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トップ>HAKUMON Chuo【2014年早春号】>【卒業の日に−贈る言葉】本学卒業証書の源流を辿りながら、皆さんの卒業を祝う

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卒業の日に−贈る言葉

本学卒業証書の源流を辿りながら、皆さんの卒業を祝う

福原 紀彦(ふくはら・ただひこ)/学長

福原 紀彦

 中央大学の学位記を取得される皆さんの在学中の研鑽と健闘を讃え、ご卒業を心からお祝い申し上げます。

 中央大学は、英吉利法律学校として創設され、その後、大学としては、当初、東京法学院大学と称されていました。その最初の卒業証書には、他の大学が授与していた卒業証書に較べると大きな特徴がありました。ひとつには、形状が、いわゆる巻物風であり、増島六一郎院長をはじめとする教授(講師)名が縦書きに数多く連署されたために、たいへん横幅が長く巻物風の証書になっていたことです。卒業証書には、教授ひとり一人から卒業生ひとり一人への期待が込められていた証であり、今日の証書では全員の名前の連記まではないものの、皆さんの修学を導き見守った本学教職員全員の想いには当時と変わりがありません。もうひとつには、他の大学での卒業証書の本文が課程を修めたことを証するとだけ記載されていたのに対して、東京法学院大学の卒業証書には、「右者本院所定ノ・ヲ修メ茲ニ其業ヲ卒フ依ッテ卒業證書ヲ授與シ爰ニ之ヲ證ス爾後永ク本院院友タルノ特權ヲ享有スベシ」と記載されていたことです。後段に込められた願いこそ本学の卒業証書の心髄であり、今日の証書にはそこまでの記載はないものの、同様の願いが込められていると言ってよいでしょう。

 『實地應用ノ素ヲ養フ』ということを建学の精神とし、今日では「行動する知性」をユニバーシティー・メッセージとしている本学は、いつの時代であっても、社会と向き合い、社会とともにあって、社会を変革し社会を支えるために有為な人材を輩出してきました。本学は、その伝統を今に活かす学びと出会いの機会を大切にしています。

 グローバル人材育成推進事業において、本学初の海外拠点をハワイに設け、最近、その開所記念行事が現地で行われ、在ホノルル日本国総領事館を訪問しました。現在、その総領事の任にある重枝豊英氏は本学の卒業生であり、皆さんが手にされた学位記たる卒業証書と源流の趣旨を同じくする卒業証書をお持ちの方であり、意義深いご縁に恵まれたことを嬉しく思いました。本学卒業生のネットワークは、今や、全国津々浦々に広がり、グローバルにも展開しているのです。

 皆さんは、本学でのさまざまな学びと活動、そして、多くの人達との交流によって、多くの知識と技能を獲得し、それらを知性へと発展させてきました。皆さんが手にされた学位記は、所定の単位を取得して課程を修了した証しであるとともに、中央大学の建学の精神にもとづく歴史と伝統を引継ぎ、本学のネットワークを活用して現代社会で知性を発揮することができる能力と資格の証しでもあるのです。

 卒業生の皆さんには、中央大学の卒業生であるという誇りと自信をもって、これからの人生を着実に歩まれることを祈っています。中央大学は、皆さんの母校であり、また、皆さんの人生航路の母港でもあります。いろいろな機会に、母校に戻り、母港に帰港して、この時期に巡り会った人間関係、これから巡り会う人間関係を大切にし、元気にご活躍下さい。皆さんのご健康とご活躍を心から祈念して、お祝いのご挨拶と致します。