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トップ>HAKUMON Chuo【2014年冬号】>【グローバル人材育成】中央大学文学部から海外へ! 「グローバル・スタディーズ」の紹介

HAKUMON Chuo一覧

グローバル人材育成

中央大学文学部から海外へ!
「グローバル・スタディーズ」の紹介

2014年度に新設された「グローバル・スタディーズ」。
この科目は地球規模で活躍できる人材の養成、及び学生の外国語運用能力を含めたコミュニケーション能力の向上を目的としています。
スタートとなる2014年度(前期)には以下のプログラムが開講されました。

飯尾 淳先生

日越学生による共同作業を終えて

■場所:ベトナム ホーチミン市

■期間:2014年8月5日~8月9日

■目的:
 ベトナムを例として、新興国におけるIT産業の成長過程を調査する。現地の状況を理解し、日本との関係性を考慮したうえで、今後のあるべき姿について理解することを到達目標とする。

■紹介:
 ベトナムを対象として実施された「グローバル・スタディーズ」のプログラムでは、新興国におけるIT産業の成長過程について調査しました。この海外研修に参加した学生は、NECベトナム社の協力を得て、ベトナムにおけるIT活用の実態を踏まえた具体的なプロジェクト事例を主体的に学びました。

 現地では、NECの皆様による研修に加えて、現地の大学生と合同で2日間にわたるワークショップを実施し、「NECベトナムが手がけるべき新規プロジェクトの企画提案」というテーマで日越合同によるグループ演習を行いました。事前に用意しておいた各国での先進的なIT活用例の発表に続き、3つのグループに分かれて企画提案についてのディスカッションを重ね、2日目にはNECベトナム社員の皆様も含めた大勢の前でプレゼンテーションを実施して、それぞれの成果を評価してもらいました。

 参加した学生は、日本とベトナムにおけるIT活用状況を理解しただけでなく、日本とベトナムの間での文化的差異をも学習できたと思います。英語による実際的なコミュニケーションを通じて学生同士の人的ネットワークが構築できた点も特筆すべき成果である。参加した学生の中には「今でもオンラインでやりとりしています」という者もおり、今後の更なる活躍にも期待が持てそうだ。

小林 謙一先生

晋州市 青銅器文化博物館の屋外展示・大坪里遺跡の復元住居

■場所:大韓民国 慶尚南道 釜山・昌原・晋州

■期間:2014年9月9日~9月12日

■目的:
 韓国の考古学及び博物館の実地調査」
韓国先史時代遺跡の発掘調査の実態調査を実地に行う。そのことにより、新石器~金属器時代における日本と韓国の歴史的比較を行うと共に、埋蔵文化財調査や考古学的研究が置かれている社会状況や、博物館活動などにおける市民への還元のあり方について比較検討を加える。考古学、歴史学、博物館教育における知識と素養を深め、実地研究の方法を学ぶ。

■紹介:
 対外関係・交流について検討を深めることは、日本史研究といえどもグローバルな視点を得ることになるだろう。特に、先史時代においては「日本」という枠組みはなかったのだから、大陸とつながりがあったのは当然といえる。実際に日本と朝鮮半島とは新石器時代・青銅器時代・古代には盛んな行来があったことが知られている。そのことを実地に勉強する目的で、調査旅行を行った。歴史研究以外の興味としても、日韓の博物館のあり方や、文化財の扱いや社会的認識など、問題意識に応じて調査することができる。

 今回は成田空港から釜山空港へ飛び、古墳で有名な金海博物館、昌原市ウリ文化研究院の見学や講義を聞いた上で、近郊の発掘調査している青銅器時代の支石墓の遺跡や保存されている東三洞貝塚の遺跡公園を見学した。現地にて一線で取り組む考古学研究者の説明を受け、多くの人たちが先史時代の研究や遺跡保存に熱心に取り組んでいる状況に接することができた。歴史を明らかにすることの必要性や文化財を大事にする考えは、日本も韓国も変わらないと実感した。次回は国立中央博物館などソウルを中心に回るつもりである。

兵藤 宗吉先生

マレーシア工科大学の日本語教師、クマラグル先生と兵藤先生

■場所:マレーシア

■期間:2014年3月13日~20日

■目的:
 マレーシアの多文化社会の英語でのフィールドワークを行いグローバル社会で活躍できる能力の土台を作る。

■紹介:
 今回のマレーシア研修旅行は17回目であるが、初めて現地にある中央大学の協定校のマレーシア工科大学を訪れた。最初に同校の日本語教師であるクマラグル先生によるマレーシアにおける多文化社会に関する講演を聞き、ついで、マレーシア工科大学で日本語を学ぶ学生、大学院生と参加した中大生との英語・日本語によるディスカッションを2時間ほど行った。これまで、日本人学生は現地の学生との英語を使った意見交流は苦手だと聞いており心配したが、驚いたことに現地の学生があまり日本語を話せないため、ほとんど英語を使って非常に活発にディスカッションをしているのであった。現地の大学生が日本文化に関心あるためか中大生も熱く語り合っていた。クマラグル先生の厚意によるマレーシア料理の昼食を現地の学生たちとごちそうになりながら、ディスカッションは尽きることがなかった。出迎えのバスが到着したため、再会を期してマレーシア工科大学をあとにした。次に世界遺産のマラッカの遺跡を見学し、クアラルンプールを経由してタマンネガラ国立公園内のジャングル内に住むオランアスリの部落を訪問し先住民の人々に対する調査と交流を行った。

