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トップ>HAKUMON Chuo【2015年早春号】>【卒業の日に−贈る言葉】当たり前のこと

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卒業の日に−贈る言葉

当たり前のこと

石井 靖(いしい・やすし)/理工学部長

石井 靖

 卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。長い学生生活を終えて、社会に飛び出していこうとしている皆さんに、心からの祝福を送ります。

 今春大学を卒業する皆さんは、4年前、東日本大震災の直後の大混乱の中で、大学生活をスタートさせました。4月に入ってから「計画停電」で電力の供給がストップしたことは無かったかもしれませんが、節電のために駅のエスカレーターが止まっていたこともありました。当たり前と思っていた普段の生活が、当たり前ではなくなってしまうことを経験したことと思います。そうした中で、首都圏では普段の生活が送れることに感謝して、被災地でのボランティア活動に取り組んだ人もいたかもしれません。

 もう一つ、当たり前と思っているけれど、実は必ずしも当たり前ではないことがあります。それは、大学教育を受ける機会に恵まれるということです。我が国の大学進学率は50%超と言われています。つまり同世代の人の二人に一人が大学教育を受けています。しかし、逆に言えば、二人に一人は大学教育を受けることが出来なかったということになります。皆さんが大学で学ぶことが出来たのは、皆さんのご両親や周囲の方々がその機会を用意してくださったからに他なりません。特別なことを当たり前のこととして享受できた幸運を、社会のために役立ててください。そうすることが、幸運な皆さんの責務だと思います。

 門出にあたって、卒業生の皆さんが、自分の幸運に報いる気概を持って活躍されんことを願って、私からの餞の言葉と致します。卒業おめでとうございます。