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トップ>HAKUMON Chuo【2015年早春号】>【卒業の日に−贈る言葉】快楽よりも感動を!

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卒業の日に−贈る言葉

快楽よりも感動を!

松野 良一(まつの・りょういち)/総合政策学部長

松野 良一

 卒業おめでとうございます。期待と不安を抱きながらの旅立ちだと思います。私は企業で25年ほど働いた経験がありますので、君たちには「ようこそ!実社会へ!」という言葉もかけたいと思います。

 1年目の仕事は、どの業種も大変です。慣れるまで、辞めたいと思うことがあるかもしれません。私は最初、新聞記者になりましたが、入社1年目は、30回くらいは「辞めたい」と思いました。毎日毎日怒られました。「使えない奴」「向いていない」「何回言ったらわかるんだ」「もう一回行って来い」という罵声は、何度浴びたかわかりません。しかし、なんとか、仕事を続けられたのは、ある教訓を身に付けたからだと思います。

 それは、「快楽よりも感動を」ということです。これはもともと、ナチスのアウシュビッツ収容所から生還した精神医学者、V・E・フランクルが言った内容です。「人生の幸福は、どれだけ快楽を得たかではなく、どれだけ感動を得たかで決まる」ということです。人間は怠惰で快楽に走りがちです。しかし、目標を定めて、少しずつ努力して、達成していく。苦難や壁を乗り越えて初めて、本当の感動があるということです。だから、辛いということは、その先に、感動が待っている序曲みたいなものだという指摘です。

 皆さんは、大学時代にいろんな活動やプロジェクトをこなして来たと思います。最初は苦労の連続だったことでしょう。でも、グループワークで力を合わせて課題を達成したことと思います。大舞台でプレゼンしたり、コンテストで受賞したり、報告書、論文などのアウトプットを出したことでしょう。その時の達成感は、何物にも替え難いものだったのではないでしょうか。努力して、少しずつ目標を達成していく。そして、少しずつ、自信を付けて行く。そのトレーニングの繰り返しが、人間を総合的に成長させると思います。

 皆さんなら、実社会でも、元気に活躍してくれることと思います。仕事を辞めたいと思った時、向いてないと思った時、自信をなくした時は、どうか学部時代に行ったプロジェクトやゼミ活動、留学やインターンなどを思い出してください。きっと、もう一度やってみようという勇気と希望が生まれてくるはずです。

そして、大学、学部はずっと、皆さんの「心のふるさと」であり続けます。いつでも遊びに来てください。また、お会いしましょう!