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トップ>Hakumonちゅうおう【2012年早春号】>【群像 それぞれの春】生命科学科一期生として研究に没頭 努力評価され、総合水処理会社に就職

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群像 それぞれの春

生命科学科一期生として研究に没頭
努力評価され、総合水処理会社に就職

二村 龍之介さん/理工学部(神奈川県立鎌倉高校出身)

二村 龍之介

 「やりたいことに全力で向かう」―。大学生活4年間で大切なことは、という質問に対して二村さんはこう断言した。事実、二村さんにとっては、研究室での研究を中心に自分のやりたいことをやり抜いた4年間であった。

 二村さんは理工学部生命科学科の第1期生として中央大学に入学した。「授業内容について先輩に教えてもらうことができなかったので、初回の授業には全て出て、そこから履修する科目を選択していきました」と1期生ならではの悩みもあった。

 その一方で「実際に授業を受けてみると、教授一人に学生が8人程度というゼミのような授業もあり、かなり学生と教授との距離が近いと感じました。生命科学科の魅力のひとつですね」と少人数の授業の良さも感じた。

 「もともと生物が好きだった」という二村さん。2年生の時、諏訪裕一教授の授業で排水処理場に見学に行った際に、「微生物によって排水中の有機物を処理する、その反応過程に興味をそそられた」と、その仕事に感銘を受けた。このときから卒業研究は諏訪教授の指導のもとで行うと心に決めた。

 4年生になり諏訪研究室での卒研が始まった。ここで、「実験」という言葉の重さを実感する。2、3年生のときは配布された手順書を読んで実験すればよかったが、4年生では1から自分自身で実験を組み立てなくてはならなくなった。

 「何をどれだけの量を準備しなくてはいけないかなど、全て自分で決めなくてはいけません。初めのうちはとても苦労しました。英語の論文を読んで実験の手法を学んだり、諏訪研究室に来る他大学の研究者に手順書をもらったりして努力しました」

 二村さんは、2005年に諏訪研究室が発見した「茨城県北浦の『anammox』の活性」に関するプロジェクトにも参加し、研究に没頭した。「それは重大な発見で、anammoxの活性が異常に高い場所が見つかったのは世界で初めてなんです」と興奮しながら語る。

 『anammox』とは、工場排水などに含まれるアンモニア態窒素や亜硝酸態窒素を無害な窒素に変える働きをする微生物だ。この微生物を用いるとコスト削減や排水処理の際に発生するゴミ(余剰汚泥)を従来法に比べて最大70%削減できるメリットがあり、世界的に注目されている。

 二村さんは、就職活動で苦労したというが、最終的に『anammox』による排水処理を国内で初めて実用化した会社に内定を得た。大学での研究が活きて、評価されたのだ。二村さんは、大学時代の勉強を生かせる仕事で、新たな一歩を踏み出す。

(田中)