森茂 岳雄先生

パホア地区の盆ダンスに参加

■場所:アメリカ合衆国 ハワイ州ヒロ及びその周辺(ハワイ島)

■期間:2014年8月21日~27日

■目的:
 ハワイにおけるフィールドワークを通して、日本人移民・日系人の歴史的経験や現在の生活についての認識を深めるとともに、それについて学ぶための学校現場で活用できるグローバル教育の教材づくりを行う。

■紹介:
 ヒロのハワイ・ジャパニーズ・センターを拠点に、ハワイ大学ヒロ校の本田正文先生の協力を得て、日本人移民・日系人に関する史跡や施設の見学を行った。また、本グローバル・スタディーズでは、見学・調査だけではなく、そこにおける「体験」を重視した。日系ラジオ局での番組出演、ヒロ本願寺における日本語礼拝への参加、日系人墓地における慰霊祭への参加、パホア地区での盆踊り体験、ヒロ高校の日本語クラスでの日本文化紹介の授業等である。慰霊祭では、来賓として出席されていた本学法学部出身の重枝豊栄ハワイ総領事とも親しく交流する機会を持った。

 参加学生は、これらの体験を通して、これまでの小中高の授業の中ではほとんど触れられてこなかった海外に出て行った日本人移民・日系人の歴史的経験や現実の生活について理解を深めることができた。学生は、現地での多くの人との「出会い」や一緒に参加した他学部、他専攻の学生との「交流」を通して、さまざまに人間関係を深めることもできた。以上を基に本授業の課題として学校現場で活用できる教材の作成を行った。作成された教材は、写真アルバム、絵本、漫画等、力作ぞろいであった。

矢野 善郎先生

韓国外国語大学での討論風景

■場所:韓国 ソウル市 韓国外国語大学校・淑明女子大学

■期間:2014年9月15日~9月18日

■目的:
 韓国の学生と「生」の討論をする

■紹介:
「韓国でゼミ合宿したい」というゼミ生の声に推されるまま、社会学を専攻する矢野ゼミ生18人による、ソウル遠征が9月15日から18日に行われた。当ゼミは、韓国論がテーマでもなく、しかも教員である私は韓国に行ったことすらない。相手大学との交渉・通訳・ツアーガイドまで八面六臂の活躍をしたオ・ガユンさんとハ・ヒョンジさんを筆頭に、ゼミ生の自主的な努力で成立した企画である。

 ゼミ生は、①経済、②家族、③教育、④文化、⑤宗教、⑥政治の6つのテーマ班に分かれ、日・韓社会を比較して討論するための問題提起を用意した。現地では、二つの大学を訪問。まずは、韓国外国語大学校日本語大学のキム・ドンギュウ学部長の下で日本語を学ぶ韓国学生およそ50人を相手に、ステージ上での公開討論。次の日は、淑明女子大学の十数人の学生さんとのテーブル・トークとなった。「徴兵制についてどう思います?」「大統領を支持しますか?」「彼氏はいますか?」などの、若者同士らしい、あまりに遠慮のない質問がむしろ功を奏したのではないか。両日とも議論が盛り上り、予定時間の終了後も、食堂やベンチで長時間にわたっての延長戦が行われるほどだった。

 本やネットでは決して得られない「生」の声を聞き、「生」の声を返す。これぞグローバル・スタディーズの醍醐味。そう実感できた遠征であった。

若林 茂則先生

ハワイ大学マノア校の教員・学生と本プログラム参加者の交流会

■場所:アメリカ合衆国 ハワイ州 ホノルル(ハワイ大学マノア校他)

■期間:2014年9月15日~9月20日

■目的:
 ハワイ大学マノア校における日英語比較研究・第二言語習得研究に関する研究発表会およびハワイと日本の関係、ハワイの歴史・地理に関する研修

■紹介:
 このハワイでのプログラムは、非常に活動の多い充実した研修であった。まずChuo-UHMConferenceにおける研究発表会は、ハワイ大学の著名な研究者や学生と活発に議論を交わし、発表した学生はもちろん、それを見ていた学生にとっても貴重な経験となっただろう。この議論で中央大学の研究レベルの高さを知ると同時に、研究の難しさを改めて実感できたに違いない。また、ハナウマベイではシュノーケリングを行い、自然環境を学び、パールハーバーに位置するアリゾナ記念館と戦艦ミズーリ記念館見学での歴史研修において、当時の戦争の状況を知るといったように、実際に目で見て肌で感じる体験ができたことで、学生たちの今のハワイに対する印象も変わったことが、このプログラムの大きな成果と言える。