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トップ>HAKUMON Chuo【2015年早春号】>【卒業の日に−贈る言葉】明るい未来を切り拓いていく推進役に

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卒業の日に−贈る言葉

明るい未来を切り拓いていく推進役に

酒井 正三郎(さかい・しょうざぶろう)/総長・学長

酒井 正三郎

 ご卒業おめでとうございます。中央大学の学位記を取得される皆さんの在学中の研鑚と健闘を讃えるとともに、中央大学の卒業・修了を心よりお祝い申し上げます。また学位記を授与される皆さんのご両親、ご家族、そして関わりの深い方々にも、教職員一同とともにお祝いを申し上げます。

 皆さんの多くは4年前、2011年4月に本学に入学しました。その数週間前の東日本大震災とそれに続く福島の原発事故の影響で日本中が未曾有の大混乱に陥る中、皆さんの大学生活がスタートしました。この大惨事によって、被災地で被害に会われた方はもとより、本学全体としても節電協力や計画停電の可能性と日々向き合うことを余儀なくされるなど、日常の上でさまざまな影響を受けてきました。同時にこの問題は日本全体に助け合いの精神を高揚させたようにも思います。本学でも、社会貢献の一環としてボランティア活動が活発化し、被災地の自治体や地域コミュニティと恒常的な協力関係を築き上げ、信頼の深い絆で結ばれているケースも出てきています。大学の教育研究面でも、自然災害やリスク・マネジメントに関する講座や講演会、研究会などの取り組みが従来にも増して多くみられるようになりました。「3.11」は社会に対しても、大学に対しても確実に構造変化を促しました。皆さんは、学生として、それを身をもって体験した第一世代として社会に出ていくということになります。そのような皆さんにおいて初めてなし得ること、皆さんでないと出来ないことが多々あるものと思います。皆さんが、大学生活の4年間で身につけた知識や経験を生かし社会の中で活躍されることを、教職員一同心より期待しています。

 中央大学は今年創立130周年を迎えます。本学は「實地應用ノ素ヲ養フ」を建学の精神に掲げ創立されました。本学の創設者は、経験を尊び実際を重んずる学風を育て、個人の自由と自助の確立、実証精神と在野精神の涵養、自由闘達な進取の精神などを強く訴えました。この中央大学の誇るべき伝統である実学教育は、単に実用に即した知識の修得をめざすものではありません。それは学問的探究を通して創造的批判精神を養い、社会での課題に応える知性を育成することに核心があります。この思いは、現在「行動する知性。-Knowledge into Action -」というユニバーシティ・メッセージにも込められています。これからみなさんは、今まで、出くわしたことがない問題に対して取り組んで、いかなければならない時代を生きていくことになります。少子高齢化、地方創生、環境問題、貧困など、国内外の問題は複雑化、重層化して生起しています。上にのべたとおり、皆さんならではの経験をベースにして、未だ誰もが成し得ていない仕事に挑戦し、プロフェッショナルな道をぜひ目指していただきたいと思います。

 学位記の授与を祝し、希望に満ちて中央大学の学窓から新たな旅立ちをされる皆さんが、大志を抱き、心身ともに健やかで実りの多き人生を歩まれ、これから出会うさまざまな課題に正面から向き合い、明るい未来を切り拓いて推進役として成長されますことを祈念いたしまして、お祝いのご挨拶といたします。