トップ>HAKUMON Chuo【2012年秋号】>【ニュース&中大ニュース】「国際人のすすめ」中央大学特別講演会
前ユネスコ事務局長、日仏会館理事長
松浦 晃一郎氏
中央大学の新組織「国際連携推進機構」設立記念、中央大学特別講演会として行われた。松浦晃一郎氏(75)は駐フランス大使、ユネスコ(国連教育科学文化機関=UNESCO)事務局長などを歴任。外交官40年、ユネスコ10年、合わせて50年の経験から語る「国際人のすすめ」。10月3日、会場の中大多摩キャンパス8号館大教室は学生、教職員で満員だった。
堅いと思われた講演は「私は小説が大好きでして、フランス文学、ドイツ、ロシア。小説を通して外国に興味を持ちました」と身近な話題から始まった。聴衆の中には「既に私は国際人」とうなずく学生がいた。
駐フランス大使、ユネスコ(本部パリ)勤務で16年間フランスに滞在。ユネスコ時代は190カ国を訪問した。英語、フランス語、スペイン語を話す。そうした経験から、学生らに「国際的に活躍できる人、国際機関で働く、リーダーになれるように」と話した。
「日本人として日本の歴史、文化をしっかり勉強する。海外では一人ひとりの日本人が日本の代表として、日本については何でも知っていると期待される。外国に関心を持ち、異文化に対して理解を深めておく。国際問題や国内問題について国際的な視野で分析、日本史上・世界史上の位置づけも考えて、自分の考えを持ち、ほかの人と外国語で議論する。切磋琢磨するようになってほしい」
ユネスコ事務局時代は世界全体を考えた。運営が不満と脱退していた米国に改革案を提示、粘り強い交渉で理解を求めた。2003年10月、米国は19年ぶりに復帰した。ユネスコ中興の祖といわれるゆえんである。
人事採用では、最低限修士、可能な限り博士号取得者を求めた。
「自分の専門分野をしっかり持つ。専門を持ちつつも諸問題に対応するときは大局観が必要。その上でしっかり決断を下す」
「グローバルな人材育成に重要なのは大学教育です。卒業後も職場などで引き続き勉強してほしい」
講演中、立ったままで話した松浦氏。熱く語る姿に講演後は大きな拍手が巻き起こった