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トップ>HAKUMON Chuo【2013年早春号】>【卒業の日に――贈る言葉】一度、立ち止まって

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卒業の日に――贈る言葉

一度、立ち止まって

河合 久(かわい・ひさし)/商学部長

河合 久

 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。新たな世界に進むスタートラインに堂々と立つ皆さんの姿を拝見し、教員の一人として感慨を覚えます。

 4年前、皆さんはそれぞれに目的をもって商学部に入学したはずです。大学への進学目的を将来の職業選択の手段と考えた人と、社会人になるまでの漠然とした準備期間と位置づけた人とに大別できるでしょう。貴方はどちらでしたか。いずれにしても、皆さんは中央大学商学部というステージで人生の貴重な時間を過ごしたことに間違いありません。

 この4年間がなぜ貴重なのでしょうか。ゼミでの専攻分野に特化して学問に励んできた場合でも、難関国家試験の準備に専心してきた場合でも、あるいはスポーツ・文化活動に注力してきた場合でも、皆さんは中大生であるがゆえに高いレベルの努力を求められました。その過程では、皆さんの多くが当初の目的を簡単には果せない苦悩を味わったことでしょう。しかし、いかなる状況にも共通する事実は日々の営みが貴方自身の選択によるものであって、しかもそれについて考えることができる時間を多く持てたということです。そして、近くには利害とはおよそ無縁の友人がいたことです。その事実こそが大学生の特権であり、皆さんの貴重な財産であり、社会人として持つべき自立心と責任感の確立に繋がるのです。自信を持ってください。

 東日本大震災の復興は遅れ、世界経済の状勢も不安定です。このことは、私たちに「一度、立ち止まって考え直そう」という問いかけでもあると思います。いかなる職業も日本経済の再生に向けて直接または間接に貢献していかねばなりません。そのためには、二度と訪れることのないこの4年間に区切りを打つ今日、多忙が予想される新生活に奔走する前に、貴方が中央大学で得た具体的な財産とは何か、それらを今後の職業や人生にどのように活かすことができるのか、少しだけ再考してみてください。

 最後に、これからの皆さんの人生が大切な家族と共に幸せに満ちたものであることを心よりお祈りいたします。