Chuo Online

  • トップ
  • オピニオン
  • 研究
  • 教育
  • 人‐かお
  • RSS
  • ENGLISH

トップ>Hakumonちゅうおう【2011年冬季号】>【Topics】国際交流の輪広げる初の国際寮 日本人学生と留学生が共同生活 今年3月、日野市にオープン

Hakumonちゅうおう一覧

【Topics】

国際交流の輪広げる初の国際寮
日本人学生と留学生が共同生活
今年3月、日野市にオープン

 中央大学で初めての国際寮が今年3月、日野市多摩平にオープンした。留学生との共同生活で国際感覚を育む、というのが狙いで、日本人学生と私費留学生、交換留学生の3人1組で各部屋に暮らす。オープンしてから10カ月近くが経ち、国際コミュニケーションの輪が一段と広がっている。

10カ国留学生ら50人入居

 国際寮は、JR中央線豊田駅から徒歩10分の距離にある4階建ての「UR多摩平の森244号棟」(日野市多摩平3-1-8)で、全64室ある。現在は、欧米とアジア10カ国の留学生を含めた50人が入居し、共同生活をしている。

 入居者はそれぞれが個室に入っているが、キッチン、バス、トイレは共用だ。大きなテレビのある共同スペースが交流の場になっている。寮費は食事なしで、月6万円。

 法学部1年の黒澤舜輔さん(西武文理高校出身)と韓国からの私費留学生で商学部1年のホン・ソンユン(洪性潤)さん、それにドイツ・ヴュルツブルグ大学からの交換留学生で法学部で学ぶヴィルト,ユリア・ クリスティナ(WIRTH, Julia Kristina)さんの3人は、隣り合わせた別々のユニットで生活し、洗面所を共有している1組だ。

国際寮の外観

黒澤舜輔さん

ソンユンさん(左)とユリアさん(右)

身に着く語学と国際感覚

 「国際寮での生活のスタートは、大学生活のスタートでもありました。大学にも寮の仲間がいるという安心感から、大学生活をスムーズに始めることができました」と語るのは黒澤さん。

 もともと国際交流に興味はあったが、国際寮に入寮する決め手になったのは、「どうしても一人暮らしをしたかった」のと、両親のすすめがあったからだった。入寮当初は、「留学生との壁を感じるのではないかと不安もあった」というが、「フレンドリーで日本語がとても上手な留学生」と交流するうちに、外国人という意識も薄れていった。

 「国際寮では共同生活といっても、個室があるのでプライベートをしっかり分けて生活できるうえに、夜遅く帰ってきても共同スペースに寮の仲間がいるとホッとする。月日が経つにつれて、互いに語学の勉強を助けあったりして、雰囲気が良くなってきています」

 こう語る黒澤さんは、留学生と一緒に生活していくなかで、自分自身にも変化がでてきた。「実は、自分の日本語を見直すようになったんです」と笑う。「留学生たちは自分の日本語を一生懸命に聞き取るので、自分が正しい日本語の使い方をしているか気になってきた」という。

 共同生活で留学生とコミュニケーションをとっていると、お互いの語学力の上達を肌で感じることができる一方、国際感覚も自然に身に着いてくるようで、黒澤さんは「外国人に対する偏見に近い先入観をなくしたいと考えるようになった」と語る。

 黒澤さんは、海外インターンシップを通じて国際経済社会を牽引するリーダーの輩出を目指す学生団体「アイセック・ジャパン」で活動していて、国際寮での生活が課外活動にも役立っている。

私費留学生と交換留学生

 韓国からの私費留学生、ソンユンさんが来日したのは、未曾有の被害をもたらした東日本大震災が発生した3月11日だった。「日本に到着した1時間後に大地震がありました。一人でとても怖かった。でも国際寮ならば、日本人も住むので安心だと思いました」と来日時を振り返る。

 韓国でも寮生活の経験があるソンユンさんは、「韓国では2~3人が一緒の部屋でした。ここでは個室なのでありがたいです」と話す。共同生活については「当初は日本人や他の外国人と仲良くなれるかという不安もあった」というが、「あっという間に仲良くなって、一緒に遊びに出かけたりもしています」と話し、いまは経営学を学びながら国際寮での生活をエンジョイしている。

 国際寮で暮らす留学生の顔ぶれは、前期と後期で大きく変わる。それに伴い、新たなコミュニティーもできる。ドイツからの交換留学生、ユリアさんは9月5日に来日し、国際寮に入居した。

 「小さいころから日本に住みたかった」というユリアさんは、「国際寮ではいろいろな国の学生がいて、寂しくない。友達も増えた」と笑顔で語る。その言葉通り、ユリアさんは日本人、韓国人、中国人、そしてドイツ人という多国籍な仲良しグループを中心になってまとめ、黒澤さんからは「みんが仲良くなった仕掛け人の一人」とみられている。

パーティー開き、交流深める

 国際寮では、共同スペースを上手に使って、国際交流を図っている。時々、野外パーティーも企画されている。みんなで炊飯器がずらりと並ぶ共同キッチンで調理し、寮の前庭にあるベンチを活かして、フランス料理やベトナム料理のパーティーを開いたり、10月末にはハロウィンパーティーも行った。

 国際寮以外に住む留学生も訪ねてきて、「とても賑やかで、友達の友達とも仲良くなれる」とユリアさんは言う。交換留学が終わる来年1月までには、さらに国際交流の輪を広げ、友達の数も増えるに違いない。

ずらりと並ぶ炊飯器類。みんなで使うキッチン

1組3人で共有の洗面所

シャワールーム

(学生記者 渡辺紗希=法学部2年)