教師ですよね。弁護士も同じで、目の前にいる依頼人の身になって問題を考えていく姿勢が大切です。いわばカウンセラーのようなものなのです」

 依頼人からすれば弁護士は、夫婦のトラブルや自らの犯罪のことなど、人に知られたくない悩みを相談できる数少ない相手。だからこそ菊地さんは、依頼人のなかにたまった思いをとことん聞くという姿勢を貫いているのである。

ビジネスライクにならず、相手のことを第一に考える

 そんな菊地さんは、弁護士の仕事のなかで「請求」が一番苦手だという。
「私のところにくる人のなかには、お金の問題で悩んでいる人もいます。そういう人に弁護士料を請求するのは、けっこうつらいものがあります。その点、国選弁護人は、依頼人への請求について考えなくていいので気持ちが楽ですね」

 ビジネスライクに走らず、依頼人のことを第一義に考える菊地さん。日本テレビの『行列のできる法律相談所』からの出演依頼を引き受けたのも、そんな思いからだった。
「はじめはあまり気乗りしなかったのですが、一度出てみたところ、当時相談にきていた方から『見ましたよ』という電話をいただきました。テレビに出たことで、私を身近に感じてもらえることを知り、レギュラー出演を引き受けることにしたのです」

 最初の出演は2007年8月。最近では司会者の島田紳助さんからスキンヘッドをネタにされることも多い。「ウケをねらうことだけを考えているわけではありませんが、笑ってもらうことでいま以上に身近に感じてもらえればいい」と菊地さんはとらえている。

趣味のスポーツは気力と体力を測るバロメーター

 弁護士活動のほか、司法試験予備校の講師やテレビ出演などもこなす菊地さん。ここ15年ほどは、自らの健康状態を確認するためにも、トライアスロンに挑戦している。
「トライアスロンは体力だけでなく、メンタル面での強さも問われるタフな競技。レース中『家で発泡酒を飲んでいるほうが楽なのに』と、それこそ何百回も考えるわけですが、完走すると自分なりに合格点を与えることができる。その経験があるからこそ、難しい案件を受けても『何日か徹夜するかもしれないが、できないことはない』という自信も生まれるんです」

 趣味はスポーツと話す菊地さんは、多いときは年に5、6回トライアスロンの大会に出場。さらに週末になると、地元の小学校でバレーボールの監督もしている。
「監督として教える立場にいるのですが、子どもからは元気をもらっています。司法試験の予備校でも、生徒から学ぶことは少なくありません」

 さまざまな活動に取り組む菊地さん。「弁護士活動も、人に教えることも、人と人との関わりを大切にしている」ことが、その原動力になっているのだろう。

(提供:中央大学学員時報462号)
写真提供:日本テレビ『行列のできる法律事務所』

菊地 幸夫(きくち・ゆきお)さん
1957年生まれ、東京都出身。1981年に中央大学法学部を卒業し、現在、四ツ谷にある番町法律事務所で弁護士として活動している。民事・刑事・学校・教育問題などを広く手がけている。元司法研修所刑事弁護教官。司法試験予備校の辰巳法律研究所で長年講師を務めており、2008年からは、日本テレビ系『行列のできる法律相談所』のレギュラーとして活躍中。