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トップ>Hakumonちゅうおう【2012年春季号】>【ニュース Plus】ルース駐日米大使が約50人の学生と対談 多岐の質問に丁寧に対応され、和やかに交流

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ルース駐日米大使が約50人の学生と対談
多岐の質問に丁寧に対応され、和やかに交流

 ジョン・V・ルース駐日米国大使が昨年12月8日、中央大学多摩キャンパスを訪問、学生と対談した。学友会100周年記念学術企画として行われたもので、大使は会場のCスクエア3階小ホールで、約50人の学生と和やかに意見交換。その様子は2階中ホールに同時通訳付きで映像配信された。

 ルース大使はまず、全国各地の大学を訪問している理由について①学生はこれからの日米関係に大きく関わっていく世代②経済の「失われた20年」の中で育った世代のチャンスと責任は自分たちが担っている―からとの考えを示した。

 対談は、大使がランダムに指名した学生が質問し、その質問に大使が答えるという質疑応答形式で行われた。

 対談の最初に飛び出した「今の若者は何が不足していますか」という質問に対して、大使は「日本の学生は、もっとリスクを犯して世界にチャレンジして欲しい。グローバルな視野で物事をみて、いろいろ考えて欲しい」と要望。また、日本の英語教育について、グローバル社会で競争力をつけるためにも「もっと会話力を磨くべきだ」と述べた。

 これに関連して留学を希望する日本人学生数が低下していることについては、「非常に残念だ」とした上で、「自分が大学時代に留学しなかったことを失敗だったと思っている。いろんな人と話すこと、いろんなものに自身を触れさせることで、人材としての幅が広がる」と海外留学の重要性を強調した。

 twitterなどのソーシャルメディアについては、「すごいパワーをもっている」と評価する一方で、「ソーシャルメディアで世界と繋がっているからといって自分自身が世界に出て学ばなくてよいということにはならない。国同士が緊密であるためには実際にその国に行って、もっと人と知り合うべきだ」と指摘した。

 日本の政治についてもいくつか質問が出たなかで、首相が短期間に入れ替わることに関して、「日米間の基本的な関係は影響されないものの、外交問題は国のリーダー間の個人的な関係が重要」との認識を示し、「よく知り合い、尊重し合うことだ」と述べた。

 このほかルース大使は、沖縄駐留米軍やTPP参加、死刑制度、中国を中心にしたアジア情勢、捕鯨問題、それにアメリカの原子力開発など学生からの多岐にわたる質問に対し、ひとつひとつ時間をかけて丁寧に答えた。

 一方、大使は、これまでに40都道府県をまわったなかで、昨年3月11日の東日本大震災の後に訪ねた被災地慰問は、「とても悲しく、衝撃を受けた経験となった」と振り返った。

 ルース大使への学生の質問数は30を超え、大使は学生の質問のレベルの高さを賞賛した上で、予定された時間を1時間半以上も過ぎても、全ての質問に対して真剣に応答された。時折笑い声も混じった大変和やかな対談となり、対談後、大使と参加学生全員との写真撮影が行われた。

 なお対談に先だってルース大使は、福原紀彦総長・学長、若林茂則副学長、ヘッセ・スティーヴン国際交流センター所長と懇談した。

学生の質問に丁寧に答えるルース大使

(学生記者 中野由優季=法学部3年)