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トップ>HAKUMON Chuo【2017年夏号】>【表紙の人】ハラール食品スタートに留学生の笑顔が増えた

HAKUMON Chuo一覧

表紙の人

ハラール食品スタートに留学生の笑顔が増えた

イザベル オンドレヤ スアさん/文学部3年

『中央大学多摩キャンパス内でハラール食品の販売をしています。』-
中大学生部は、4月10日から同食品の取り扱いを拡大し、ポスターで告知した。マレーシア出身の留学生、イザベル オンドレヤ スアさん(文3)は母国の味が身近になったと喜んでいる。

 容器内に用意された2つ折りフォークで、ひと口、頬張った後、「おいしーい」と、とびきりの笑顔を見せた。来日後3年余り、「ホームシックはありませんが、“フードショック”がありました」

 ハラール食品の一つ、母国製のインスタントヌードル(カップラーメン)は食べたかったものの一品。見慣れた食品メーカー、「マミー」の商標を見たときから、心が弾んだという。

 「キャンプへ行くときによく持っていきました。みんなで食べるのが楽しい。私はこのトムヤムクン味が好き」と容器にプリントされた唐辛子を指さした。ハラールクラッカーのビーフコンソメ味も食して、「これもおいしいです」

 ハラールとはイスラム法で「許されたもの」を意味する。ハラール食品は、イスラム教の戒律にのっとり、豚肉由来のエキスやゼラチン、アルコールなどを使用せず、非遺伝子組み換えの食物油で製造した食べ物。

 中大で提供されているものは、日本ムスリム協会の認証を受けた安全・安心な品々だ。学生部は「どなたでもご購入いただけます。国際理解の観点から、一度、お試しになりませんか」とアピールする。

 今回の取り扱い拡大は、昨年4月に始めた「ハラール認証カレー」(ヒルトップ2階、生協喫茶テラス)が好評で、さらなるニーズに応え、学生や外国人留学生の多様性に対応しようというものだ。

 学内(Cスクエア内リーフ・カフェ)で手に入るとあって、イザベル オンドレヤ スアさんは、「中央大学に入って良かった」と最大級の賛辞を呈した。「ポスターを見て、販売を知って、Gスクエアの友達に“ハラールフード始まるよ”って教えました」。グッドニュースが留学生の間を駆け巡った。2年生からGスクエアのスタッフとして活動。交歓の輪が広がっている

お互いを尊重する文化

品数豊富なハラール食品

 外務省HPによると、マレーシアの宗教は、イスラム教が最大多数の61%で、仏教20%、キリスト教9%などと続く。イスラム教徒が多いとはいえ、あまり厳格ではないようだ。

 彼女はキリスト教信者として、他宗教との相互理解、融和を図るという。国境を接するインドネシア、シンガポール、タイなどと協調する姿勢を見せる。国内にはマレー系、中華系、インド系などさまざまな民族が暮らす。

 「お互いを尊重し、尊敬しています。子どもの頃から、そう思っています」と話した。「友達にはイスラム教徒もいます。パーティーでは豚肉を使わないのはもちろんのこと、豚肉を調理したフライパンにも気を配るよう教わりました。みんなで食べられるチキンやピザで盛り上がります」

 来日して、島国根性という気質に触れた。これも日本文化の一つと理解した。

ハラール食品を楽しむ2人、右は原さん

 取材日に同席した原啓介さん(商3)とはGスクエアで知り合った。

 Gスクエアは、グローバルパーソンを目指す学生支援の「異文化交流スペース」(グローバルラウンジ)で、ヒルトップ2階の図書館寄りに本拠を置く。

 原さんは「留学生と友達になりたくて」とスタッフで参加している友人の友人を訪ねたところ、「彼女がいて、自然と仲良くなりました。日本人の友達と同じ感覚で話をしています。彼女、日本語がうまいんですよ」

 アジアから、オーストラリアから、欧米からやってきた学生と交流する。「そんな場所はGスクエア以外には、ないですよ」と原さん。外国人留学生との会話で、分からないところは彼女に聞いている。

 今夏から原さんも留学生となる。米国ミシシッピ州立大(中大海外協定校、2005年締結)でマーケティングを学ぶ。「現地の人や文化にどうなじむか」。ここでも先生は“留学生の先輩”のイザベル オンドレヤ スアさんだ。

故郷に似ている中大キャンパス

 マレーシアからの来日目的は「なれるかどうか分からないけれど、インターナショナルスクールのカウンセラーになりたい。子どもが大好きです」。

 中大文学部のカリキュラムで、学生支援の充実ぶりに目を奪われた。「夢をもって中央大学に来ました。それに自然豊かなキャンパスがいい、気持ちが落ち着きます。私の故郷に似ています」

 勉学の環境は整っているようだ。大願成就へ身近になったハラール食品も一助となるのだろう。

朝食に「和食」の新メニュー

 多摩キャンパス・Cスクエア内「Leaf Cafe」で展開中の朝食サービスに和食が新たに加わった。

 新メニューの朝定食はごはん、みそ汁、納豆、卵=温泉卵に変更可=のりが付いて、200円。従来のモーニングセット(トースト、ウインナーソーセージ2本、ドリンク=200円)やカレーライス、うどんなどと共に、学生の食生活を支援する。同所の朝食営業は午前9~10時。

 一方、ヒルトップ2階の「ベーカリー&カフェ・フラット」では、午前8時から焼きたてパンや各種ドリンクを販売している。

 中大が呼びかける『多摩キャンパスで朝食をたべよう』がパワーアップした。

へぇ~もっと知りたい 中大の外国人留学生

 中大の6学部、大学院、専門職大学院で学ぶ外国人留学生は806人(2017年5月1日現在)。国籍・地域別では中国の554人が最多で、韓国97人、香港23人、台湾22人、マレーシア15人と続く。フランス、ベトナム、オーストラリア、ドイツ、インドネシア、米国、英国、シンガポール、タイ、カナダなどからの留学生も奮闘中だ。