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トップ>HAKUMON Chuo【2013年秋号】>【審査会で敢闘賞受賞】精鋭37人の中大自衛消防隊

Hakumonちゅうおう一覧

審査会で敢闘賞受賞

精鋭37人の中大自衛消防隊

中央大学の自衛消防隊は7月18日、東京・八王子市の創価大学グラウンドで行われた「第46回自衛消防訓練審査会」(主催・東京消防庁八王子消防署、八王子防火管理研究会)に出場し、25チームによる男子混合隊1号消火栓の部・Bブロックで「敢闘賞」を受賞した。敢闘賞受賞は昨年に続く2度目だった。

左から佐藤、鈴木、高橋各隊員

機敏な動き

 同審査会の出場は1チーム3人。多摩キャンパス庶務課所属で警備会社「協栄」の鈴木薫さん(59)、佐藤尚俊さん(56)、高橋進さん(51)が全隊員37人の中から選抜された。

 災害時の「情報・連絡」、負傷者の「救出・救護」、「出火防止、初期消火」、「避難・誘導」などの自衛消防を規定の10分以内に行い、日ごろの訓練内容が評価される。

 審査は防災センターで勤務中を想定して始まる。『緊急地震速報!』が鳴り響き、「強い揺れに注意してください」との警報を聞きながら、3人はヘルメットをかぶって素早く動く。

 鈴木さんが「隊員は建物を確認せよ」と指示する。胸に指揮者のゼッケン「指」を付けている。高橋さんら隊員とともに、転倒した家具の下敷きになっていた負傷者を発見。いたわりの声をかけながら3人で書庫を取り除き、けが人を救出する。「救護室へ搬送せよ」(指揮者)「了解っ!」(隊員)。行動を逐一確認していく。

 救護室で三角巾による応急措置をしている最中、「2階の厨房から火災が発生しました」との声があがった。今度は屋外消火栓へと走る。「操作始め」と鈴木さん、1番員の高橋さんは全長15mのホースを取り出して、20m先の火元とみられる場所へ猛ダッシュ。ゼッケンは「1」。後方から2番員の佐藤さんがホースを点検し、「結合よし」と呼応する。こちらは「2」を付けている。

 勢いよく水が出て、火は消えた。操作初動から30秒以内に消火しなければならない審査では、規定を超えると減点になる。3人とも1分1秒を争い、力を振り絞った。

消火中に避難アナウンス

 そのとき、会場に高温注意情報が流れた。「気温が上がってきました。エアコンのある隣接の体育館で涼んでください」。手元の温度計は赤い表示がぐんぐん上昇して35度。中大隊の登場は午前11時6分。暑さが厳しくなるころだった。

 消火後は「避難口はこちらです」と誘導する。大きな声だ、よく通る。「終了しました」の号令でヘルメットを脱いだ。汗をふくタオルは1枚、2枚では足りなかった。肌の露出のない長袖、長ズボン。2次被害を防ぐためとはいえ、やはり暑い。

 「訓練のポイントは3人がそろうこと。日ごろからメリハリをつけるようにしています」と鈴木さん。高橋さんは競争心を口にした。「ほかのチームもいい動きでした」。審査中の熱中症予防アナウンスを「聞いていました」とは佐藤さん。渦中にあっても、3人は周囲の状況を把握する落ち着いた動きを見せた。

左から佐藤、鈴木、高橋各隊員

 大会講評で八王子消防署の内山署長が感心していた。

 「実力伯仲でした。審査会ですので順位をつけさせていただきましたが、評価は困難を極めました。今後も皆様方には職場や持ち場をプロの目で見ていただきたい」

 消火のプロが中大隊などをプロと公認し、信頼を寄せた。

 中大隊の日ごろの任務は、中大正門や多摩モノレール口、東門などの警備。その業務の合間に9号館近くで訓練を重ねてきた。

 3人の体つきは締まっていて、年齢特有の中年太りにほど遠い。中大生の安全・安心な日常をサポートしてくれる“頼りになるおじさんたち”。備えあれば憂いなし。柔和な顔は厳しい訓練がつくり出していた。

■結果(1号消火栓・男子混合隊B)

①佐藤製薬八王子工場
②東京精密半導体社
③日本水産八王子総合工場
敢闘賞 中央大学

■中央大学多摩キャンパス防火対象物

(資料提供=中央大学多摩キャンパス庶務課)

■中央大学多摩キャンパス防火対象物自衛消防隊の編成と任務

(資料提供=中央大学多摩キャンパス庶務課、
※は本部中核要員・(株)協栄)

■自衛消防隊

上月義久隊長ら37人の精鋭で編成されている。「自衛消防業務講習」「自衛消防技術認定資格」「防火センター要員講習」「防火管理講習」などの資格取得者や専門講習の受講者だ。

後楽園キャンパスも万全

 中大後楽園キャンパスの自衛消防も万全だ。猛暑がぶり返した9月12日、東京・文京区立教育の森公園で行われた「平成25年度 自衛消防技術審査会」(主催・小石川防火管理研究会。管轄・東京消防庁小石川消防署)に参加し、日ごろの訓練成果をアピールした。

 出場した中大自衛消防隊は指揮者・山本泰さん(58)、1番員・鈴木大雅さん(23)、2番員・小山大助さん(35)の3人編成。後楽園キャンパスを警備する日東カストディアル・サービス(株)の警備隊員だ。

 3人は炎天下、汗が流れ落ちるのも構わず、緊急地震速報への対応、地震発生時の身体防護、避難誘導、初期消火などを沈着冷静にこなしていった。

 この審査会には時間制限があり、自動火災報知設備のベル始動から、けが人の手当ての終了まで基準タイム4分30秒。1秒でも超過すると0.5点の減点となる。

前から山本、鈴木、小山各隊員

 3人とも「出場に向けて訓練することが大切と考えます。全員一体となり、一生縣命頑張ります。時間内終了が目標です」と気合いを入れて臨んだ。

 隊員らの技能を見つめる目は多く、大会本部・来賓席のほか近隣の住人や在勤者らが集まっていた。9月は、1日の防災の日や9日の救急の日と防災・救急にちなんだ日が多い。

 「たくさん人がいて緊張しましたが、最低限の仕事が出来ました」と謙遜する小山さん。消火ホースを持ったチーム最年少の鈴木さんは「訓練していると、すぐに動けます」と笑顔。

 訓練は勤務の合間を縫って実施するため、指揮者の山本さんは「1回の訓練で1時間ほど動きますが、勤務ダイヤをやりくりしてもらっています」と周囲との一体感を口にした。

 技術審査会を見守った中大後楽園キャンパス防火・防災統括責任者の齋藤等所長・警備隊長(日東)は「時間内にも収まったし、よかったです」と3人をねぎらった。

 同審査会には男子21、女子5チームが参加。大学関係では拓殖、東洋、お茶の水女子、日本女子が集まっていた。