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トップ>HAKUMON Chuo【2013年春号】>【入学おめでとう】「広い視野を持とう」

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入学おめでとう

「広い視野を持とう」

橋本 基弘(はしもと・もとひろ)/法学部長

橋本 基弘

 新入生の皆さん、ご入学おめでとう。本意であったかどうかはともかく、数多い大学の中から中央大学を選んでくれたことにまず感謝したい。

 今、日本社会は激動の中にある。国家財政の破綻は対岸の火事ではあり得ない。経済のグローバル化は労働や日常生活のレベルにまで深い影を落としている。

 教育もまた例外ではない。国境を越えた大競争が始まろうとしている。およそ「知」というものが人間にとって普遍的な意味をもつなら、大学の場所や使用言語は、本来二次的な要素しかもたないはずである。学びたい学問を学べる場所で学ぶというのが大学の起源であった。12世紀に大学制度の輪郭ができあがったのには、国境を越えた学びの要求があった。つまり国境を易々と越えて集まる学生の存在があった。

 大学=universitaとは、本来人の集まりを意味するラテン語に由来する。ヨーロッパ各地から、聞きたい講義や知りたい知識、学びたい先生を求めて学生が集まってきた。

 翻って本学を見てみよう。1885年に、日本を近代化するためにはイギリス法を広める必要があると考えた18人の若い法律家が集まった。そこに全国から法を学びたいと志を立てた多くの若者が参集する。出身地や使用言語(?)も異なる若者が中央大学の礎を築いたのである。

 学問の自由は移動の自由によって支えられてきたのである。人の移動が自由であることが学問をする大前提である。グローバル化した社会ではローカルな知以上に普遍的な知が求められる。今この時、香港や上海でも、シンガポールやシドニーでも、ボストンやオックスフォードでも諸君と同じように瞳を輝かせて学ぶ若者がいることを忘れないでほしい。

 広い視野を持とう。歴史を変えていくのは諸君なのだから。