2019年早春号

負けん気見せた川崎選手 復路ゴール前でデッドヒート

箱根駅伝 中大は総合11位

11位でゴールする中大のアンカー・川崎選手、右は早大・小沢選手(写真提供=共同通信社)

 注目の東京―箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)は1月2、3日に行われ、中央大学は往路12位、復路8位、総合成績11位だった。10位までのシード権獲得に1分16秒及ばず、2020年大会は予選会(10月)からのスタートとなった。

 復路ゴール前のビジネス街で予期せぬデッドヒートがあった。神奈川・鶴見から東京・大手町へ区間23.0キロ。22キロ余りを走って1秒を争う展開だ。

 中大のアンカーは大会初出場の川崎新太郎選手(経2)。早大は小沢選手(4年)。両選手とも滋賀県出身。郷里の関係者は複雑な思いだったろう。川崎選手は一時、左側から抜かれたが、猛ダッシュで抜き返した。

 デッドヒートに歩道を埋め尽くしたファンが身を乗りして声援を送った。歩道の後方では背伸び、ジャンプする人も散見された。

 川崎選手がわずかに先着して11位。シード権を逃したとはいえ、勝負にかける強い気持ちが伝わってきた。昨冬の1万メートル記録会で自己ベストを出し、メンバー入りへ強くアピールしていた。好調な調整は区間6位、チーム3番目の好成績となった。

 ゴール後、川崎選手のもとへ駆けつけたのは1区を走った中山顕選手(法4)と2区の堀尾謙介選手(経4)だった。

 藤原正和監督は「中大のダブルエース」 と評する。2人は前年の自らの成績をともに上回った。

 中山選手は6位(2018年3区)から2位、堀尾選手が8位から5位へ。堀尾選手は「エースとして譲れないものがある」という。 高校総体、国体、全国高校駅伝と主要大会の経験者。エースが競う「花の2区」を3年連続で任された(2017年は学連選抜)。

1区で快走した中山選手(写真中央)

 中山選手には別の思いがあった。一般入試で陸上競技部長距離ブロックの門をたたき、当初は練習生としてスタートした。入部が叶えられたのは冬だった。

 自らの走りが全国の高校生に希望をもたらす。こつこつと練習を重ね、実力をつけていった。「エースは俺だ」との気概がある。レースは1区の区間賞まで1秒差に迫った。

粘り見せた

堀尾選手(左)は2区で力走

 4年生は復路7区の関口康平主将(理工4)、同9区の苗村隆弘選手(文4)が力走した。

 藤原監督は「4年生4人がきっちり仕事をしてくれたことで、長らく遠ざかっていた中大のいるべき、先頭でのレースができました」と称えた。

 復路は8区からの3区間で、区間8位、8位、6位と上位に食らいついた。

 「復路でも粘りという、これまで出せてこれなかった部分を示せたのではないかと思います」と同監督は、中大駅伝ブログを通じてコメントを発信した。

 通算優勝14回は大会史上最多。巻き返しへ着実に力をつけている。

 中継した日本テレビの視聴率は往路(32.1%)復路(30.7%)とも30%を超えた。中継が始まった1987年以降、最高最大の注目度となった。

 年々関心が高まる箱根駅伝。川崎選手らが主力となる来シーズン、奪回を目指す中大への関心もますます高まっていく。