トップ>HAKUMON Chuo【2016年春号】>マラソン元日本代表、藤原正和氏が就任 駅伝新監督「強い中大、取り戻す」
藤原 正和氏
中央大学陸上競技部駅伝チームの監督に元世界選手権マラソン日本代表で中大OBの藤原正和氏(35)=ホンダ=が就任し、3月9日、東京・中大駿河台記念館で発表された。8年余り務めた浦田春生監督(54)はチームに残り、選手勧誘などで支援する。
監督就任の記者会見は、現役引退発表の場でもある。今夏のリオデジャネイロ五輪代表を目指した注目の人の去就とあって、会見にはマスコミ15社約30人が集まった。
記者会見後、マスコミの求めに応じてポーズを取る藤原新監督=中大駿河台記念館
この日から新監督となる藤原氏。紹介を受けると緊張した表情で話し始めた。「大きく影響を受けた」諸先輩からの助言も含めた、所信表明はこうだった。
「強い中大を取り戻したい」
「学生が主役です。一人ひとりが輝ける環境をつくりたい」
「あいさつ、整理整頓、約束を守る。練習に遅刻しない。ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)といった基本を大切にしていきたい」
学生との相互理解を深めるため、就任する4月から家族と一時離れて学生寮に入る。
年々関心の高まる箱根駅伝で、中大は過去92大会中、いずれも歴代最多となる出場90回、連続出場87回、優勝14回と抜きん出て「名門」と称される。
しかし、1996年を最後に優勝から遠ざかり、2013年の往路棄権以降、4年間シードを獲得できず、予選会に回っている。
指導の現場は発展途上だ。成長が期待される選手に新監督が手を差し伸べる。「学生がどう思っているのか。よくコミュニケーションをとって、学生の目指すところまで連れていってあげたい」。部員には「気軽に話してください」と開放感を示した。
高校駅伝の名門、西脇工(兵庫)から中大入り。1年生で箱根駅伝5区(山登り)の区間賞獲得。難所の同区を2年生・2位、3年生・3位といずれも“表彰台”。各校のエースが競う2区に変わった4年生でも区間賞。
卒業前の2003年びわ湖毎日マラソンでマークした2時間8分12秒は、現在も初マラソン日本最高記録だ。出色のランナーは今後、主役の学生選手が輝きを放つまで、1日24時間態勢で磨きをかける。色紙にしたためた『一意専心』は、名門復活へ誓いの言葉である。
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会見では、現役引退の舞台裏を明かした。
自身初の五輪出場を目指し、リオ大会選考会のびわ湖毎日マラソン(3月6日)前の2月4日に右すね疲労骨折が判明。欠場を決めた後の1週間、家族や両親、関係者らと相談した結果、ユニホームを脱ぐ決意をした。所属先のホンダは3月末で退社する。
ベストタイム | ||||
5000m | 13分49秒33 | |||
10000m | 28分17秒38 | |||
ハーフマラソン | 1時間2分23秒 | |||
マラソン | 2時間8分12秒 | |||
マラソン主要大会 | ||||
開催年 | 大会名 | 順位 | ||
2003 | びわ湖毎日 | 3 | ||
2008 | びわ湖毎日 | 9 | ||
2010 | 東京 | 優勝 | ||
ベルリン | 9 | |||
2012 | 東京 | 31 | ||
ベルリン | 10 | |||
2013 | びわ湖毎日 | 4 | ||
世界選手権モスクワ | 14 | |||
2014 | 福岡国際 | 4 | ||
2015 | 世界選手権北京 | 21 | ||
箱根駅伝 | ||||
開催年 | 学年 | 区間 | 成績 | 中大成績 往路・総合 |
2000 | 1 | 5区 | 区間賞 | 4位・3位 |
2001 | 3 | 5区 | 2位 | 優勝・3位 |
2002 | 3 | 5区 | 2位 | 6位・4位 |
2003 | 4 | 2区 | 区間賞 | 12位・5位 |
中大の最近10年間箱根駅伝総合順位 | ||
開催年 | 総合順位 | 総合優勝校 |
2007 | 8 | 順大 |
2008 | 7 | 駒大 |
2009 | 10 | 東洋大 |
2010 | 4 | 東洋大 |
2011 | 6 | 早大 |
2012 | 8 | 東洋大 |
2013 | 棄権 | 日体大 |
2014 | 15 | 東洋大 |
2015 | 19 | 青山学院大 |
2016 | 15 | 青山学院大 |
箱根駅伝優勝回数(上位5校) | ||
中 大 | 14 | |
早 大 | 13 | |
日 大 | 12 | |
駒 大 | 11 | |
日体大 | 10 |
藤原監督が学生選手に「英語のススメ」を説いた。世界選手権を3度(欠場1回)経験し、外国選手との交流、現地での生活を含めて英語の必要性を痛感。「肌で感じました。英語は必要です。力を入れてやっていきたい」。会見場の後列に並んだ部員らは、よりいっそう気を引き締めていた。