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トップ>HAKUMON Chuo【2013年夏号】>【グローバル人材育成】中央大学国際寮24時 僕こんなに おしゃべりだった?!

HAKUMON Chuo一覧

グローバル人材育成

中央大学国際寮24時

僕こんなに おしゃべりだった?!

中央大学国際寮が活気づいている。マンションに例えれば、3Kの部屋に日本人、米国人、韓国人の3人が暮らす。個室などのプライベートゾーンはしっかり守られ、共有スペースで談笑し、外国語を習い、お国自慢の料理を振舞う。韓国・釜山からの留学生、キム・サンジンさん(商学部3年)が「僕こんなにしゃべる人だったかな」と楽しそうに国際色豊かな寮生活を話してくれた。

みんな集まって

寮の外観

キムさん

――入寮したきっかけは

 「1年、2年のときは、大学近くで一人暮らし。部屋に帰ると誰とも話さないでしょう。ゲーム、テレビ、宿題…。ホームシックになって、韓国の親によく電話しました」

 「韓国は兵役があります。兵役を終えて中央大学に復学するとき、部屋探しで苦労した1年生のころを思い出した。大学のホームぺージを見ていたら、国際寮が入居者を募集していた。これだ! と思いました」

――これだっていうのは

 「兵役後の記念旅行でインドへ1カ月ほど行きました。あまり英語は得意じゃないけれどよく話しかけていました。インド人、アメリカ人、イギリス人、日本人もいました。そこで感じたのは、国際交流はいいなあ、と。将来きっと国際的経験が役に立つ、アピールポイントになる。そう思っていた。だから国際寮はうれしかった」

――どんな生活ですか

「朝起きるでしょう、みんなとあいさつする。日本語、英語、ときどき韓国語でアンニヨンハセヨと言ってくれる。もうこれだけで国際的、すごいことよ。生きているなかでこんな経験はなかった。韓国の親に言うと“日本でアメリカの友達ができたのか、いい時代になった”と喜んでくれた」

――パーティーが多いと聞きました

 「みんなが使うホワイトボードがあって、そこにそれぞれがパーティーの予定を書き込む。参加者は名前を書く。僕も時間が合えば出ている。友達が増えるよ。友達の友達は僕の友達」

 「パーティーじゃなくても、LINE(無料通話アプリ)で話していて、“ランチどうする”、“一緒に食べよう”、“じゃあラウンジでね”。こんな感じで集まること、よくあります。2人がいるところに、また人がやってきて、輪が広がっていく」

――料理は

 「食事は自炊です。ある朝、アメリカの友達がパンケーキを焼いていた。“食べる?”って聞いてくれて食べた。美味しかったよ。トーストは知っていたけど、朝にパンケーキは考えたこと、なかった。国際寮のよさですね。僕は料理が好きで、メキシコやインドの料理を作る。辛いけど評判がいい(笑い)」

――いいことばかりですね、ときにはけんかもするでしょう

 「人間は言葉をしゃべる。ちゃんと話せば分かりますよ。困ったときは誰かが助けてくれる。人間関係やトラブルを心配する人、僕の韓国の友達にもいる。それを心配する人は国際交流、できないよ。文化の違いを理解しなくちゃ」

――将来の目標は

 「3つあります。母の仕事のトリマー。野球が好きだからプロ野球チームのオーナー。そして世界一周。友達いっぱいいるから、どこへ行っても誰かいる。楽しいでしょ」

寮発信の国際文化交流
プランを語る中村寮長

国際寮には日本人もいる。寮長の中村裕さん(経済学部4年)は実家が神奈川県内にあり、多摩キャンパスへは至近距離にある。入寮は寮開設の3年生の4月から。「寮内留学」の先駆者である。

 「母さん、うどんのつゆの作り方、教えて」。電話で聞きながらメモをとる。電車ですぐのところに実家はあるが、母とたびたび会話するのも国際寮のおかげという。「面と向かうと照れ臭いですものね」

 高校2年のとき1年間、米国メリーランド州(州都ボルチモア)に留学した。アメリカを肌で知った中村さんは、中大2年の後半にシェアハウスを探した。外国人と日々接するためだ。両親も応援してくれた。検索して目を奪われたのは中大国際センター発信の中大国際寮。2011年3月オープンの告知だった。

 「寮で親しくなったのは、シンガポール、フィリピン、韓国、中国…。英語を話すアジア系が多かった。イギリスもアメリカもいました」

 寮生活のよさを聞くと「みんなとよく話すから滑舌がよくなった。それに」と言って、身を乗り出した。「寮長というか、我々で地域住民との交流を考えています」。

 寮内留学のほか、国際寮の周辺に住む住民や子どもたちに中大の国際色をアピールしたい。「外国から来た寮生が子どもたちに英語を教える、各国の文化を知ってもらう。そんなことを企画中です。寮ができて3年目、みんなで国際文化をつくっていきたい」

デッキにて(写真提供=中村・国際寮長)

東京・日野にある中大国際寮は2011年3月末に設立された。現在の入居者は58人。留学生の国籍は米国、英国、フランス、韓国、中国、台湾、日本(表参照)。外国人との交流・語学学習などができることから、「寮内留学」とも言われ、社会からも高い関心が寄せられている。

中央大学国際寮 *各年とも5月現在[資料提供=国際センター]
年度 入居者数 入居率 男女別 日本人/外国人 国・地域数(日本を含む)とその内訳
※2011 25名 39% 4名/11名 9名/16名 5 アメリカ、デンマーク、中国、韓国、日本
2012 53名 83% 30名/23名 27名/26名 9 アメリカ、イギリス、フィリピン、カナダ、シンガポール、中国、台湾、韓国、日本
2013 58名 91% 31名/27名 29名/29名 7 アメリカ、イギリス、フランス、韓国、中国、台湾、日本

※2011年度は東日本大震災の影響に伴う募集の遅れにより日本人学生数の入居が少なかったこと、協定校からの交換留学生が派遣中止されたことが影響した。ただし、5月のGW以降、交換・私費留学生など15名が入居し、40名になった。国・地域もスイス、タイ、スウェーデン、ドイツからの留学生が加わり、延べ9カ国・地域に広まった。