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高木 新二郎

高木 新二郎さん 【略歴

企業再建に辣腕発揮のプロ「JAL再生タスクフォース」のリーダーとして尽力

高木 新二郎さん/弁護士

 深刻な業績不振に陥った日本航空の経営再建のために前原誠司国土交通大臣直轄の顧問団として設置された「JAL再生タスクフォース」のリーダーに本学の卒業生である高木新二郎さんが就任、「時の人」として脚光を浴びました。

 この「タスクフォース」は、事業再生のプロフェッショナルによって構成された専門家集団(5人)であり、日本航空の自主的な再建を確実に実現することを目的として、再建策の策定にあたりました。事業再生のプロ中のプロ、高木さんのリーダーとしての手腕に注目が集まったところです(タスクフォースは1カ月の集中作業で再建策をまとめあげ大臣に提出、方針がJALの自力再生から企業再生支援機構を使った政府管理下での再生に切り替わったことで、10月末次のステージに移行しました)。

 高木さんは1963年から25年間にわたり、弁護士として倒産事件を数多く手がけたあと、88年、「司法改革のためには、法の職人ではなく、いろいろな知識を持ち、経験を積んだ法律家が裁判官の中にいることが望ましい」と自ら志願して弁護士任官第1号の裁判官に。東京高地裁判事、山形地家裁所長、新潟地裁所長などを歴任し、東京高裁部統括判事を最後に2000年、退官しました。同年、再び弁護士として登録した後は、世界最大負債規模の協栄生命保険の更生管財人に就任したほか、私的整理ガイドラインや事業再生ADRをつくり、公正なワークアウトにより多数の大企業を再建し、この分野の第一人者として03年から07年まで産業再生機構産業再生委員長をつとめました。

 企業の再建計画をまとめ上げるためには金融、法律、会計などの幅広い知識と豊富な経験が必要とされます。さらには秀でた交渉手腕が不可欠ですが、高木さんは自ら自家用車を運転して債権者の銀行との調整役として奔走したなどの人間味にあふれたエピソードも語り草になっています。

 02年に66歳で法学博士の学位を取得。元中央大学法科大学院特任教授(04-06年)。2007年から野村證券顧問。まさに「実学の中大人」、かくしゃくたる活躍ぶりです。

高木 新二郎(たかぎ・しんじろう)さん
千葉県出身。1960年中央大学法学部卒業。63年から、弁護士として多くの会社再建事件に取り組む。88年弁護士任官第1号として裁判官に任官。東京高地裁判事、山形地家裁所長、新潟地裁所長を歴任し、東京高裁部統括判事を最後に00年退官、弁護士再登録。元産業再生機構産業再生委員長(03~07)。元中央大学法科大学院特任教授(04~06)。07年 野村證券顧問に就任― 現在に至る。
倒産法の第一人者としても知られ、『事業再生』(岩波新書)、『企業再生の基礎知識』(岩波アクティブ新書)、『新倒産法制の課題と将来』『随想・弁護士任官裁判官』『アメリカ連邦倒産法』『会社整理』など著書多数。