新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。商学部教職員は、「商学」という学問を共に探究できる多くの仲間を、ここ多摩キャンパスにお迎えすることができたことを喜ばしく、また誇らしく思います。
「商学」という学問領域の直接的な対象は企業活動に代表されるビジネス(組織の営み)にほかなりません。企業はそれ自体で単独に存在しているのではなく、経済社会全体を構成する要素として経済社会や環境に影響を与え、またそこから影響を受けるという相互関係の中で成立しています。しかも、ビジネスは私たちの生活を内包し、人々の日常的活動の外延上に存在していることになります。それゆえ商学領域を学ぶには企業単体の行動に目を向けるだけでは不十分であり、周辺の経済学領域や外国語、人文・社会学などに視野を広めることが、国際競争力の向上を目指す日本企業、ひいては世界の企業動向を学ぶ皆さんに求められています。
大学では、学年が進むにつれて多くの学生はより専門的な分野に研究対象を絞るのが一般的です。これまでの勉強と決定的に異なるのは、学問対象となる事象や実態を科学的に分析する力を身につけることが重要となる、ということでしょう。そのような視点から自ら進んで講義やゼミに参加してください。
人の存在は企業の存在と似ています。人は社会との関係で存在しています。人はおよそ単独で生きられないでしょうし、他人から影響を受け他人に影響を与えます。大学ではこれまで以上に主体性と協調性が求められます。今しか得られない友人を作り、友人から異なる価値観を学び、新たな自己の発見と創造に時間を費やすこともできるはずです。いまいくらかの不安を抱えていても、勇気をもって自分の殻(世界観)から半歩先に飛び出してみてください。