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トップ>HAKUMON Chuo【2014年早春号】>【卒業の日に−贈る言葉】それでも自分で選んだと言える人生を

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卒業の日に−贈る言葉

それでも自分で選んだと言える人生を

中島 康予(なかじま・やすよ)/法学部長

中島 康予

 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。そして皆さんがこの日を迎えるまで、皆さんを支え、ともに歩んで来られたすべての方々に心からお祝いを申し上げます。

 学位記を手にしたとき、皆さんの胸に去来したことは何ですか。多摩キャンパスで大学生活の一歩を踏み出してから、皆さんが重ねてきた一つ一つの選択、そして選択しなかったあれこれのことが、学位記という形をとり、皆さんの手元にあるのだということを改めて心に刻んでください。

 今日、環境、開発、貧困、ジェンダー、家族、宗教・文化、平和、人権等の問題が、グローバル・リージョナル・ナショナル・ローカルの多層的世界で複雑に絡み合って生起しています。これらの問題が人びとの自由な選択を妨げているのかもしれません。だとすると、その解決に取り組むことは、他者のみならず、みなさん自身の自由な選択を可能にし、生き方の幅を広げることにもなります。法学部を巣立つ皆さんに求められているのは、問題解決に取り組む強い意欲を、法律学・政治学の専門的知識と結びつけて、他者とともに意思決定を行い、行動に移す能力にさらに磨きをかけていくことです。

 わたしたちが社会の外で生きるという選択をすることはきわめて難しい、そのようなことは不可能と言ってよいでしょう。社会のなかで生きる以外の選択肢は用意されていない。それでもなお、皆さんが自分で選んだのだと言える人生を歩んでいくことを願っています。