司会の曽根キャスター(左)と山本アナも校歌を歌う
多摩キャンパスのいたるところに「おかえりなさい」と大書したボードが掲示されていた。校舎は1978年に駿河台から多摩に移転。初めて多摩校舎を訪れる卒業生も多いようで、自然に恵まれた環境に驚きの表情が並んだ。
午前10時15分、クレセントホールで開会式が行われた。校歌斉唱では、司会の山本哲也NHKアナウンサー(1980年法学部卒)が大きな声で歌っている。会場の卒業生らも歌詞を見ながら声をそろえた。山本氏は「母校のために司会ができますこと、感無量です」と胸中を明かし、隣の曽根純恵キャスター(2000年経済学部卒)は「ここに帰ってきますと安心感があります」と呼応した。
深澤理事長
深澤武久理事長があいさつで卒業生を歓迎し、一日ゆっくり楽しんでくださいと話したあと、陸上競技部駅伝チームの箱根駅伝予選会7位通過を報告。「ご心配をいただいておりましたが、連続出場は86回となり、赤いたすきをつなぐことができました」と声高に話すと、場内は同じ気持ちを表すかのように大きな拍手に包まれた。
注目の「親子三代表彰者」では、8組が壇上で表彰された。学生からみて、親、祖父・祖母がいずれも中央大学卒業生。来年創立130年を迎える中大ならではの伝統の表れである。
参加者は「息子が受験するころ“中大はいいぞ”とよく言って雰囲気づくりをした」「子供が中大で素晴らしい出会いをして、生きる力をつけてほしい」「息子が入学して、愛校心がまた出てきた」「今度は四代目だ」と中大一筋の熱い思いを事前のアンケートを通じて語った。
親子三代表彰を受ける峰岸ファミリー
この日は多くのイベントがキャンパス各所で行われた。主なイベントは次の通り。GO GLOBAL!体験型グローバル学修に挑む現役中大生の声▽対談「いま、日本を読む」目加田説子・総合政策学部教授―佐高信氏(経済評論家)▽寄席の世界を楽しむ=三遊亭竜楽師匠(1982年法学部卒)、林家つる子さん(2010年文学部卒)▽邦楽演奏=学友会文化連盟竹桐会▽演技=学友会体育連盟応援部▽中央の絆ほか。
中央大学法曹会、社会保険労務士白門会などによる無料相談コーナーも設けられた。
第23回ホームカミングデー親子三代表彰者(敬称略)
小野 實雄
専門部法科(大正7年卒業)(故) |
小野 祐資
大学院理工学研究科(昭和43年修了) |
小野 慎介
理工学部物理学科(平成23年入学)4年生 |
加治屋 利隆
法学部(昭和28年卒業)(故) |
加治屋 知和
商学部経営学科(昭和60年卒業) |
加治屋 裕希
商学部金融学科(平成26年入学)1年生 |
佐藤 幹雄
経済学部(昭和33年卒業) |
佐藤 卓也
大学院法学研究科(平成15年修了) |
佐藤 雄樹
総合政策学部国際政策文化学科(平成26年入学)1年生 |
髙田 昌幸
経済学部(昭和31年卒業)(故) |
髙田 賢司
商学部経営学科(昭和59年卒業) |
髙田 智也
理工学部応用化学科(平成25年入学)2年生 |
峰岸 一朗
法学部法律学科(昭和36年卒業) |
峰岸 崇
商学部経営学科(昭和63年卒業) |
峰岸 章
法学部法律学科(平成25年入学)2年生 |
村山 俊博
経済学部(昭和30年卒業) |
村山 宏
経済学部産業経済学科(昭和58年卒業) |
村山 翔
商学部会計学科(平成26年入学)1年生 |
中平 栄一
大学院商学研究科(昭和31年修了)(故) |
村山 恵美子
文学部文学科(昭和57年卒業) |
籾山 吉男
専門部経済学科(昭和23年卒業)(故) |
籾山 俊夫
商学部商業・貿易学科(昭和57年卒業) |
籾山 祐亮
大学院理工学研究科(平成25年修了) |
和田 弘
専門部経済学科(昭和18年卒業)(故) |
和田 文明
商学部経営学科(昭和57年卒業) |
和田 優花
商学部商業・貿易学科(平成25年卒業) |
学生記者の見て歩(ある)記
永遠の愛校心を感じた日
伊坂理花(法学部4年)
福引きの豪華景品にはスクーターも
ホームカミングデー。なんとも心地よい響きである。
