中央大学への入学おめでとうございます。皆さんが大学進学のために重ねられた努力を讃えますとともに、本学への入学をお祝い申し上げ、関係者一同、心から歓迎致します。皆さんが本学において伸び伸びと学業や諸活動に励み、大きな成長を遂げられることを期待し、精一杯応援したいと思います。

　皆さんが大学生活を有意義に過ごすためには、わが国の大学が今どのような傾向にあるのかを理解しておくことが大切でしょう。第一には、いうまでもなく、社会の国際化に伴うグローバル化の傾向です。このことは、大学が受け入れる留学生の数が増え、海外へ送り出す学生の数が増えるということだけにとどまりません。現代の社会では国内業務と国際業務との区別が困難なほどにグローバルな視点と規模で業務を遂行しなければなりませんから、今日の大学では、日本の社会だけでなく国際社会とも連携して活躍できるための学修や経験の機会が求められています。本学では、昨年から文科省で採択された「グローバル人材育成推進事業」を全学的に展開していますから、新入生の皆さんも大いに参加され、グローバルに視野と活動の範囲を広げて戴くことを期待します。

　第二には、知識基盤社会への移行と大学進学率の上昇に伴い、多くの人が大学教育を受けるというユニバーサル化が急激に進んでいることです。このことにより、自らが進学し自らを鍛える大学の修学環境の特徴を、建学の精神に照らしてしっかり理解しておくことが必要となります。中央大学は、１８８５年に英吉利法律学校として創設され、「白門」を象徴とする１２８年の伝統のなかで総合大学として発展し、「實地應用ノ素ヲ養フ」との建学の精神を現代社会に実践することを使命としています。このことは、多様な学問研究と幅広い実践的な教育を通して「行動する知性。―Knowledge into Action―」を育むという本学のユニバーシティ・メッセージとして受け継がれています。こうした学風を理解して、表層的な技術や知識の習得ではなく、本学での特色ある学修と機会を通じて、公共性と社会性を有する知性を獲得されるよう期待したいと思います。

　第三には、大学の果たす役割として、高度な研究と教育という伝統的な機能の発揮に加え、最近では、社会連携・社会貢献の機能の発揮が注目されているということです。今日では、東日本大震災に伴う困難をはじめ、さまざまな諸課題が生起するなかで、社会を生き抜く力を養成し、未来を創造する人材を養成することが大学に求められ、そのために、大学が地域や各種組織と連携してボランティア活動等の社会貢献を果たすことが求められています。本学では、地域連携や社会貢献を実現できる制度や環境の整備に努めており、新入生の皆さんの自主的な参加も得て、大学の社会的役割を果たして参りたいと思っています。

　今、大学は、それらの傾向のもとに、社会変革のエンジンとしての期待が寄せられています。そういうときであればこそ、確固たる建学の理念のもとに、皆さんの資質と能力を磨き高めることのできる中央大学の学修環境を、思う存分に活用して戴きたいと思います。大学在学中に巡り会う人間関係やさまざまな機会を大切にして、有意義な学生生活を元気に過ごして下さい。皆さんのご健康とご活躍を心から祈念して、お祝いのご挨拶と致します。