新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。商学部教職員は、「商学」という学問を共に探究できる多くの仲間を、ここ多摩キャンパスにお迎えすることができたことを喜ばしく、また誇らしく思います。
「商学」という学問領域の直接的な対象は企業活動に代表されるビジネス(組織の営み)にほかなりません。しかし、企業はそれ自体で単独に存在しているのではなく、経済社会全体を構成する要素として経済社会や環境に影響を与え、またそこから影響を受けるという相互関係の中で成立しています。しかも、ビジネスは私たちの生活を内包し、人々の日常的活動の外延上に存在していることになります。それゆえ商学領域を学ぶには企業単体の行動に目を向けるだけでは不十分であり、周辺の経済学領域や外国語、人文・社会学などに視野を広めることが、国際競争力の向上を目指す日本企業、ひいては世界の企業動向を学ぶ皆さんに求められています。
商学部は、皆さんの関心領域に沿った比較的柔軟な科目選択を可能とするカリキュラムを編成しています。しかし、学年が進むにつれて多くの学生はより専門的な分野に研究対象を絞るのが一般的です。その際、研究対象の選択を適切に判断するためには、たんなる関心だけではなく、自分で納得できる合理的な根拠をもつことが不可欠となるでしょう。これまでの勉強と決定的に異なるのは、大学での学問では対象となる事象や実態を科学的に分析する力を身につけることが重要となる、ということでしょう。そのような視点から能動的に講義やゼミに参加して欲しいと思います。
人の存在は企業(組織)の存在と似ています。人は社会との関係で存在しています。人はおよそ単独で生きられないでしょうし、他人から影響を受け他人に影響を与えます。大学生活の4年間は、授業やゼミだけでなく、課外活動(スポーツ・文化活動)においても常に他者との交流とコミュニケーションを伴います。これまで以上に主体性と協調性が求められます。大学生活でなければ得られない友人を作り、友人から異なる価値観を学び、新たな自己の発見と創造に時間を費やすこともできるはずです。いま大学生活にいくらかの不安を抱えていても、勇気をもって自分の殻(世界観)から半歩先に飛び出してみてください。そして、皆さんの力によって元気で健全な商学部を築いて頂きたいと思います。商学部の各科目で学ぶことを日々の自己形成に応用してみてください。