いつもは20代の若者たちで溢れかえっている中大も、この日は一回りも二回りも年の離れた先輩たちで大いににぎわった。中央図書館とヒルトップの間のスペース、セントラルプラザ周辺には数々の模擬店が並んだ。銀座のレストランからの出店もあった。卒業生による古典落語の寄席や現役学生による各種パフォーマンス発表なども行われた。白門祭に負けず劣らずの盛況ぶりである。
見どころがたくさんあったなかで、特に印象に残ったのは、現役の応援団が団旗を掲揚し校歌斉唱を行った際、OB・OG諸氏がこの上ない愛校心に溢れていた様子である。声も枯れんばかりに大熱唱し、会場はスタンディングオベーションだった。
OB・OGによる各地域支部・団体の紹介でも盛り上がった。旗手はアナウンスを受けて壇上へ。広いステージもあっという間に超満員。米ロサンゼルス支部は米国旗をあしらった旗で参加した。このシーンからも、卒業生は巣立ったあとも大学を誇りとし、心の拠りどころにして、“ 各々の場所”で活躍されていることがうかがえた。“各界の第一線”で尽力されているのもまた事実である。
ホームカミングデーの目玉の1つである「福引き抽選会」の豪華景品をみれば分かる。スズキとホンダから50ccスクーター、キヤノンはデジタルカメラ、東京ディズニーランドホテル1泊ご招待券、プレミアムギフト・JTB旅行券(10万円)が3本、商品券・図書カード5万円が5本……ほか多数。
中大を卒業し、日本を代表する企業の重役を担う先輩たちからの寄贈である。社会における先輩方の活躍は本当に華々しい。
10月16日付の日本経済新聞に面白い記事があった。見出しは『学生集め 同窓会が応援 東大 全都道府県に組織 明大 毎年20人に奨学金』 有名大学が次々とOB・OGとの繋がりを強化し、現役大学生の社会経験を促したり大学での学びを円滑にしたりするべく取り組んでいるというものだ。
OB・OGの各界におけるネットワークは大学にとって大きな財産であることは間違いない。ホームカミングデーで、先輩の活躍・清栄を目の当たりにした今、「もっともっと先輩たちから学びたい」そんな素直な気持ちを抱いたのである。
「中央大学をより良い大学にしたい」思いは世代を超えて共通である。懐かしい仲間との旧交を温める年に1回のホームカミングデー。現役学生も積極的に参加したい。
入学式以来の感激
高瀬杏菜(法学部2年)
▲絵画同好会の今野香菜さん(経3)=左=が丁寧に書いた似顔絵、学生記者・高瀬は大喜びだ
スカッとした青空のもと、中止となった昨年の分まで卒業生の笑顔が弾けた日曜日。
笑顔がステキな卒業生2人のアナウンサーによる進行で、開会式が行われた。割れんばかりの拍手と、クレセントホールに響き渡る校歌…。母校愛を目と耳で感じる時間だった。
福原学長のあいさつで分かったことがある。中央大学の前身・英吉利法律学校や東京法学院の卒業証書には永遠の「院友」とする文言が入っていた。いつでも帰ってきてくださいという趣旨に家族愛や絆を感じる。他校には見られない卒業の証書といえるだろう。
その後、体育連盟の公開練習を見学しに第二体育館へ。普段は足を踏み入れないこの場所で、多くのドラマが起こるのだと感慨深い気持ちになった。
OBの小川祝(はじめ)さんに出会った。小川さんは『箱根駅伝を強くする会』に平成13年に入会。毎年、熱烈応援を続けている。ヒルトップで行われた昭和38年・39年卒業の合同会に同行した。昨年の中止でたまっていたのか100人を超える集まりは活気に溢れ、こぶしを斜めに上げ下げして歌う中大神田節は印象的だった。
その後、人気の似顔絵コーナーへ。順番を待つ人は70人余。私も列に並んで絵画サークルの部員学生に描いてもらった。
突然背後から大声が…!
驚いて振り返ると、支部の白門会の旗を持った人々が壇上に集まっていた。青空に映えるCマークの旗は何とも力強く、私も中央大学の一員なのだと入学式以来最も強く実感した。
今回の取材を通じて、私はますます中大が大好きになった。
緑豊かな多摩キャンパス。残りの2年半で、私もドラマを作り上げていこうと思う。その中で多くの出会いがあることを願ってやまない。