オピニオン

CHUO Diversity x ハラスメント防止啓発 Week 2021(2021年11月4日―13日)「戸惑いの時代のダイバーシティ」の開催に寄せて

中央大学ダイバーシティセンター

はじめに

chuo_1014_img_1_1.jpg 20204月、新型コロナウイルス感染拡大の先行きが見えない時期に、多摩キャンパスのグローバル館の一室で、ダイバーシティセンターはスタートを切りました。20214月には新棟FOREST GATEWAY CHUOの2階に移動しダイバーシティスクエア(Dスクエア)も開設。学生がキャンパスに戻ったらいつでも立ち寄ってもらえるように、安らげる「居場所」の準備を整えました。

 2021年秋、コロナ禍はいまだ収束に至らず、ダイバーシティスクエアもフル稼働はできていませんが、この間の歩みの証として、今年で第4回目となる「CHUO Diversity x ハラスメント防止啓発 Week」をオンライン開催いたします。

 今年の総合テーマは「戸惑いの時代のダイバーシティ」です。コロナ禍の不安や不確実さを改めて見つめながら、前を向いて未来を構想するべく、白門祭終了後の114日(木)から1113日(土)に、ダイバーシティ推進とハラスメント防止啓発について共に深く学び考えるための様々な企画を揃えました。

 本稿では、ダイバーシティセンターを支えるコーディネーター3名から今年の総合テーマに込めた想いを伝え、学外からの参加も可能なものを中心にいくつかの企画を解説いたします。

総合テーマ「戸惑いの時代のダイバーシティ」について

 たとえば台湾の新型コロナウイルス感染抑圧に貢献しているオードリー・タン氏が紹介されたとき、その穏やかな佇まいと明晰な言葉によって、静かにしかし確実に社会が変わっていることを感じた人が多かったのではないでしょうか。時代の変化は常に、そうした「誰か」と「何か」によって形づくられ共有されていきます。「あなた」が「ダイバーシティウィーク」にかかわることも、そこに連なるのではないかと、今私たちは期待しています。

 今年の総合テーマでは、コロナ禍にあって、これまで私たちが信じて疑わなかった「確かさ」が根底から崩壊するような様を「戸惑いの時代」と表現しました。しかしこれは、決して悲観的に捉えるべきことではありません。むしろ私たちが到達したと思い込んでいる現代社会を再考し、進化させる時間を得たのだと理解してはどうでしょうか。みなさんと一緒に、考え、学ぶ10日間をお届けし、そしてその先の未来に、「中大のダイバーシティウィーク」をきっかけに活躍している誰かと出会うことを願っています。

(障害領域コーディネーター:髙口僚太朗)

CHUO Diversity x ハラスメント防止啓発 Week 2021」企画紹介

 今年度の企画の中からいくつかをコーディネーターがご紹介します。オリンピック・パラリンピックや企業におけるダイバーシティを扱う講演会、学生企画など、現代の諸課題を考えるイベントの中には学外の方でもご参加いただけるものもあります。詳細はウィークのウェブサイトでご確認ください。

(ジェンダー・セクシュアリティ領域コーディネーター:小川奈津己、三宅大二郎)

講演会「トランスジェンダーの経験に触れてみよう」

(日時:11月5日 13:20-15:00、講師:遠藤まめた氏・河上りさ氏)(一般参加可)

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 昨今、トランスジェンダーへのバッシングがいろいろな場面でみられることをご存知でしょうか。例えば、今年開催されたオリンピックでも、トランス女性(出生時に男性として割り当てられ、女性として生きる人)の選手に対する否定的なコメントが繰り返しSNSに投稿されました。

 こういったバッシングの背景の一つとして、トランスジェンダーとして生きる人たちの「リアル」な生活が知られていない面があります。そこで、今回は講師のお二人も活動しているグループで作成した冊子「トランスジェンダーのリアル」を使いながら、トランスジェンダー当事者やその家族のリアルな姿に触れ、実感をもった正しい知識を得られる機会を作りました。(なお、冊子「トランスジェンダーのリアル」は、ダイバーシティスクエアでご覧いただけます。)

講演会「社会人の新常識!ダイバーシティな職場とは何か~LGBTフレンドリー企業の事例を中心に~」

(日時:11月6日 13:20~15:00、講師:Job Rainbow)(中央大学卒業生も参加可)

 大学が多様性を尊重する環境作りに取り組むことと同様に、学生の次なる活躍の場となる職場でも、ダイバーシティが保障されていることが大切です。一方で現実には、ダイバーシティが保障された職場とは?働き方とは?と戸惑いながらキャリア支援が行われ、戸惑いながら卒業生がそれぞれの職場に入っていきます。白門一新会という若手の同窓会組織と共催し、働く現場の現在とこれからを共に考えます。今働いている人も、これから働く人も、これから働く人を支える人も、どうぞご参加ください。

講演会「パラリンピックは共生社会をもたらすことができるのか?~パラアスリートの多様性と限界~」

(日時:11月11日 13:20-15:00、講師:渡正氏)(一般参加可)

 開催準備期間からダイバーシティに関する課題が次々明らかになったこの夏のオリンピック・パラリンピック東京大会ですが、メディアでは出場した選手たちの活躍が連日輝かしく報道されました。一方で、パラリンピックの競技やその報道を見ていると、「どのように多様な選手が同じ競技をするルール、仕組みがつくられてきたのだろう」、「パラリンピックの観戦が教育として勧められるのはなぜだろう」などの疑問も湧いてきます。この講演会は「メダル」だけではない、様々な角度からパラリンピックについて知る・考える良い機会になるはずです。

講演会+ワークショップ「知ろう!語ろう!Diversity!~インターセクショナリティってなんだろう?~」

(日時:11月13日 14:00~16:30、講師:清水晶子氏)(学内者限定)

chuo_1014_img_2.jpg  Diversity Creator Teamはダイバーシティセンターの活動に協力する学生グループです。これまでグローバル領域を中心に活動してきましたが、今回はより広くダイバーシティに関わるテーマとして、最近注目されているインターセクショナリティという概念を取り上げます。ダイバーシティといえばジェンダー、セクシュアリティ、人種、国籍、身体性といった要素が浮かびますが、これらをただ足し算すれば複合的なアイデンティティを十分理解できるのでしょうか?講演会で解説を伺ってから、参加者同士でディスカッションをしていきます。コーディネーターの小川奈津己もインターセクショナリティ性をもつ当事者の一人として登壇します。

おわりに

 ウィークの間には、これら以外にも留学生との交流会やハラスメント防止啓発のための講習など多彩な企画があり、ダイバーシティスクエアで関連書籍の紹介なども行う予定です。なかなか終わりが見えないコロナ禍、そしてオリンピック・パラリンピック開催年と、非日常と日常が混沌と重なる時間が続く2021年だからこそ、改めてハラスメント防止啓発やダイバーシティの意味と価値を考えてみませんか。多くの方のご参加をお待ちしています。

中央大学ダイバーシティセンター

中央大学ダイバーシティセンターは、2017年に公表した「中央大学ダイバーシティ宣言」に基づき、大学の構成員それぞれの尊厳が尊重される、多様な価値観に基づいた豊かな学びを実現できる環境づくりに取り組んでいます。多摩キャンパスのFOREST GATEWAY CHUO2階のダイバーシティスクエアでは関連書籍や資料の閲覧、貸し出しも行っています。3名のコーディネーターをはじめとするスタッフが皆さんのお越しをお待ちしています。