Chuo Online

  • トップ
  • オピニオン
  • 研究
  • 教育
  • 人‐かお
  • RSS
  • ENGLISH

トップ>HAKUMON Chuo【2015年秋号】>【グローバル人材育成】中スポ 取材舞台裏 韓国ユニバ ドタバタ3ヵ月 佐藤広崇記者

HAKUMON Chuo一覧

グローバル人材育成

中スポ 取材舞台裏 韓国ユニバ ドタバタ3ヵ月 佐藤広崇記者

文&写真「 中大スポーツ」新聞部 佐藤広崇記者(文学部3年)

女子卓球部・山本怜選手(文2)

 4月13日。私は東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンターにいた。第28回ユニバーシアード(ユニバ)夏季大会の競泳代表選手を確認するためだ。

 中大水泳部からは、選手2人が選出され、コーチ1人が帯同する。競技日程の欄に「2015年7月3日~7月14日 第28回ユニバーシアード競技大会(韓国・クァンジュ=光州)」とある。海外で取材できる機会はめったにない。俄然(がぜん)やる気になったのだが、これが3カ月に及ぶドタバタ劇の始まりだった…。

 ユニバのホームページに“MediaAccreditation(取材申請)” があった。案外簡単だなと、拍子抜けした矢先につまずいた。申請の締め切りから既に1週間近く過ぎている。しかし、申請を行うWebサイトはまだ登録ができそうな様子。ひとまず、フォトグラファーとして私の名前を登録した。ところが運営側から一向に返事が来ない。海外取材の夢は半ばあきらめていた。

 6月23日に事態は急展開を迎えた。届いた英文メールをよく読むと、なんと取材申請が通ったようだ。申請は一人分のみ。一人で行くことになってしまった。

 競泳競技が開幕する2週間前だ。ホテルを予約し、成田から韓国・釜山行きの航空券を手配した。航空券は往復で1万5000円、ホテル代は4泊で5万円。釜山から光州までは高速バスで行けるようだ。韓国では中東呼吸器症候群(MERS)コロナウィルス感染が拡大していたため、マスクや衛生用品を購入。気が付けば出国当日だった。

指さし韓国語会話集

水泳部・砂間敬太選手(法2)

 やっとの思いで釜山のバスターミナルに降り立った。窓口で「クァンジュ カジ ハンジャン ジュセヨ(光州まで1枚ください)」と言ってみた。出国当日の朝に自宅から持ってきた「指さし韓国語会話集」に載っていたフレーズだ。片言の韓国語を察して、窓口の女性はパソコン画面をこちらに見せながら22,300ウォンだと教えてくれた。

 午後9時半。光州のバスターミナルからタクシーを乗り継ぎ、メーンプレスセンター(記者・カメラマンの取材拠点)で記者証を受け取ると、あっという間に1日目が終わってしまった。

 翌日から取材が始まった。現地では報道機関向けのシャトルバスが出ていて、それに乗り競泳の試合会場へ。意気揚々と撮影場所に行こうとしたら係員に止められた。フォトグラファーはプレスセンターで所定のビブスを受け取らなければならないと言う。記者証交付の際に教えてくれれば良かったのに…と思いながらプレスセンターへ戻り、ビブスを手にして事なきを得た。

 競泳の撮影は普段から行っているので、外国でも取材事情は分かっている。初日は水泳部の砂間敬太選手(法2)が、翌日に行われる男子200メートル背泳ぎ決勝進出を決めた。

 取材2日目の午前中は、女子卓球部の山本怜選手(文2)の撮影に向かった。山本選手はわずか20分ほどで相手選手に勝利(競技結果は単ベスト16、混合ダブルス8強、団体銅メダル)。かなり早く試合が終わってしまったので、会場を離れてホテル近くのスーパーでお土産を買い、夜から競泳の会場へ向かった。

 砂間選手の200メートル背泳ぎ決勝が始まった。150メートルまでメダル圏外だったが、残り50 メートルで追い上げ2 位に入った。表彰台に上ってくれて、韓国まで来た甲斐(かい)があったと安心した、その直後、会場責任者が「表彰台の前には1国につき1人のカメラマンしか入れない」と言う。日本からは共同通信社のカメラマンが派遣されていたので、中スポが入る場所はない。表彰式終了後、砂間選手を懸命に呼び止め、メダルを掲げてもらった

 あっという間に取材最終日。午前中は砂間選手の400メートル個人メドレー予選の撮影を行った。砂間選手が決勝に進出したため、夜まで時間がある。プログラムを調べたところ、陸上競技部の谷口耕太郎選手(商3)が男子200メートル準決勝に出場すると分かった。プールを離れ、今度は陸上のトラックへ。決勝まで進出した谷口選手の撮影を終えると、急ぎ足でプールへ戻った。

 ユニバで最後の撮影となる競泳400メートル個人メドレー決勝が始まった。砂間選手は序盤から他選手を引き離し、念願の金メダルが見えてきた。3位でのフィニッシュだったが、自己記録を大幅に更新して喜びを爆発させた。

会場プールのパノラマ写真

 まだまだ撮影を続けたかったが、授業や旅費の問題で、翌日便で帰国しなければならない。後ろ髪を引かれる思いでプールを後にした。

 翌朝はホテルを朝5時半にチェックアウト。始発の高速バスに乗り、釜山の空港へ。焼肉やキムチなどで韓国料理を堪能するはずだったが、朝7時にホテルを出て、夜11時まで取材・会場間の移動にあけくれた。日本から持参したフリーズドライのみそ汁、プレスセンターに用意されていたチョコパイで空腹をしのいだ。気が付けばもう成田空港。時間がこんなにも早く過ぎていった経験は初めてだ。

メインプレスセンターのワークルーム

 今回の取材では、さまざまな人に助けられた。準備段階で韓国語の堪能な友人にMERSの情報を入手してもらった。アルバイト先では釜山出身の大学院生を紹介してもらい、彼女のガイドで韓国でのバスの乗り方や乗り場などを知った。現地入りすると台湾人カメラマンがホテルへの近道を教えてくれた。自分一人では決してできない取材だった。

 ユニバの競技結果は、「中大スポーツ」9月号に掲載されている。一記者の体当たり取材を、紙面から感じ取って頂ければ幸いである。

【当広報誌から】佐藤記者トリプルスリー

 中スポ9月号では、韓国ユニバが紙面の1ページを割く大展開(4面)。読み応えある記事、迫力ある写真の数々、佐藤記者は記事・写真のほか、紙面レイアウトまでこなす金メダル獲得級の大活躍。中スポは多摩キャンパスCスクエア、後楽園キャンパス1号館学生生活課前などに配置されている。