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トップ>HAKUMON Chuo【2013年夏号】>【コラム「きのうきょう」】なぎなたシンフォニー

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コラム「きのうきょう」

なぎなたシンフォニー

学生記者 谷藤美佳(商学部2年)

 高校時代、薙刀(なぎなた)部に所属していた。薙刀には、試合競技と演技競技がある。

 試合競技は定められた部位を確実に早く打突して勝負を競う。相手の隙を狙って打突の機会を見出し、よい間合いからタイミングよく技を出すことが大切だ。

 演技競技は2人一組で仕掛け・応じ技を行い、その演技の型の優劣を競い合う。

 高校入学後、ゼロからのスタート。徐々にではあるが、“上手くいった”と思う瞬間が生まれると、とてもうれしかった。

 しかし県内のすべての高校薙刀部が集まり、総当たり戦が行われたとき、ひどいショックを受けた。なんと最下位になったのである。

 今までやってきたことが意味のないことに思えてならなかった。もっと人より頑張らなければいけないと危機感を覚え、順位という結果で人と自分を比べるようになってしまった。それが過度になって、とても辛かった。人と比べられることが苦痛だったのに、いつしか誰かとの比較で自分の評価を決めていた。

 そんなとき、学年主任の先生が毎月発行する「お便り」に目がいった。でかでかと『Be yourself~人と比べない~』と、あった。人と比べても何の意味もない。自分自身がどうあるか。それが大切だ、と書いてあった。

 それから、周りと比べずに自分は自分で前向きに頑張っていこう、と思うようになった。嫌だった薙刀の試合も、勝ち負けによって気持ちが左右されることなく、結果を次に生かしていこうと考え方が変わった。稽古(けいこ)に対する姿勢も大きく変化していった。

 3年生で迎えた県高校総体は、団体1位、個人戦2位。「Be yourself」という言葉があったからだと強く思った。

 薙刀は礼に始まり礼に終わる。敗者に対して侮辱的な態度をとってはいけない。この点が武道の素晴らしさであると感じる。

 当たり前のことだが、相手がいるから薙刀ができる。だから私は一緒に稽古してくれる部員や先生方にとても感謝している。信頼し合える関係にもなれたと思う。

 「Be yourself」

 これからも強く感じていこう。