「私、新聞記者に興味があるの。『Hakumonちゅうおう』の学生記者というのがあるから、一緒に説明聞きに行かない?」。この友達の一言が私の大学生活に多くの出会いをもたらしてくれた。
編集長から活動内容の説明を聞き終えると、その場で私達は学生記者をやることを決めた。すぐに編集長は言った。「今は新歓の時期だから、学生記者募集のビラ配りをしてきて下さい」。私達は唖然とした。「大学生になってまだ一週間たらずの私達が、記者になったその日に勧誘をするのか。これが記者魂なのか」と。
この日から私が卒業までに関わった取材は約25件。そこで出会った人は数えきれないほどだ。初めての取材は神宮球場での野球の試合。中大を応援にきていた人に話を伺った。初対面の人に何を聞いたらいいのか、探り探りだった。しかし、「Hakumonちゅうおう学生記者の橋本です」の魔法の一言があればみんな心を開いてくれた。
特に印象に残っているのは初めて1人で行ったシニア学生の取材である。50代の女性のそのシニア学生は、大学に通いたいと思い立って、社会人入試を受け、中央大学に入学した。第一印象はおとなしそうな人だったが、話してみるととても真っ直ぐで、強い女性だった。
取材の最後に団塊の世代の方々に向けてのメッセージをお願いすると、彼女は「行動すれば何かが始まります。行動してから軌道修正しても遅くないと思います。自分の能力の中で精一杯やって、自分がなれる最高の自分になって下さい」と語ってくれた。彼女が今まで生きてきた人生が凝縮されたようなこの言葉は、私の考え方にプラスの力を与えてくれた。
毎回取材前に、私は少し憂鬱な気分になる。「初対面の人と何を話そうか。自分はどんな印象をもたれるのだろうか」と。そんな時にシニア学生の言葉を思い出すのだ。そして「なに、ウジウジしているんだ。自分から行動しなきゃ」と思う。何をするにも少し慎重な私はこの言葉に出会って潔くなった。
「出会いは縁です」と編集長がよく言っていた。取材で出会った人がまた新たな人を紹介してくれたり、私の知らない事をたくさん教えてくれる。そして経験させてくれる。しかし「出会い」はシンプルだが難しい。「自分の足で会いに行き、自分で考え、自分の言葉で話す」からこそ相手が心を開いてくれて、縁としてつながる事ができるのだと感じた。
たくさんの出会いで彩られた私の大学生活4年間は、あっという間に過ぎて行った。法律、行政、ジャーナリズム、国際、様々な分野を学んだ。FLP、学部ゼミもそこそこ頑張った。ダイビングサークルでは目標だったダイビング100本を達成した。アパレルのアルバイトでは上のランクに上がれた。学生記者の講演会では初めて司会をやった。海外旅行は7カ国行った。大学ではたくさんの友達ができた。親友もできた。たくさん笑って、たくさん泣いた。言葉では表わしきれないほどに毎日が充実していた。
そんな私も4月から社会人として働く。二度とこない学生生活に「さようなら」をするのはとても悲しいが、今まで育ててくれた両親、そして今まで出会ってきた全ての人達に感謝し、ひるむことなく進んでいきたい。行動あるのみ!