トップ>HAKUMON Chuo【2015年冬号】>【グローバル人材】素敵なスマイルも英国仕込み
中央大学英語学会(CHESS)の浅井一毅(いっき)会長(総政2)は2歳からの6年間、英国・ロンドンで育った。「英語の発音やアクセントを学べてよかったです」。その英会話は外国人かと思われるほどである。
公園でお昼寝!?
父親がロンドン駐在となったため、浅井さんは2歳で日本を旅立った。8歳・小学2年までを英国社会で過ごした。
英語で授業を進める現地の私立学校に入学。クラスには英国人はもちろん、英国と関係の深いインド人、ヨーロッパ諸国出身者が集まっていた。日本人はほかに3人とごく少数派。体育の授業は英国の国技、クリケットもあった。
「4~5歳でしたか、物心がついたころ。日本に一時帰国してびっくりしました。うぁ~、外国みたい。住宅街では歩道と車道の区切りが白線だけで、家と家がぎゅうぎゅうにくっついている。歩道に自販機がある 。」
世界基準で育った目には、日本特有の暮らしが遠い存在に思えた。
英国での日本語学習は毎週土曜日に「補習校」に通った。漢字やひらがなを習い、童話を読んだ。父と母は日本語を話し、3つ違いの姉とは英語で会話することもあった。
庭に芝生が植えられ、ブランコがあり、ボール蹴りをした。
自宅では和食と現地の食材をミックスしたものを食べていた。「ザ・和食はないです。食べたくても日本の食材がそろわないときがあります」
家族でよく旅行に出掛けた。国際列車「ユーロスター」でパリへ。車ごと列車に乗る。人は客席。フェリーの列車版だ。
城めぐり、遺跡を見る、教会を訪ねる。オランダ、ベルギー、ドイツ、スイス。スペイン、イタリアへは飛行機やフェリーで行った。
「僕は小さかったから、遺跡を見てもよく分からない。母は感心していましたが」
8歳で帰国して、日本の生活を初めて経験する。「またしてもびっくりしました、みんな日本人ですからね」
英国時代の浅井少年(右から2人目、上の写真とも本人提供)
日本人に溶け込もうと努めるうち、英語とはやや疎遠になったが、「大学に入って、英語学会にも入って、徐々に感覚を取り戻しました」
英国滞在6年間によって、英語の発音・アクセントを身につけ、ネイティブで話せるスキルを身につけた。相手の英語でスペイン系か中東系かが分かる。多国籍は当たり前と捉え、人種間の諸問題も我が身のことと考える。
「将来は英語で仕事をしたい。ロンドン勤務になれたらイイですね。今度は城や遺跡を見ても分かります。母と同じように歓声を上げるかも」
素敵なスマイルは、紳士の国・英国仕込みである。
楽しく、明るく、有意義なCHESS
浅井会長(左)と平田副会長。手にしているボードはディスカッション・グループ番号
幼少期を海外で過ごし、英語に親しみを覚えるも台本なしでは外国人と話すことを恐れていた浅井。そんな彼が英語を堂々と人前で、メモも見ずに話せるようになったのは自身が会長を務める中央大学英語学会(CHESS)のおかげだという。
CHESS には約200人の会員(学生)がいる。英語を実践的に使い、楽しく学ぶためのサークルを目指している。
主な活動は、英語による「スピーチ」。首都圏の観光地に赴き、外国人へ“突撃アポなし”「ガイド」。学内のステージで英語劇(約100分)を年2回公演する「ドラマ」。
日常的には中大留学生との交流、会室(部室)で自主的に行う英語レッスンなどがある。他大学ESS主催行事にも積極的に参加している。
今回は学生に特に人気のある「ディスカッション」について紹介したい。毎年6月下旬に行う中大英語学会主催の『CHESS DISCUSSION』は関東の大学で最大規模とされている。この大会を例に引く。
大教室が満員となった「CHESS DISCUSSION 2015」
会場ではたった1つの英単語をテーマにする。これを「トピック」(TOPIC)と称する。例えばスペシャル(SPECIAL)。5~6人でグループ「テーブルメンバ-」を編成。大会主催大学の学生が進行役(テーブルリーダー)となり、英語による自己紹介を終えると参加者にも英語で質問しながらディスカッションする。
質問1・Do you have anything special about you?
同2・What is “SPECIAL”?
同3・What is “SPECIAL”?
質問を「アイテム」(ITEM)と呼ぶ。2時間半ほどディスカッションし、共有、合意した意見をまとめる。
スペシャルをどう捉えたか。新たな価値観を見つけることもある。楽しみながら英語を話す。ここを重要視しているため、トピックとアイテム以外は自由とし、各テーブルでプロセスや内容が変わる。英語力に自信がなくても、サポートがあるから心配はいらない。
中大主催に向けて、私たちは先輩たちのころから毎回準備に全身全霊を注いできた。CHESS主催ではテーマに沿った会場装飾を施している。開会式や閉会式にエンターテインメント性を加え、楽しく、明るく、有意義な時間共有を心掛ける。
進行・演出などを円滑にするため準備を始めた5月以降、大学閉門時刻の午後11時近くまで練習してきた。
ことしは200人を超える他大学ESS学生が来校してくれた。中大生ももちろん参加し、多摩キャンパス8号館大教室は満員となった。
司会は会長の浅井、副会長の平田。2人で会場を盛り上げるつもりが、参加者の熱気に圧倒された。全力投球の熱いディスカッション。感動のあまり、他大学の学生が涙するシーンもあった。
大会を成功させた CHESS の担当者をはじめ全会員が一丸となって作り上げた「CHESS DISCUSSION」。動画投稿サイト「ユーチューブ」にはその一部が紹介されている。
画面から飛び出すような、われわれの熱気、本気を感じ取っていただきたい。
中大ESS会長・浅井一毅
同副会長・平田瑞穂
中大生が作る中大生のための情報誌『HAKUMON Chuo』は、各キャンパスの下記の場所で配布しています。
ぜひ手に取って読んでみてください。
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