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トップ>ニュース>【寄稿】 中大-阪神2軍 プロアマ交流戦 島袋、阪神2軍に7回3安打6三振 「プロ相手に、いい経験になりました」

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【寄稿】 中大-阪神2軍 プロアマ交流戦
島袋、阪神2軍に7回3安打6三振
「プロ相手に、いい経験になりました」

サンケイスポーツ編集委員(中大OB)/久保田 茂信

 中央大学がプロ野球阪神タイガース(2軍)を東京・八王子の中大グラウンドに迎えたプロ・アマ交流戦は3月15日に行われ、中大が1-0で競り勝った。先発の島袋洋奨投手(沖縄・興南、商2)が7回を3安打無失点の好投。代打・上嶋健司外野手(常葉菊川、法4)が七回二死三塁から右前適時打を放って、プロを退けた。2004年秋季優勝以来、リーグ制覇から遠ざかっている中大は東都大学リーグ戦開幕を4月1日(対東洋大=神宮)に控え、調整に弾みがついた。

スコアボード

スコアボード上の校旗と阪神球団旗

ヒーロー、島袋

島袋投手

 バックネット裏に据えたスピードガンが常時143㌔を表示する。島袋が左腕から繰り出すストレートは威力があるだけではなく、右打者の低めに丁寧にコントロールされた。打者を追い込むと大きく曲がるカーブや打者の手元で小さく変化するツーシームが、プロの目も幻惑した。阪神は前日(14日)、明大に1ー5で敗戦。大学相手に連敗はできないと意気込むプロから7回無失点。92球、3安打6三振1四球。北風が吹き荒れた六回にはクリーンアップを投ゴロ、投ゴロ、三振に抑え、寒さに震えた中大応援席を活気づけた。

 

 ほぼ完璧の投球内容に、笑顔が広がった。「コンディションがよく、キャッチャーとの息もあっていて、自分のペースで投げられました」と島袋。新任の秋田秀幸監督(56)=元中日内野手=は「今日みたいなピッチングができれば、そうそう打たれない。初速と終速があまり変わらないし」と目を細めた。反省点もある。「プロはやっぱりすごい、スイングスピードが速い」と、島袋が驚いたのは一回トップバッターの穴田真規外野手(19)=大阪・箕面東高=を打ち取った左飛だ。「左手一本でフェンス近くまでもっていかれました」。穴田は背番号が三桁(127)の育成選手。1軍レベルではないクラスに教えられた、〝上には上がある〝という世界。「コントロールをよくしないといけないです。いい経験になりました」。低めに集める球が、勝利につながる。そう確信したプロとの交流戦だった。

打のヒーロー、上嶋

 両チームのゼロ行進が続いた七回二死三塁。中大・秋田監督は「何か持ってる男」と頼りにしている上嶋を代打に送った。プロ5年目の阪神・石川俊介投手(25)=上武大=から右前打を放ち、1点をもぎとった。打のヒーローは喜ぶどころかプロとの対戦に驚いていた。「体格がちがう。でかい、です。球速は変わらないが、キレがある。いい経験になりました」と静かに話した。持ってる男が、さらにトレーニングに励む。

ストッパー、石垣

石垣投手

 石垣永悟投手(神奈川・桐蔭学園、商2)が八回から登板し、完封リレーを飾った。ピンチは九回二死からやってきた。阪神3番の柴田講平外野手(24)=国際武道大=は昨年104試合に出場。シーズン終盤にはレギュラーとなった。この日はこれまで3打席ノーヒット。石垣は得意のチェンジアップで勝負したが、左翼二塁打とされた。「リードしていたので絶対勝ってやろうと思っていました。でも自分の得意球を打たれてしまって…」。プロのレベルの高さに威圧されながらも後続を空振り三振にとって、クローザーの役目を果たした。

福原総長・学長(硬式野球部長)のコメント

福原紀彦総長・学長(硬式野球部長)が「引き締まった試合でした」と笑顔を見せた。会議と会議の合間を縫って駆けつけ、 寒風吹くなか背広姿のまま、ゲーム終盤を見守った。またスタンドには熱心な一般OBのほか、硬式野球部OB会長であり元巨人外野手の末次利夫さん、やはりOBで巨人・阿部捕手の父親・東司さん(秋田監督と同期)、阪神ではOBで球団本部総括スカウトの佐野仙好さんらの姿があった。マスコミからは、読売新聞、阪神取材の大阪・スポーツニッポン、デイリースポーツがやってきた。

中大・秋田秀幸監督の話

秋田監督

 「阪神に胸をかりるという姿勢で臨みました。プロのレベルを実際にみて大変勉強になりました。選手はいい経験をしたでしょうね。阪神の先発、鄭投手はいいピッチャーでした(昨年ウエスタンリーグの防御率1位、勝率1位投手)。そうそう打てないけれど当てにいくな、振り抜け、空振り三振はいい、と言っている。いいピッチャーでも甘い球が必ずくるから、それを捕らえたい」

中大・島袋洋奨投手の話

 「(試合球が飛ばない)統一球でしたが、投げやすかったです。キャンプでは2000球くらい投げて、よくなってきました。今日はストレート、変化球のコントロールがよくて全体的によかったです。自分のペースで投げられました」

島袋投手の連続フォーム1

島袋投手の連続フォーム2

島袋投手の連続フォーム3

「プロ・アマ交流戦」とは

打者影山外野手(中大)と捕手橋本(阪神)

 技術の向上を目指して巨人が提唱し、2011年3月から始まった。同年2月には日本学生野球協会が野球憲章を改正して、プロアマ交流の運用規則を承認していた。実施は大学が長期休暇となる3月、8月に限られる。2009年11月、プロ野球セ・パ誕生60周年を記念したイベント、日本野球機構-全日本野球連盟両選抜チームが親善試合を行ったのも交流戦実施のきっかけとなった。

▽東都大学春季リーグ 中大の試合日程
 (試合開始時刻は1日2試合の場合、午前10時半、1試合の場合は正午、プロ野球併用日は午前11時となる)

4・1(日)
亜 大-駒 大 東洋大-中 大
2(月)
中 大-東洋大 駒 大-亜 大
10(火)
※青学大-駒 大 日 大-中 大
11(水)
※中 大-日 大 駒 大-青学大
24(火)
※亜 大-中 大 東洋大-駒 大
25(水)
※駒 大-東洋大 中 大-亜 大
5・1(火)
青学大-中 大 日 大-駒 大
2(水)
駒 大-日 大 中 大-青学大
15(火)
東洋大-日 大 駒 大-中 大
16(水)
※中大-駒 大 日 大-東洋大
(※はプロ野球併用日。左が先攻で三塁側)
久保田 茂信(くぼた・しげのぶ)
1954年、東京生まれ。1977年中央大学商学部卒業後、産経新聞へ入社。産経新聞運動部、週刊サンケイを経て、現在サンケイスポーツ編集委員。2012年4月からは、中央大学『Hakumonちゅうおう』編集長として冊子の刷新、および学生記者の育成にあたる予定。