Chuo Online

  • トップ
  • オピニオン
  • 研究
  • 教育
  • 人‐かお
  • RSS
  • ENGLISH

トップ>HAKUMON Chuo【2013年夏号】>【スポーツ】駅伝チームはいま 課題の「底上げ」着実に

HAKUMON Chuo一覧

スポーツ

駅伝チームはいま

課題の「底上げ」着実に

箱根駅伝出場をかけた予選会(10月)のトップ通過を目指す中央大学陸上競技部駅伝チームが、着実にレベルアップしている。箱根のライバルが集まる関東学生対校選手権最終日(5月26日、横浜市・日産スタジアム)のハーフマラソンには、箱根復路で“幻の区間賞”となった永井秀篤選手(文3=高岡向陵高=富山)らが出場した。

栄光への道 自分にウソをつかない

学生記者 森田晴香 (文学部3年)

自己ベスト13人

 各大学から42人が参加したハーフマラソンは、箱根8区で注目された永井秀篤選手(文3)が中大勢のトップ、1時間6分17秒(13位)、箱根7区の徳永照選手(経2、倉敷高)が1時間8分24秒(28位)、一般入学で公式戦初出場の渡辺俊平選手(商3、成田高=千葉)が1時間8分44秒(31位)。1位は日体大4年の本田匠選手で1時間4分25秒だった。

 他種目で自己ベスト更新者が2人出た。3000m障害決勝で出口遼選手(経3、須磨学園高=兵庫)が8分54秒02(8位)。5000mは町澤大雅選手(法1、市立柏高)が14分15秒32(17位)。3月の日本学生ハーフマラソン(立川)の7人を含む計13選手が自己ベストを記録(6月11日現在)。一歩一歩ながらチームの底上げが進んでいる。

 軽快な走りで中大ブースへ戻ってくる2人。今回ハーフマラソンに出場した永井選手と渡辺選手だ。さっきまであんなに遠くにいた選手がこんなに近くにいる…何とも言えない不思議な感情が沸き立ち、選手をついまじまじと見てしまう。陸上ファンにはたまらないだろうなあ…そんなことを考えていると、渡辺選手の準備ができたという。

渡辺選手

 レースが終わって間もない中、快く取材を引き受けてくれた。今日のレースに満足している様子はなく、「目標は20番以内だったけれど、足がついてきませんでした。もどかしかったです」と語る姿からは悔しさが感じとれた。

 箱根駅伝の話になると、「最近ハーフマラソンの記録が伸びてきているので、次こそはメンバーに入りたいです」と目を輝かせていた。何にも染まってない、まっすぐな目をしている。視線を合わせていると思わずそらしてしまいそうになる。

 取材の終わり際、ずっと尋ねてみたいと思っていた質問を思い出した。「一般入試で入ったんですよね? スポーツ推薦ではないから、ずいぶん苦労したんじゃないですか?」すると即座にこう返ってきた。

 「はい。でも陸上部に入れたのは、受け入れてくれた監督のおかげです」

 入部する際には悩んだだろうし、入ってからはおそらくいくつものハードルを乗り越えてきただろう。浦田監督に感謝の念を示す。さすがは名門中大陸上部の部員だなあと思わせてくれる一言だった。

 渡辺選手の存在は「私じゃダメかな? 僕じゃ無理かな?」と思っている子どもたちが、「私でも、僕でもできるかもしれない!」と思う原動力になるだろう。

中央が永井選手、左が学生記者・田中、右が森田

 永井選手はしばらく時間が経ってからやってきた。緊張している様子はなく、何にでも気さくに答えてくれた。

 今回のレースに関しては、「大事なところで粘れなかったこともそうだけれど、何より点数を取れなかったことが悔しかったです」と語る。関東学生対校選手権は種目ごとで得点を競い、優勝校が決まる。

 話題の『幻の区間賞』に関しては、「自分の記録が残らなかったことよりも、チームとしての記録が残らなかったことが残念でした」と話した。

 2つの返答から、永井選手が「周りのために、チームのために」という精神を常に持っているということがわかる。

 この時点でも永井選手の堅実さは十分伝わるが、次の言葉で彼の真の“強さ”を感じ取れた。

 「僕は競技の中で気をつけようというよりも、日常生活の中でいろいろ気をつけています。走れる環境を作ってくださるスタッフ全員に感謝する。掃除・挨拶をしっかりする、自分にうそはつかないなど、人間として正しいと思うことを驕ることなくすることですかね」

 とくに強調していたのは、『自分にうそはつかない』ことである。「人が見ていないからと言って、やらないことは簡単だけど、すべて自分に返ってくるので」

 聞いているうちに自然とこちらの背筋が伸びてくる。出てくる言葉すべてが教訓のようだ。きっと永井選手の日ごろの行動を見て、他の選手も何か感じとっているのだろう。そうしてチームに良い影響を及ぼしているのだろう。

 そして何より、永井選手の120%の笑顔を見れば、疲れも癒されるだろう。

 駅伝チーム主将、代田選手(経4)によると「これからぜひブレイクしてほしいと思い、ハーフマラソンのメンバーを選んだ」そうである。キャプテンからの期待値も高い。渡辺選手、永井選手のこれからの活躍に目が離せない。

駅伝ブログ「栄光への道」から 中央大学駅伝応援サイト新規ウインドウ

永井選手の話
自分らしさ出せた

 「関東インカレの応援、ありがとうございました。今回初めて出場させていただき、ハーフマラソンを走りました。レース内容は自分らしさを出せたと思います。
しかし入賞を目標としていただけに13位という結果は悔しいです。6月30日には全日本(大学駅伝)の予選があります。もう一度、自分を見直して1カ月後には積極的な走りができるよう練習に励んでいきます」

代田主将の話
焦らずあきらめず投げ出さず

 「4日間の関東インカレが終わりました。暑い中、応援してくださった皆さま、ありがとうございました。長距離は1500mで三宅一輝(法2)が3位に入っただけで、いい結果を出すことができませんでした。この結果を受けて、一人ひとりが6月末の全日本・予選までに何をするかを考え、全日本予選では挽回するような走りを全員でしたいと思います。箱根が終わり、まだいい結果が出ていませんが、焦らずあきらめず、投げ出さずに頑張ります」