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トップ>HAKUMON Chuo【2013年早春号】>【“未来のリーダーを育てる”中央大学高等学校】―高校生キャリア講座 「私の生き方を考える」 ―に参加して

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“未来のリーダーを育てる”中央大学高等学校

―高校生キャリア講座 「私の生き方を考える」 ―に参加して

笹瀬 綾子さん(中央大学大学院理工学研究科経営システム工学専攻修士1年)

 昨年12月から今年3月にかけて、中大の附属校の一つ、中央大学高等学校(後楽園キャンパス内)で高校生向けのキャリア講座が開催された。
 「キャリア講座」という文字を見ると、専門家による企業紹介や求められるスキルについての紹介のような印象を受ける。しかし、この講座は知識収集型のものではなく、社会に出てから必要とされる力を、グループワークを通して自ら気づき、身に付けることを目的として行われている。

議論中の生徒をサポートする富士フイルムの木内清悟さん

社会をよくしたい

 開講の発端は2年ほど前、企業側の人材開発担当者が集まる勉強会の場で、“社会をよくしたい”“未来のリーダーを担う人々を育てたい”という想いを語り合ったことがすべての始まりだったと代表の中山康子さん(東芝)は語る。

 そして、中大理工学部で展開する「WISE CHUO」プログラムと連携して、キャリア教育を実践していた中山さんをはじめとする企業側メンバーと、ちょうど新たな授業展開を模索していた中大高校とが出会い、男女を問わずこれから進路を選択する高校生を対象として今回の講座が実現する運びとなった。

 参加企業は、東芝、博報堂、森永製菓、富士フイルム、本田技研工業、三菱化学エンジニアリングの6社にのぼり、(株)ユアパートナーがファシリテータ養成を担当している。

毎回80分×全5回

後楽園キャンパス内の中央大学高等学校

 高校生キャリア講座の活動内容は、社会の様々な問題からテーマを抽出し、議論を重ねて解決策を提案するというものであり、参加者は中大高校2年生と3年生の有志。1チーム5~6人で編成する全6チーム。

 各回80分×全5回のプログラムで構成され、最終回は全校生徒の前でプレゼンテーションを行う。各チームに企業側ファシリテータと中央大学生のファシリテータ補助が1名ずつ加わってサポートにあたる。

 ファシリテータは事前研修を受けて臨んだが、私(笹瀬)も補助学生の一人としてこの講座に参加している。

テーマ回答は無限大

 各チームが取り上げたテーマは、“将来への不安”など生徒たちの実感によるものや、“社会貢献するには”などの社会規模のものまで多岐にわたっているが、試験問題とは違って正解がないテーマについて議論を展開するには、一人ひとりに強い自発性が求められる。高校の普段の授業ではあまりない経験だ。

 しかし、このような能力こそが今後社会に出た際に求められるものではないかと、就活中の身として強く感じる。

 私の参加したチームは、最初は意見を言うことに消極的だったが、回が進むにつれて自発的に意見を述べるようになり、最後は活発に議論するレベルにまで成長していた。4回目の講座終了後、チーム内で活動を振り返ったところ、「最初は不安だったがみんなで何かを作り上げる楽しさを知ることができた」「自分を表現することが楽しかった」などの意見が多く挙げられた。また、現状と理想のギャップから課題を見つけたことについて、「学校(授業)では学べない新しい考え方を知ることができ、将来に役立つと感じた」など成果が期待できそうな意見もあった。

 他チームからも生徒の取り組む姿勢が変わったとの声が多く、生徒自身も成長を自覚できたのではないかと感じている。

自発的な進路選択へ

 ファシリテータの方々は通常の仕事があるにも関わらず、準備段階から全面的にサポートしていた。試行錯誤しながら高校生と向き合う姿に、とても熱い想いを感じた。それはきっと生徒たちにも伝わっているだろう。

 「自分が取り組んでいることの価値を自ら見出せるようになってほしい」と中山さんは語る。おそらく彼ら彼女らはその一歩を踏み出したのではないだろうか。

基調講演で熱く語るリバースキャリアパートナーズ代表の坂本章紀さん

 高校時代のこのような経験が進路選択を自発的なものにし、大学生活を有意義に過ごすことにつながると確信した。それがやがて、未来の頼もしいリーダーの誕生につながるのではないかと思う。

 日本の教育体制は自主性を育むという観点では未だ足りない部分が大きい。しかし、社会では間違いなく必要とされる力であるため、このようなプログラムが普及することを強く願う。

 また高校生にとって、社会人と直接会って話をするという観点でも貴重な機会であったと感じる。高校生と話していると、彼ら彼女らが抱く“社会人”のイメージは社会情勢と相関があるように思える。そのため今回のように熱い想いを抱く社会人と会話を交わすことで、不安を払拭し未来に希望を持ってもらいたいと感じた。

 現在彼ら彼女らは、全体発表に向けて準備の真っ最中。各チームどのような発表となるのか今から楽しみである。

♪WISE CHUO
理工系女子学生のための産業キャリア教育プログラム。WISEとはWomen inScience and EngineeringC huo University。さまざまな企業で「理工系女性としてのライフステージ」の一歩先を行く素敵な女性(ロールモデル)の方々を先生に迎えています。
▽大学での勉学・研究が、どのように産業界での仕事に結びついているかを、少人数制の授業・演習を通して教えています。
▽産業界での女性の役割(女性の感性を生かした商品企画、商品開発など)や、女性が無理なく長く仕事を続けるためのコツを伝授しています。

♪ファシリテータ
会議や集会などでテーマ・議題に沿って発言内容を整理し、発言者が偏らないようスムーズな進行を心がける人。会議などでの決定権は持たない。