選挙で投票できる年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる公職選挙法改正案が国会で審議され、6月17日に成立した。来年夏の参議院選挙は大学生が投票できる。選挙権の改正は「25歳以上」から「20歳以上」とした1945年以来70年ぶりだ。歴史的改正を機に18歳投票権に取り組んでいる中大生がいる。以下は学生の呼び掛けである。
中大生の皆さん、こんにちは! Vote at Chuo!!代表の古野香織です。
「Vote at Chuo!!」は2016年夏の参院選で、中大多摩キャンパスに期日前投票所を置くことを目標としています。現在、八王子市選挙管理委員会や大学当局に要望中です。地域や行政の力をお借りしながら、実現に向けて活動しています。実現すれば、東京都では初の取り組みとなります。私たちVote at Chuo!! の活動を紹介します。
なぜ大学に「投票所」なのか
大きな理由は「若い人と選挙を近づけたい」からです。若者の投票率の低さが深刻な問題になっています。18歳選挙権が実現する2016年夏から、大学生が投票できるようになります。学内に投票所を設置し、選挙を身近に感じてもらいたいと考えています。
昨年12月に実施した中大生200人を対象とするアンケートでは、投票に行かない最大の理由が「投票環境」にあることが分かりました。
投票に行かなかった理由として最も多かったのは「投票所が遠かった(住民票を移していない)」、「時間がなかった」の2つです。時間と場所を理由に選挙に行かなかったと答えた学生は無投票の実に8割以上。
大学生が投票に行かないのは意識の問題ではなく、投票環境を整えること、すなわち中大に投票所を置くことで投票率アップが見込まれます。
中大で実現させたい3つの理由
中大生のニーズは非常に高い。アンケートの質問、「中央大学に平日の数日間投票所が設置されたら、利用してみたいですか」に対し、200人中166人(83%)の学生が「利用してみたい」と答えています。
次に学生数の規模です。中大多摩キャンパスには2万人以上の学生が集い、八王子市内にも23大学、11万人の学生がいます。全国でも有数の学園都市です。中大周辺には多くの学生が暮らしているため、投票所設置の効果が期待できます。
最後に、東京都で初の取り組みとなることです。全国で徐々に広まりつつ活動ですが、東京や関東では実施に踏み切った大学はありません。東京に実施例を作ることで、関東地方の大学へ波及効果が生まれます。
ことし年4月に行われた統一地方選挙では、全国9都道府県で12大学内に投票所が設置されました。
これまでの活動
多摩キャンパス、ペデストリアンデッキ(遊歩道)下などに翌年4月の統一地方選に向けた独自の啓発ポスターを貼りました。中大生数十人にそれぞれの思いをスケッチブックに書いてもらい、各人がメッセージを持った写真を撮り、中大生に投票に行くよう訴えるデザインにしました。
地域の選挙啓発ボランティア団体である八王子市明るい選挙推進協議会の皆さんと一緒に、JR八王子駅で選挙啓発活動の手伝いをしました。
八王子市の期日前投票所を訪ねて、開票作業を見学。選挙を身近に感じられる貴重な体験でした。私たちの活動がメディアに取り上げられ、そこで存在を知ったという学生もいます。現在は、期日前投票所を設置した8大学に聞き取り調査を行い、中大で実現するためには何が必要かなど、スタッフで分析しています。
これからの活動
八王子市選管は私たちの活動に慎重姿勢でいます。選管との信頼関係を築いていくためには、私たちが選挙の仕組みや18歳選挙権について、いろいろなことを勉強しなければなりません。スタッフ・ミーティングの勉強会はもちろん、各種イベントに出向いて現場を体験中です。
八王子市民の方々には、期日前投票所設置と私たちの活動を理解してもらえるよう、京王南大沢駅と商店街で街頭PRをしました。中大生のほか近隣大学の学生に向けてもキャンペーンを行っていく予定です。
投票所設置は最大目標ではない!これをきっかけに「中大生は当たり前に選挙に行く」という文化を作りたい
20代前半の投票率はどんどん下がっています。私たち若年層の人口が低下しているなか、前回衆院選の投票率は3割以下でした。これでは「若い人が何を言っても意味がない」と考えてしまうのも無理はありません。どこかにそう思う自分もいます。
しかし今後、日本が抱える諸問題と向き合い、解決しなければならないのは、私たち世代です。未来の日本を考える選挙に背を向けて、どうせ意味がないなど、うそぶいていては何も変わりません。
“投票率ビリ世代” から脱却するため、中大から全国の若者に向けて、アクションを起こしませんか。
八王子駅前や学内などで活動するVote at Chuo!!のメンバー
もっと知りたい へぇ~
期日前投票所の設置基準
公選法により公示日の翌日から投票日前日まで、各市区町村に1カ所以上設置しなければならない。2カ所目以降は任意で、各選管で設置期間も決められる。数や場所は各自治体の選挙管理員会で話し合い総体的に判断されるため、細かい設置基準はない(八王子市選管より)。過去に青森県弘前市が大型ショッピングモール(ヒロロスクエア)などに設置した事例がある。