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タイ、ベトナム Now
駐日ベトナム大使館ド・バン・チュン参事官
多摩キャンパスの会場は、まるでベトナムにいるかのような雰囲気に包まれた。ベトナムの伝統楽器「トルン」の演奏が流れている。日本におけるトルンの第一人者として活躍する小栗久美子氏と、森川拓哉氏によるバイオリンの演奏は郷愁を誘う、やさしく清らかな音色だった。
トルンは同国中部高原タイグエン地方の少数民族から生まれたという。日本の竹と違って、とても薄く、節から節が長い竹を使って作られている。
この後に駐日ベトナム大使館ド・バン・チュン参事官の講演が行われた。
日本と同じく12年間の教育制度ですが、日本が6、3、3、4制に対して、ベトナムは5、4、3、4制をとっています。
ベトナムでは受験競争が厳しく、1年生になるにも試験を受けなくてはなりません。子供であっても休みなく勉強しなくてはならないのです。元教師として、これは大変なことだと思います。
子供本来の明るさをもつために、遊びも楽しむ時間を持つべきだと思います。ベトナムの子供にとっては、これが問題になっています。
現在、識字率は約96%。これはうれしいことです。小学校から高校までの児童・生徒数は約1,300万人で、教師数は80万4,000人。
大学生は155万人、大学教員は4万9,000人。短期大学生・専門学 校生145万人に対し、教員は2万5,000人。日本に比べると、先生1人に対する学生の比率が高いのが特徴です。
ハノイの小学校(重点校)では先生1人につき55〜60人の生徒で、日本がこの先5年で目指すのが1学級30人ですから、ベトナムは日本の2倍となっています。ベトナムで日本のような教育が可能になるのにはもう少し時間がかかります。
日本へのベトナム人留学生は多く、近年、非常に速いスピードで増加しています。修士課程、博士課程で奨学金を支給される学生も大勢います。国費留学生数は安定していて、自費留学も増加しています。
自費留学生数といえば、2010年は810人、2011年は1,111人、2012年は3,110人。2013年は約9,000人を超えています。ベトナム経済が発展し、各家庭の収入が増え、留学が可能になってきました。
留学先に日本を選ぶのは、教育環境が良い、教育レベルが高い、社会の秩序が良い、子供の自立精神を養うために、ふさわしい国との理由があげられます。
2013年7月からベトナム人に対する入国ビザが緩和されたのも、留学生が増加している理由の一つで、今後さらにベトナム人留学生数は増加すると思います。
ベトナムの子供たちが日本で教育を受けられる環境を整え、ベトナムの国づくりに貢献する人材が育ってほしいと願っています。
在京タイ王国大使館シントン・ラーピセートパン次席公使
およそ600年前。アユタヤ時代に琉球王国と交流がありました。日本人の山田長政が外交・貿易で力を発揮するなどアユタヤでの活躍が認められて高位に就いたこと、沖縄の泡盛はそのアユタヤからもたらされたなど、歴史には興味深いことが刻まれています。
明治期。タイは東南アジア諸国が植民地化される中、日本と国交を結び、欧米のプレッシャーに対抗できる近代化を進めていました。それがチュラロンコン王でした。王室と皇室の国、仏教を大事にしてきた国として、日本とタイの関係は徐々に親しさを増していきました。
タイは2011年に大洪水に遭いましたが、現在、日本企業約7,000社が進出して、日本人約4万人が在住しています。バンコク日本人学校の生徒数は2,300人と多く、中国・上海に次ぐ規模です。
バンコク日系企業の商工会議所も世界で2番目に大きな組織となりました。タイから見ても、日本は輸出入ともに最も重要な国で、日本からの対外直接投資の規模で第1位。タイは日本企業、日本経済にとって重要な役割を果たしています。
日本からタイへの観光客は、2012年130万人でした。タイ人の日本訪問は2012年が26万人、2013年は10月までに28万人を記録しています。
タイ人は日本が好きで、そこへアベノミクスによる円安の影響が後押しして、昨年からビザなし渡航が可能になったこと、日本の7空港と直行便が繋がったことがプラスに作用しています。
言葉の違いがあるとはいえ、日本への留学生は2,300人、全体6位の順位です。日本語と日本のことがわかれば、日本企業に就職できるということが日本への留学のインセンティブになっています。