皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんは、小学校から始まる初等教育、中学校・高校での中等教育を経て、最終段階の高等教育機関である大学に進学されました。保育園や幼稚園のプレスクール時代、小学・中学の義務教育時代、高校時代をあわせると、人によってはすでに15年の教育を受け、さらに今後4年間をこれに積み上げることになります。大学の次に期間2年から5年の大学院もありますから、大学入学後、9年間の学生生活が続く方もおられることでしょう。
皆さんは、教育課程の最終段階である高等教育課程のスタート時点に立っておられます。大学で勉強しても役立たないとか、大学に行かなくても生きる上では困らない、という意見をときどき耳にしますが、私には、それは勉強したくないという本心を隠そうとする逃げ言葉にしか聞こえません。高等教育が、社会や人類の発展に欠かせない貢献をしてきた(している)ことを私たちは忘れるべきではないと思います。
中等教育課程において皆さんが一定の苦労を味わったとすれば、高等教育課程で皆さんが味わう苦労がそれを下回ることはないと考えるべきです。しかし、中等教育課程までの受け身的な勉強に対して、高等教育課程では自発的、自主的な勉強が中心となるために、自分なりの面白さや楽しさを発見し、苦労以上の大きな喜びを得る可能性があります。
今後の4年間が単なる苦労や苦痛だけで終わるかどうか。それは、皆さんが今後どれだけ自発的、自主的に大学での課題や問題に取り組むかに依存します。私たちは、そうした皆さんの4年間を見守り、できる限りの支援をしたいと考えています。