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トップ>HAKUMON Chuo【2014年早春号】>【ニュース&中大ニュース】リポート|気仙沼 企業マルシェ 駿河台旧校舎で被災地復興支援

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ニュース&中大ニュース

パネルを見つめる学生記者・高瀬

リポート|気仙沼 企業マルシェ

駿河台旧校舎で被災地復興支援

学生記者 高瀬杏菜(法学部1年)

 2月18日、被災地復興支援の「企業マルシェ」が行われると聞いて、主催する東京・神田駿河台の三井住友海上火災保険へ向かった。中大駿河台キャンパスがあった場所だという。

 私は昨年5月末に中大ボランティアステーション主催による「被災地スタディーツアー」に参加して、宮城県女川町へ震災ボランティアとして出向いていた。

販売カウンターに立った中大法学部1年の2人、左から寺井結有さん、高倉周さん

 企業マルシェとは、復興庁宮城復興局と地元商工会議所が主催した「地域復興マッチング結の場」を通じて生まれたもので、東日本大震災後、販路を失った被災地域の企業や商店が、新たな販路開拓や試食を通じて消費者とのコミュニケーションを図るなど販売力や商品力の強化のために、協賛企業の従業員向けに商品を販売するイベント。三井住友海上火災は支援企業の一つである。

 「地域復興マッチング結の場」とは、被災地域の企業が自らの努力や既存制度の活用だけでは解決できない様々な課題を解決するため、大手企業が有するノウハウなどとマッチングの場を設ける取り組み。

 今回は、三井住友海上駿河台ビルで午前と午後の2部制で行われた。

 私は、午後の部を取材した。会場に入ると、中大の企業インターン(就業体験)のパネルから始まり、いくつかの大学の報告ブース。奥には、今回のメーンである商品販売ブースがあった。

 販売担当者に「売れ行きはどうですか?」と尋ねてみると、「午前中は30種類近くありましたが、アヒージョ(にんにく風味の煮込み)と煮魚のパウチが人気で、パウチに至っては、4種類あったものが2種類になってしまいました」と返答からしてうれしそうだった。

 会場には3月に被災地でインターンをする予定の学生がいて、中大生が5人いた。うち友人が2人。

 復興庁宮城復興局参事官補佐の村山康裕さんにインタビューした。

 「結の場」は、昨年度から順次、石巻、気仙沼、南三陸・亘理山元で開催されており、気仙沼企業が参加する企業マルシェは、今回で5社目。工業等企業のハード面の支援は国の補助金の活用により復旧しているが、販路の復旧等ソフト面の支援の一つとして実施しているという。「結の場」のイベントとして、3月6~7日には、東京・丸の内ビルにおいて、気仙沼・石巻所在の水産加工会社の販売会が行われる予定。

 次に地元企業の声として、今回のブース出展も手掛けた八葉水産の村上修一さんに現状を聞いた。

取材に応じて頂いた復興庁の村山氏

 企業マルシェに参加したきっかけは、震災でラインが止まった影響で売る場が少なくなくなったこと、消費者に味を知ってもらうことで、商品がスーパーに並ぶようになったとき、手に取ってもらえれば…と期待を込めていた。

 話を聞いているころ、当日持ち込まれた、ほとんどの商品が売り切れとなった。

 今回の取材を通じて、多くの人が「震災の記憶を忘れない気持ち」でいることを知った。同時に自分の無力を感じた。

 しかし、このような取材もきっと誰かのそして何かの役に立つと信じて、私はこれからも震災関連の取材をしていこうと思う。

◆取材を終えて◆ サプライズと私の夢

 企業マルシェ当日、サプライズがあった。取材を始めて30分ほど、会場が妙にざわつき始めた。民放2局のカメラクルーが機材とともに現れ、カメラを提げた雑誌記者も来場した。一体何が起きるのか。著名人が来るのか。

 答えはイケメン政治家こと、自民党の小泉進次郎衆院議員、内閣府大臣政務官・復興大臣政務官の登場だった。

 私は小泉さんのファンである。周りの女性社員たちと同様に、内心かなり盛り上がっていた。

 見ているとファンサービスに徹するのが凄い。カメラ撮影に気軽に応じ、売り場では販売員の労をねぎらい、学生とインターンの話をする。求められた握手には力強く返す。近寄ってきた気仙沼市の観光キャラクター「海の子ホヤぼーや」とも、テレビの絵になるように絡む。

 果ては女性社員さんたちに、会社の宣伝パネルを指差して、「写真はあそこへ行って、みんなで撮りましょう」と笑顔で提案する。男性社員も大喜びだ。

 会う人は初対面でも、短い時間であっても、政務官に好印象を持つ。こうして支援者が増えていくのかと思った。

 復興庁職員によると、訪問した土地の言葉で語りかけ、どんなに時間が押していても、求められるすべての人に対して握手が終わるまでその場を離れないそうだ。

 今回感じたことがある。それは彼が持つ人を笑顔にさせる魅力である。

 私には、大学入学前に決めた将来の夢がある。その道のりは決して甘くはない。夢を実現するには、周りを笑顔にさせる人間的魅力が必要だと考えている。

 そのヒントを小泉政務官からもらった気がした。

 いつの日か夢を叶えて、お礼が言える日が来ることを夢見ている。

(高瀨杏菜)