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トップ>ニュース>応用化学科博士2年の藤井翔さんが日本化学会で学生講演賞を受賞しました

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応用化学科博士2年の藤井翔さんが日本化学会で学生講演賞を受賞しました

 平成22年3月26日(金)~29日(月)の4日間、近畿大学本部キャンパスで開催された日本化学会第90春季年会に応用化学専攻博士後期の藤井翔さん(芳賀研究室)が研究成果を報告し、学生講演賞を受賞しました。学生講演賞は博士後期課程の学生を対象に、「発表内容、プレゼンテーション、質疑応答などにおいて優れた講演で、講演者の今後の一層の研究活動発展の可能性を有すると期待されるもの」に贈呈されます。選考方法は審査員3名(1.当該部門のプログラム部門長またはプログラム編成委員、2.プログラム編成委員より推薦された正会員、3.講演座長)が年会に出席・聴講し、採点表をもとに審査。その結果をもとに春季年会実行委員内の選考委員会で選考し、春季年会実行委員会で決定されます。国内最大の化学系研究報告会で評価された事は非常に名誉なことで、研究成果は特許出願中です。

研究タイトル

「マイクロナノバブルを用いたナノ物質の操作と集積」

研究概要

 本研究では、赤外レーザー光照射により溶液中の金薄膜を加熱し、その結果として生成する小さな単一気泡を利用しています(気泡の大きさは1マイクロメートル前後で、マイクロは100万分の1を表します。)。一般的に小さな気泡は非常に不安定ですぐに消えてしまいますが、レーザー光照射によって小さな気泡を定常的に生成させる事が出来るようになります。また、その気泡の気液界面では張力が働き、気泡の周りに対流が発生します。この対流を利用して、手では直接掴む事の出来ないナノ物質(ナノは10億分の1) の操作と集積が可能になりました。例としてDNAの伸張と固定を行いました。DNAは鎖状の分子で、水中では丸まっています。このDNAをきれいに伸張し、固体表面の所望の位置に固定する事が出来れば、医学的には遺伝子解析に貢献し、工学的には分子ワイヤーの作製とナノデバイスへの展開が期待されます。気泡を用いる事で、DNAの伸張と固定を自在に操る事を示した世界で初めての手法です。

藤井さんの感想

 日本化学会の学生講演賞を受賞でき、大変光栄に思っています。研究を始めた頃を思い返すと、全く想像していなかった事が起きてしまった、というのが本音です。本研究が始まったのは、本学大学院の教育システムにある副専攻を履修した事がきっかけです。副専攻では主専攻以外のたくさんの先生方の講義をオムニバス形式で受講でき、多くの事を学びました。その中でも私は物理学科の宗行教授の研究内容に魅かれて、講義を受けた直後に研究室に伺って(半ば強引に)見学させて頂き、共同研究が始まりました。はじめは全くうまくいかず、結果が出ませんでしたが、無知な私にとっては毎日が発見の連続で、試行錯誤の連続を毎日楽しみに実験していました。そんな中、偶然に不思議な現象を発見したのが現在の研究テーマです。不思議な現象を科学にするため、芳賀正明教授や宗行英朗教授をはじめ、多くの方々のご指導を賜りました。今回の受賞を励みに、皆様に恩返しができるよう、より一層研究に打ち込みたいと思っています。

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