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ロンドン五輪第16日の陸上男子400mリレー。
アンカーのボルト(左端)と飯塚(右から3人目)
写真提供=共同通信社
飯塚翔太選手/石橋千彰選手/舘野哲也選手
中央大学からロンドン五輪へ3人の学生選手が派遣された。3選手は初めての五輪出場。「C」マークを日の丸に代えて、世界に挑んだ彼らがどんな生活を送っていたのか。コンディションで大切な食生活を中心に話を聞いた。以下は貴重な体験談だ。
法学部3年。2010年世界ジュニア選手権200m優勝、2012年日本選手権200m2位、4×100mリレー日本学生新記録(第2走者)、静岡県出身。184cm、78kg。
飯塚翔太選手(陸上競技男子4×100mリレー5位、同200m予選敗退)
「和食が好きです。選手村入村から3日ほどは選手村食堂にお世話になりました。メニューは国際色豊かですが、僕にとっては物足りない…。4日目に日本オリンピック委員会(JOC)が運営する日本選手団の支援拠点マルチサポート・ハウスへ行きました。そこに和食がありました。最初の食事、豚汁を口にしたとき“うわっ、うまい!”。バランスのとれた食事が用意されていて、以来毎日行っていました。選手村から歩いて10分、その行き帰りが楽しく、満足でした。
食事に心配がなくなると快眠快便となり、コンディションがよくなりました。レース前にはアメリカ選手と話をしました。彼が緊張しているのが分かったので、僕と同じだと思い近づきました。世界ジュニア時代に行ったことがある大学の出身でした。話が弾んで、ともにリラックスできました。
飯塚、舘野両選手への応援メッセージ
普段通りにレースに臨むことができたのは、何の不安もなかったからです。サポートしてくださった方々に感謝します。
リレーでは世界のウサイン・ボルト(ジャマイカ)と同じアンカーで、間にカナダを挟んだ右横のレーンにいました。練習で軽く走っても、速い、すごく速い。レースはもっと速かった(ジャマイカは世界新記録で金メダル)。体も大きかった。195cm、96kg。自分より大きい人とは会ったことがなかったのでびっくり。
オリンピックで大事なのは、コンディションづくりです。次の2016年リオデジャネイロ五輪でいかします」
■ウサイン・ボルト選手
100m、200mの世界記録保持者。人類史上最速の9秒58で100mを走る。「人類が9秒6を破るのは2039年という現代科学のシミュレーションをはるかに前倒しするものだった」(NHK番組より)
総合政策学部3年。2011年日本学生選手権200m自由形3位、2012年日本選手権自由形4位。福岡県出身。169cm、69kg。
石橋千彰選手(競泳男子4×200m自由形リレー予選敗退)
「オリンピック出場が、人間的にも大きくしてくれたと思います。いままで知らなかった多くの人と出会い、さまざまな経験をしました。出場前の自分とは違います。競泳チームはすごくいい雰囲気で、なぜこのムードをつくれるのか勉強になりました。
レースはプレッシャーがあったのでしょうか。自分でも緊張しているのが分かりました。でもこれも経験です。次のリオデジャネイロ五輪へつなげます。
選手村にあるマクドナルドによく行きました。選手のIDカードを提示すれば無料で提供してくれます。メニューは日本と同じ、分かっていますから安心感があります。ここではサラダを多く採りました。朝はいつものインスタント味噌汁を飲んで、いつものリズムをつくりました」
帰国して食べたホッケがおいしかった。高幡不動にあるいつも行く店。ホッケが大好きなんです。
外国人選手と交流できるかと思っていたら、彼らは緊張していて、レース直前に集まる場所ではもっとピリピリしている。強い選手でも緊張すると知って安心しました。僕は平気なタイプです。
レースでは体格の違いもあって圧倒されましたが、そんなに差があるとは思わない(一時は3位に位置した)。次のリオに向けて頑張る気持が強くなりました。
父親がしみじみ、『おつかれさまでした』と言ってくれました。その顔を見ると、いままで僕を見る顔じゃない。認めてくれたのでしょうか。うれしかったです」
舘野哲也選手(陸上競技男子400m障害、予選敗退)
商学部3年。2012日本選手権400m障害3位。2010日本ジュニア選手権優勝。茨城県出身。177cm、73kg。
「野菜を多く採るようにしています。選手村食堂の野菜は色が変わっているように見えて新鮮じゃないのかな? オリンピック直前でお腹を壊したら嫌だなと思い、やめました。助けてくれたのはマクドナルドです。サラダはここで食べました。注文は英語でします。オレンジジュースの発音で手間取りましたが、あとは大丈夫。日に2度行く時もありました。
五輪選手らを招いた「ロンドンオリンピック・パラリンピック報告祝賀懇親会」(主催・中央大学学員会体育会)が9月28日夕、駿河台記念館で行われた。会場内では、代表選手を囲んで記念撮影や歓談で盛り上がった。今回メダルを獲ったフェンシングの五輪強化委員会副委員長の江村宏二氏が「インカレや全日本ではなく世界で勝つ選手になる、世界で勝つ選手を育てる」とあいさつして士気を高めた。