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トップ>HAKUMON Chuo【2015年冬号】>【グローバル人材】カープファン向けフリーペーパー「Capital」編集から営業まで 学生らしさ全開 就活に役立つ

HAKUMON Chuo一覧

グローバル人材

カープファン向けフリーペーパー「Capital」

編集から営業まで 学生らしさ全開

就活に役立つ

 首都圏の学生グループが発行するプロ野球広島カープファン向けのフリーペーパー「Capital」(キャピタル)が話題を呼んでいる。編集から営業まで、すべて学生の自主運営だ。中央大学商学部2年の柳原章良(あきら)さんはその一人で「野球を超えて、役に立つことばかりです」と話した。

神宮スタンドで応援する「Capital」のメンバー、後列右から2人目が柳原さん

「前田! マエダ!」。座席を立ち、すぐに座り、また立つ。この繰り返しが延々と続く。

 東京ドーム、神宮、横浜などの球場外野席で、ファンにはおなじみの「スクワット応援」を展開する。試合終盤は独自の応援「チャンスマーチ」が加わって、ほぼ立ちっ放しとなる。

 柳原さんは今シーズン、各球場へ15試合通った。応援席ではユニホームを着用。お気に入りはビジター用の赤。背番号は1、前田智徳・元選手のファンである。仲間と並んで手に持つのは、広島名物で相手をめしとれの「しゃもじ」にヒントを得たカープバット。

 フリーペーパー制作の仲間は25人。期せずしてプロ野球1軍ベンチ入り登録選手数と同じである。成城大、東京理科大、明大、早大、慶大、慈恵医大、国学院大、東京学芸大、専大、フェリス女学院大...。柳原さんを含めてスタッフの半数近くが広島や山口など中国地方出身者だ。

「Capital」編集部のメンバー、背番号00は中東直己外野手

 2010年2月の発刊以来、年2回発行する。3月発行がシーズンイン号、9月発行をシーズンオフ号としている。イチ押しは巻頭インタビュー。最近ではエースの前田健太投手、前監督の野村謙二郎氏の単独取材が好評だった。

引退時のネタで野村前監督“直撃”

 広島球団に取材申請の企画書を提出する。インタビューの質問には「学生らしさを出すようにしています」と柳原さん。野村氏には、こう聞いた。

 ――引退セレモニーで子供たちに向けた「野球は楽しいぞ」という言葉に感動した私たち世代がいよいよ社会人になります。

 2005年10月に現役を引退。同12日の横浜戦終了後の広島市民球場で、引退セレモニーを聞いていたのが柳原さんら少年ファンだった。この質問で両者があの時を思い出し、インタビューは盛り上がった。

 野村氏は「しかってくれる人を慕いなさい」と、はなむけの言葉をくれた。その金言は2000本安打を達成するなどして、功成り名を遂げた人の経験則なのだろう。

 各球場周辺で行うファンへのインタビューでは、「○○選手のここが好き」「1番打者といえば」など毎号テーマを変える。テーマ考察は、ファンでもある編集スタッフの話が弾む楽しい作業。ほかにも楽しい企画がめじろ押しだ。

 写真で展開する「僕の私のカープ帽子」、お気に入りのユニホームを披露してもらう「みんなの背中編」。クイズ「コイビア」、カープへの思いをつづった「鯉文」。

 企画満載の冊子を首都圏各球場の売店コンコースなどで配本する。その際にも球団や球場に申請書を提出する。球団や球場によっては、配布行為を有料とするところもあるようで、「学生ということでご理解いただきました」と柳原さん。

 広告営業はカープファンが集まる首都圏の飲食店を訪ねる。最近はカープを応援する飲食店が多い。

 毎号7000部で経費は約25万円。企画、申請、取材、編集、配本、営業、会計報告などをこなしていくうち、いつしか社会の一員となっていく。スタッフの先輩によると「就職活動でそれがすごく役に立ちました」。

小4での“勉強”が...

 柳原さんは山口県岩国市で生まれ、すぐに広島市へ。市内の小学校4年生の時、広島市独自の「平和教育」で市の歴史を学んだ。

 題材が市民球団カープだった。発足時はチーム運営・選手強化資金を市民に求め、球場前に募金を受ける樽を置いていた。終戦からの復興を目指す市民の活力に、プロ野球が大きく貢献したことなどを知る。

 担任教師が熱烈なカープファン。半年間、熱く勉強した秋のころ、広島駅前で授業内容と児童感想を発表し、街の話題になった。

 翌年春、カープのブラウン監督(当時)がその生徒たちを市民球場のオープン戦(横浜戦)に招待してくれた。選手がプレーするグラウンドレベルまで入ることが許され、松田元オーナーにも笑顔で迎えられた。

「サッカーが好きで(地元の)サンフレッチェを応援していたのが、いつしかカープ好きになっていました。レフトスタンドで応援して、目の前の背番号1・前田智徳選手がカッコよく見えたのを覚えています」

 東京に移った中学・高校時代は学業とクラブ活動の野球に明け暮れた。中大入学後、学内で出会ったカープのユニホームを着た男子学生を追いかけた結果、フリーペーパーを知った。

「関東なのに、こんなにもカープに染まれるなんて。よしっ、ここに入ろう」

 感激したのは中学のころ、友達から「なんでカープファンなの」と怪訝(けげん)そうに言われたことがあるからだ。

 広島市内のデパートにはカープの応援歌が流れ、帽子売り場は赤いカープ帽一色、巨人や阪神のものは片隅に置いてある。それが普通だと思っていた。

年2回発行するフリーペーパー「Capital」

 フリーぺーパーは燃えるカープ色で染まっている。他大学の学生とカープを通じて新たな仲間になれた。仲間で話す今シーズンのカープ談議。柳原さんはプロ5年目、福井優也投手の9勝にワクワクする。大リーグから戻った黒田博樹投手の入団4年目・9勝に追いつけ追い越せだ。「今後、福井投手も黒田さんと同じように飛躍が期待されます」

 今シーズンのプロ野球観客動員数は、実数が発表となった2005年以降セ・リーグで過去最多の約1351万人を記録。広島球団は創設以来初めて200万人(211万266人)を突破した。

 昨年ブレークした「カープ女子」の出現もあるが、柳原さんらの活動もカープとカープファンを支えている。

赤ヘルは戦いの色

 赤い帽子とヘルメットは1975年の開幕前に急きょ採用された。従来の紺色を新監督のルーツ氏が「戦いの色はレッド」と主張したという。ルーツ監督は4月27日、阪神戦(甲子園)の判定に激しく抗議し、退場となった。この一件を巡って球団とは意見が合わないとして退団。後任は古葉竹識監督。就任した5月3日から赤ヘル軍団を引っ張り、10月15日の巨人戦(後楽園=当時)に勝って球団創立25年目にして初優勝を遂げた。

人はいつまでも ふるさとを身につけている(ラ・フォンテーヌ フランスの詩人)

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