6人に1人の子どもが貧困に悩んでいる。親を亡くした子どもの支援活動を続ける中央大学法学部4年の高橋遼平さんらが、5月24日から6月21日までの土日に東京の山手線を一周して街頭募金を行った。
5月の日曜日午後。真夏を思わせる日差しのなかで、「ご通行中の皆さま~!」と声を張り上げた。新宿駅西口の歩道はひっきりなしに人が行き交う。隣では別の募金活動がマイクを持ってアピールする。通行人に自分たちの声を届けるだけでも大変だ。
高橋さんは学生集会『STOP!子どもの貧困東京ユースミーティング』の実行委員長。改善のため政府が主宰する会議では学生代表として意見を述べている。
この日は学生6人とともに、ひとり親家庭が増えたことで貧困に悩む子どもたちの現状や親を亡くした自らの体験をまじえて、子どもの貧困対策への理解と協力を訴えた。
手製の募金箱を持ち、メッセージプレートで通行人に呼び掛けた。新宿を発着駅とし、週末ごとに池袋、上野、秋葉原、東京、有楽町、品川、渋谷を回った。
子どもを貧困から救う活動
今回の街頭募金活動は、子どもの貧困対策に取り組む従来の民間団体が、年内に寄付金の控除が受けられる公益財団法人への移行を目指すことに連動するもので、高橋さんら学生が子どもの代表として理事などの役員になり、運営に携わる。
これまで地道に活動を続けてきた。2009年から、あしなが育英会を先頭に「子どもの貧困対策法」の制定を主張し続け、13年6月になって法律が成立した。昨年8月には具体的な施策などをまとめた大綱が制定された。
ことし4月、首相官邸で安倍首相、経済界、労働界、支援団体らが協議。国民運動へと展開することも確認され、新たな団体となる『子どもの貧困対策センター』(仮称)設立へ動きだした。同センターは子どもの貧困の調査研究と政策提言をする。NPOなどへの中間支援、子どもへの直接支援。こうした事業を軸とする財団法人として、子どもの貧困対策法成立から満2年を迎えた6月19日に法人化。今年度中に公益財団法人化を目指す。高橋さんらのひたむきな活動が社会を動かし、貧困に悩む子どもたちに光を当てている。
「父を自殺で亡くし、貧困を経験した当事者です」と高橋さん。「学生集会は北海道から九州まで全国6カ所で実行され、大学生も汗を流しています。どうか『日本の未来=子どもたちに』温かい投資を!」と熱弁をふるった。
街頭募金初日(5月24日)の模様はNHKなどが取材し、同日夕のテレビニュース枠で放映された。