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トップ>HAKUMON Chuo【2013年早春号】>【卒業の日に――贈る言葉】はなむけの言葉

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卒業の日に――贈る言葉

はなむけの言葉

丹沢 安治(たんざわ・やすはる)/総合政策学部長

丹沢 安治

 今頃は多摩キャンパスでの思い出と新しい人生に向けての期待が交差していることと思います。もう学生時代に戻ることはありません。ここで得た知識や友人、先生とのつながりを大事にしてください。仕事の世界とはかかわりのない友人、先生たちとのつながりはとても貴重なものになります。そして同時に気持ちを一新して、新たな生活の場となる社会環境のなかで、力強く生きていくことを決意してください。

 皆さんが人生の新たな一歩を踏み出す社会とはどのようなものでしょうか? つい先日までの「閉塞感の漂う雰囲気」は様変わりしているのではないでしょうか。何か新しい感性が歓迎されるような雰囲気がありますね。この雰囲気には、いくつもの重要な側面がありますが、わたしはこれまでの欧米中心の経済と価値観が重視される世界から、新興国と呼ばれる国々の成長とそれに伴う新興国市場のプレゼンスが増大した世界という側面が最も重要だと思います。新たな環境に立ち向かうためには、これまで培った知識、能力、創造力など全般的な力だけでなく、こだわりのない柔軟な視点、若さによるエネルギー、そして高い気概が必要です。そしてそれを周囲の社会が必要としています。「古い環境や価値観」に適応してしまった上の世代は、新たな感性や解決策を「正統なもの」として受け入れるよりも、異端として白眼視する人が多いものです。皆さんは、高い気概を持って臨み、実際に成果を上げ、その成果の力でだんだんと「正統なもの」として社会的地歩を確立していかなければなりません。このプロセスは新たな現実に臨む人々には宿命的につきまとうものです。ぜひ高い気概を持って新たな正統性の獲得をめざし、そして成功することを期待しています。