土方愛さん(左)と坂本龍哉さん(右)が高幡不動尊前でごみ拾い
150年の時を超えて、敵対関係にあった土方歳三と坂本龍馬の親族末裔が共同作業をする歴史的な一日。
縁を取り持ったのが特定非営利活動法人「g reenbird」(グリーンバード=事務局・東京渋谷区)、その傘下の中大チームである。多摩地域で清掃活動を展開するボランティアグループだ。
日野市は新選組副長である土方歳三生誕の地であり、毎年5月には新選組まつりが行われる。こうしたお祭りで地域の魅力を発信している。
約700年続いた武家政権に終止符を打った大政奉還から150年となった昨年。同サークルは、「土方歳三資料館」館長で土方歳三の子孫にあたる土方愛さんと坂本龍馬の親族の子孫、中大3年の坂本龍哉さんに協力を要請した。
当日は、土方さんと坂本さんが初めて対面する様子を一目見ようと大勢の歴史ファンが集まった。
開会式では日野市職員新選組パレード隊の大村国博さんが殺陣を披露し、中大の受験生応援マスコットキャラクター「チュー王子」も参加した。
殺陣の披露とそれを見守るチュー王子
清掃活動は参加者31人を2班に分けて、歳三の菩提樹である高幡不動尊金剛寺周辺などのごみを約1時間拾い続けた。なかには新選組の隊服を着て参加し、活動を盛り上げた学生もいた。
土方愛さんは「坂本龍馬の親族の子孫が中央大学に在学しているとは驚きでした。かしこまらずにお話しできてよかったです。お互いの歴史や背景は理解しつつ、今後もよいご縁を築いていきたいです」と語った。
坂本龍哉さんは「坂本龍馬の親族の子孫としてイベントに参加するのが初めてでしたので、非常に緊張しておりましたが、土方さんに温かく迎えていただき感謝しております。150年前には考えられなかったつながりができました。ごみ拾いという同じ目的をもって協力し、一つのことを成し遂げることは大変素晴らしいことだと思います」と述べた。
坂本さんらは活動後、土方歳三資料館を訪問見学した。
なぜごみ拾い?
この記事を読む方はきっとこう思うだろう。「なぜごみ拾い?」その理由は二点ある。
第一に、ごみ拾い活動の気軽さだ。ボランティアと聞くと、国際協力や被災地支援などを想像する方も多いのではないだろうか。しかし、ごみ拾いは準備もそれほどかからないため活動時間も短い。
また、日頃お世話になっている大学周辺地域で気軽にボランティア活動ができるため、忙しい学生も地域に一歩踏み出すきっかけとなる。
第二に、ごみ拾いの可能性は無限大であるということである。
そもそも、なぜごみを拾う状況になっているのだろうか? それはごみを捨てる人間が存在するからだ。一生懸命にごみを拾っていても、ごみを捨てる人が減らなければ状況は改善しない。
こうした状況を打破するには、ごみを拾う側の人間が目立つことが重要であると考えた。ごみ拾いをイメージしてほしい。真面目、暗い、自分には関係がない…もし、楽しく、かっこよくごみ拾いをしていたら、とても印象に残るのではないだろうか。そうしたギャップを狙いながら、ごみ拾いイベントを開催している。
さらに、ごみ拾いは様々な要素と掛け合わせることができる。例えば、地域住民の皆さんと交流したり、地域資源の魅力を発見したり、ごみ拾いを通して地域に踏み出すことができる。
私たちのチームでは、街の美化だけでなく地域交流にも力を入れている。このように、ごみ拾いには無限大の可能性が秘められているのだ。
「拾う側の人間が目立てば、ごみを捨てにくい街になる」。そういった考え方から、今回の幕末そうじの開催に至った。
ごみ拾い後に全員で写真撮影
へぇ~もっと知りたい greenbirdの紹介
NPO法人greenbirdの中で、初の学生チームとして誕生したのが中央大学チーム。現メンバーは10人(1月現在)。
2016年に発足し、「きれいな街は、人の心もきれいにする」をコンセプトにごみ拾い活動を行っている。多摩地域の活性化も目指し、地域資源の魅力発信を目的としたイベントを開催。定例そうじも開催している。
▽八王子市:多摩キャンパス 月1回 不定期(大学ボランティアセンター合同)
▽多摩市:多摩センター駅周辺 毎月第4火曜日18:30~19:30
▽日野市:高幡不動駅周辺 毎月第2月曜日17:10~18:10、その他、後楽園キャンパスでのイベントも実施している。
問い合わせ先
greenbirdホームページ
http://www.greenbird.jp/team/chuo-university